『検察側の罪人』雫井脩介
君たちはその手に一本の剣を持っている。法律という剣だ。こいつは抜群に切れる真剣だ。法治国家においては最強の武器と言ってもいい。
今回読んだのは『検察側の罪人』。
『クローズド・ノート』もストーリーとしてはよくある平凡なものでしたが、文章が上手でサクサク進む上、次々登場する万年筆のおかげですっかりのめり込んでしまえるなかなか良いお話でした。
それ以来ご無沙汰していましたが、雫井脩介さんは以降も「このミステリーがすごい!」や「週刊文春ミステリーベスト10」に次々と作品がノミネートされる活躍をされていたのですね。
安定した良作を送り出す間違いのない作家さんの一人なのでしょう。
二人の検事
物語は東京地検の検事である最上毅と、彼の元にやってくる新米検事沖野啓一郎の視点で進みます。
最上に憧れ検事の道に進んだ沖野は、念願叶って最上と一緒に働く機会を手にします。
はじめの内は期待に違わぬ最上のベテランぶりに心酔する沖野でしたが、二人の元に一つの事件が迷い込みます。
家賃収入から個人的に金貸しをしていた老夫婦が自宅で斬殺される事件。
事件の重要参考人として並べられた名前の中に、最上は一人の男を見つけます。
23年前、最上が下宿していた先の娘が何者かに殺害される事件がありました。
松倉はその女子中学生殺人事件でも犯人ではないかと疑われていた男だったのです。
しかし罪を暴く事はできないまま、あえなく時効を迎えていたのでした。
老夫婦の殺害容疑で取り調べを受ける中、松倉は執拗な追及に耐え兼ね、女子中学生殺人事件の犯人は自分であったと遂に自白してしまいます。しかし今回の老夫婦を殺したのは自分ではないと主張。
ところがそれを聞いた女子中学生殺人事件の関係者である最上の中で、どこか理性のタガが外れていってしまいます。
何が何でも松倉を立件しおうと画策する最上と、違和感を感じながら尊敬する最上に従い、振り回される沖野。
やがて二人の間に決定的な転機が訪れ……
……
……
……
もう、このぐらいでいいですよね?
あとはもう、読んで下さい。
目茶苦茶面白いですから。
いったんハマれば一気読み間違いなしです!!!
2018年8月24日、映画化!
僕も『羊と鋼の森』を観に行った際に劇場の予告で知りました。
そこですっかり魅了されてしまいまして、「これは読むしかない」とさっそく手に取ったわけです。
予告編の緊迫した雰囲気がまたなんとも言えず期待感を醸成してくれます。
原作も面白かったし、読んだ感想としては二人の配役もばっちりだと思います。
それにしても驚きは木村拓哉さんの根強い人気ぶり。
実は僕、Instagramの他にTwitterのアカウントも持っています。
大体本を読んだ後の流れとしては
読書ノート
↓
ブログ
↓
Instagram
↓
という順序でアップしているんですけど、時々Twitter単体でもツイートしたりしてます。
特に「これからこの本を読むぞ」とか、読んだ後のざっくりとした感想なんかを書き込んだりすることもあるのですが、今回の『検察側の罪人』もあまりにも没頭して読んでしまった為に興奮冷めやらず、その勢いのままツイートしたんですね。
すると……
雫井脩介『検察側の罪人』読了。映画化の予告を見てつい手を出した本だったけど、興奮が冷めやらない。ヤバイな。ここしばらくの間では一番良かったかも。キムタクとニノの劇場版、スゲー楽しみになった。
— ライナスの毛布@読書垢 (@s_b_linus) June 23, 2018
フォロワーが1,000人を超えて増加中のInstagramと異なり、Twitterは普段だいぶ低調なんですけど、このツイートだけやたらと「いいね!」や「リツイート」が多いんです。
そのほとんどのアカウントがまさかの木村拓哉ファンの皆様。
SMAP解散報道では一人だけ悪者扱いされたり、凋落ぶりが弄ばれる事も多いですが、やっぱり根強いファンの方々は多いんですね。
僕も結構好きです。
多分他にも少なくないんじゃないかと思うんですが、木村拓哉が役者として殻を破って新たな姿を見せてくれるのを期待してしまうんです。
よく木村拓哉に対して「何を演じてもキムタクにしかならない」という辛辣な意見も目にしますが、もしかしたら本作では今まで見たことのない木村拓哉を見せてくれるんじゃないかと個人的に期待しています。
劇場公開の際には、絶対に観に行きたい作品です。
まだしばらく期間があるので、忘れないよう気をつけます!
※追記※
劇場版観てきました!
遅ればせながら劇場版も見てきました。
とにかくすごい人気ですよね。
興行成績も公開三週目現在で依然として二位をキープ!
『銀魂!』や『SUNNY』、『累(かさね)』を抑えての二位だけに人気の高さがわかります。
木村拓哉はテレビで見ない日はないというぐらいに宣伝しまくってますので、その他理も一因かとは思いますが。
予告編のクオリティの高さも見逃せないでしょう。
実際映画を観て感じたのは、木村拓哉・二宮和也という主演二人をはじめとする俳優陣の演技力の高さ。
木村拓哉の言動全てには見入ってしまいますし、二宮和也の演技には完全に吸い込まれてしまいます。
特に予告編でも印象的なあのシーンでは、観ているこっちまで震え上がってしまいました。
エンドロールが流れた後、周囲からも「ニノすごいね」「ニノやばかったね」といった会話が聞こえてくるほど。
尚、ストーリーに関してはよくも悪くも原作通りではありませんでした。
原作では最上・沖野という二人の検事の心理描写が細かく丁寧に描かれ、それに読者も惹き込まれていったのですが、映画という二時間の枠で再現するのは難しい。
なのでよりエンターテインメント性の高い方に改良した、と言えそうです。
その最たるものが芦名星の存在。
映画オリジナルと言える彼女のキャラクターは、映画版『検察側の罪人』で非常に重要な位置が占めていたと感じました。
芦名星は『鴨川ホルモー』がとっても印象的だったのですが、やはりミステリアスな雰囲気の役柄がよく似合いますね。
オリエンタルで個性的な美貌はもっともっと評価されてもよいんじゃないかと思っています。
映画版では芦名星にも注目してみてくださいね。