「風立ちぬ いざ生きめやも。」
「風が吹いた。さぁ生きようじゃないか」
というような意味らしいですね。
……で、なんで『風立ちぬ』かって話なんですが。
不治の病に侵された恋人に寄り添いながら死を迎える話って、世の中にいっぱいあると思うんですよ。
それこそ枚挙にいとまがないぐらい。
幸福なはずの日常に不意に病魔が襲い掛かり、あれよあれよという間に恋人の命とともに幸せな日常と予定されていたはずの未来が失われてしまう悲しみと喪失感。
ある意味“泣ける”と言われる作品って大概そんな話なんじゃねーの、と。
そんな中でネガティブな感想になってしまいますが、本作は映画化もされた人気作のようですが、特に際立って名作とされるような要素が全く思いつかないんです。
「結婚の練習をしよう」
とかそういう言葉が出てくるライフスタイルが当時の若者にウケたのかな?
個人的にはさっぱり共感できません。
尚、冒頭は『風立ちぬ』の一文でしたが『100回泣くこと』ではこんな名セリフが生まれています。
「喜びや悲しみや笑いを分かちあって、ここまでやってきた。だけど僕らはなぜ、病や死を分かちあえないんだろう…。」
もうなんかストレート過ぎて駄目ですね。
こういう思いを読者に抱かせるのが小説家であって、そのまま文字にしちゃったらイカンでしょ、と。