2007年に日本で生まれた子どもの半分は、107年以上生きることが予想される。いまこの文章を読んでいる50歳未満の日本人は、100年以上生きる時代、すなわち100年ライフを過ごすつもりでいたほうがいい。
「100年人生」という流行語まで生み、数々の著名人を巻き込みながらベストセラーとなった作品『ライフシフト』です。
今はだいぶ落ち着いた気もしますが、フェード・アウトしたというよりは一通り行き渡って思想とともに広く知れ渡ってしまったのかなぁ、という感じがしています。
もちろん、僕にとってもバイブルの一つ。
これまで何十年も当たり前とされてきた生き方、働き方を根底から覆す名著です。
日本語版への序文
最上部の引用はその最たるものなのですが、扉のすぐあとに日本語版だけの序文が挿入されています。
いまこの文章を読んでいる50歳未満の日本人は、100年以上生きる時代、すなわち100年ライフを過ごすつもりでいたほうがいい。
改めて引用しましたが、いかがでしょうか?
多分僕らは今後、「100年人生」を意識して人生を歩んで行かなければならないのです。
その為にはこれまでとは違った考え方が必要だと著者は言います。
引退年齢が70~80歳になり、「教育→仕事→引退」という古い3ステージの生き方における「仕事」のステージが長くなります。
寿命が延びた分だけ、20年も長く働かなくてはならない。
これまでにはなかったステージが登場します。
エクスプローラー(探求者)……幅広い進路を検討
インディペンデント・プロデューサー……自分で小さなビジネスを起こす
ポートフォリオ・ファーカー……仕事や活動に同時進行で携わる
働き方・生き方が多様化するという事です。
また、当然環境についても大きく変化が予想されます。
一時は約1億3000万人に達した人口は、国連の予想によれば、2060年には約8700万人にまで落ち込むという。(65歳以上が人口に占める割合は40%に達する)。」出生率が下がって人口が減り、一方では寿命は延びる。
しかしこれも、
人々が70代後半や80代になっても活力と生産性を失わず、長く働き続けられれば、年金問題や人口減少の弊害はだいぶ和らぐ
としています。
80代になっても活力的に働き続ける時代……。
これを皆さんは「不幸」と捉えますか?
でもこれからはそれが当たり前の時代に突入する、と予測されているのです。
……びっくりしませんか?
ここまでがあくまで「日本語版」の序章なのです。
しかもかなり抜粋しています。
この『ライフシフト』はとんでもない示唆と教訓に富んだ本なのです。
100年ライフ
どのように人生を組み立てるのか、というのが本書のテーマ。
20世紀には、人生を三つのステージにわける考え方が定着した。教育のステージ、仕事のステージ、そして引退のステージである。
それでは100年ライフではなにが変わるのかというと、70代、さらには80代まで働き、人生そのものがマルチステージ化へ。新しい職種とスキルが登場し、変化が当たり前に。新しいステージも登場する。家庭と仕事の関係性も変わってくる。
ざっくり上記のような内容ですが、考えてみるとどれもすでにもう現代で始まっている事象なんですよね。
それを他人事として傍観するか、自分事として捉えるのか。
そこが大きな分かれ目だと感じます。
引用抜粋
さらに詳しい内容が第1章~終章まで、10章に分けて詳細に語られているのですが、大筋としては上記のような内容となりますので細かくは割愛します。
その代わり、僕が読んで気になった点や心に響いた点を以下に引用しておこうと思います。
企業の「階段」を上るだけでなく、下る決断をくだす人がどんどん増えていくだろう
100年ライフで多くのステージといくつもの移行を経験するようになれば、柔軟性が不可欠な資質になる。思春期の特徴を大人になっても保持し続けることの価値が増すのだ
この世代の真に特筆すべき点は、生まれてきた環境ではなく、100年生きることを明確に意識し、それを前提に人生の計画を立てる最初の世代だということだ
過去100年間は商業化された娯楽の消費活動を中心とするレジャー産業が台頭したが、今後は、個人レベルでの自己改善への投資活動に力を入れるレジャー産業が発展するかもしれない。
さまざまな研究によると、家庭に関する理由で労働時間を減らした男性は、所得が減り、将来のキャリアの機会が狭まる。
長い人生を生きるうえでは、なにかに打ち込むことが重要だ。なにかに習熟しようと思えば、しばしば強い意志をもって、学習と練習と反復に何百時間、ことによると何千時間もの時間をつぎ込まなくてはならない。
さて、いかがでしょうか?
ちなみに話題書となった事もあり、ネット上でもさまざまな記事やインタビューが散見されます。
読むほどではないけどもうちょっとエッセンスを知りたいという方は、下記リンクも参考になさってください。
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■人生100年時代、日本は従順な働き方は変えないと
「LIFE SHIFT」のグラットン教授 × ウォンテッドリー 仲暁子CEO
■100年生きるわたしたちの価値観。
……また、リンダ・グラットンの類著『ワーク・シフト』もおすすめです。
■『ワーク・シフト』リンダ・グラットン