『園芸家12カ月』カレル・チャペック
「毎年、園芸家は、牝ネコが子ネコをはこぶように、
宿根草をかかえてあっちこっち歩きまわる。
毎年、園芸科はひと息ついて、言う。
「さあ、みんな植えたぞ。これでいい」
次の歳になると、またほっとしてため息をつく。庭は完成することがないのだ」
園芸科・ガーデナーの間ではバイブルとされる『園芸家12カ月』。
カレル・チャペックは元々チェコの小説家であり劇作家なのだけれど、日本においてはなぜかしらエッセイ集とも言える本作の方が有名だったりする。
冒頭の引用からも読み取れるように、とにかく偏狂的な園芸マニアが日々の偏狂さを面白おかしく描いたエッセイです。
言う事を聞かないホース、思い通りにならない天候、何よりも満足する事を知らない自分自身……少しでも庭いじりに興味のある人であれば思わずうなずき、思わずクスリと笑ってしまう事請け合いでしょう。
……ただね。。。
やっぱりヨーロッパですから。
文化や風土の違いはいかんともしがたい。
そういう意味ではいとうせいこう氏の『ボタニカルライフ』の方がお勧めだったりします。
こちらはベランダガーデナーというより得意な園芸科の話ですが。
そんな訳で、園芸に興味のない方にはさっぱりおすすめできません。
ただ長い人生の間、植物に興味を覚える機会もあるでしょうから、ふと「そういえばそんな本があったな」と思い出して貰えれば幸いです。