「高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。」
冒頭の一文は引用は引用でもアマゾンのあらすじからの引用。
しかも実際には
(コスプレ)セックス
という四文字が隠れていたりします。
マジやばい
もうなんかこれを小説にした時点で作者の勝利ですよね。
(何と戦っているのかは知りませんが)
実際『ふがいない僕は空を見た』は第8回(2009年) 女による女のためのR-18文学賞&第24回(2011年) 山本周五郎賞をダブル受賞した作品です。
5人の主人公による5本の連作短編集。
冒頭の年上の主婦とコスプレセックスをする高校生から始まり、
姑に不妊治療をせまられストレスで高校生との不倫に走る主婦。
新興宗教にはまる兄を持ち自暴自棄のまま処女を捨てようとする女子高生。
ぼけた祖母と暮らし将来が見えない高校生。
母子家庭の母親で過去にいくつもの後悔を抱える女性。
とそれぞれ個性溢れる登場人物が絡まりながら進む連作短編集。
“性”と“生”というテーマが裏に見え隠れします。
正直、一番最初のコスプレセックスの下りがセンセーション過ぎて以降は出オチ感が否めなかったりもしますが。
「ばかな恋愛したことない人なんて、この世にいるんすかねー」
こんな台詞、今の世の中には声を大にして聞かせてやりたいな。