「売り家と唐様で書く三代目」
……ご無沙汰しています。
最近、めっきり読書から離れがちな日々が続いています。
仕事だったり、仕事に関わる勉強だったり、前回のブログでも挙げたスマホゲームだったり、理由は色々と挙げられるんですが、なんだか本を読んでもいまいち心に響かなくなってきてしまっています。
昨年一年間はかなり充実した読書ライフを過ごしましたから、その反動と言えるのかもしれません。
そんな中でも一応は細々と読み続けてきたのが本書『同族経営は、なぜ3代で潰れるのか?』。
以前からちょくちょく触れてきたいわゆる「事業承継」系の著書ですね。
なぜ3代で潰れるのか。
冒頭の引用の通り、二代目・三代目で事業が破たんするケースは世の中に多々見られます。金持ちの息子として甘やかされてわがままに育ち、大人になっても親の脛を齧りながら、家業よりも政治や遊び、投資や新事業などに浮かれて、肝心の家を取り潰してしまうのいうのがステレオタイプな三代目像でしょう。
昨今においてもファミリー企業のお家騒動や後継者の巻き起こした汚職事件といったニュースも頻出しています。
とはいえ、上記のステレオタイプな見方で片づけられてしまうケースが一般的で、「なぜ3代で潰れるのか」という点について深く掘り下げた本というのは珍しいのではないでしょうか。
三代目が陥りがちな罠、やってしまいがちな失敗……実例をもってそれらを分析してくれているのだとすれば、こんなに面白そうな本はありません。
実際、アマゾン等の評価はどれも良いものばかり。
期待して、読んでみましょう。
やっちまった
せめて書店で流し読みでもしてから買えばよかったですねー。
僕は上記のように「なぜ3代で潰れるのか」という書名にもなっているテーマについて期待していたのですが、
よくある書名詐欺でした。
本書は前半部において、国内外における「ファミリービジネス」について整理・分析し、同族企業の利点について述べています。
世界中にもファミリービジネスで成功した大企業や著名ブランドも多く、一般企業に比べて業績に優れたファミリービジネスも多い、と。
高度成長期以後、仕事と家庭を分離させるような動きが広まってきたが、必ずしも切り離す必要はなく、むしろファミリービジネスである事を受け入れた上で、未来へ向けて継続させていく努力をすべき。
でまぁ、そこからつながるのは事業承継の話。
社内にプロジェクトチームを作るとか、社長自身が目標を定めて動かないと事業承継は進まない、とか。
なのでどんなに読み進めても、「なぜ3代で潰れるのか」という点についてはほとんど触れられません。
やっちまったなぁ。
分類=整理・分析?
やっちまった点はもう一つあって……この本、
コンサル本
なんですよ。
著者はファミリービジネスを対象としたコンサルタンティング会社の代表。
僕はコンサル本を非常に毛嫌いしていまして。
だって彼らは当事者ではないですからね。実際に悩んだり苦しんだりした経験があるわけではないんです。だから著作を読んでもどこかで見聞きした話の上辺だけをなぞるようなものが多くて、心にガツンと響くようなものは少ない。
その意味では本書もほぼ同様。むしろ「どこかで見聞きした話の上辺」すらも少ないと感じました。
「〇〇に必要なのは三つの××だ」とか「△△は四つのパターンに分類される」とか、分けたり、パターン化したそれぞれについての説明に終始するばかり。
極端に言うと「経営者の血液型は四種類に分けられます。A型は几帳面でB型は自分勝手、O型は大ざっぱでAB型は分裂症」みたいなものですね。だからなぁに?っていう。
講演会やセミナーでよく見られるパターンですね。60分とか90分とか、与えられた時間の中で聴衆を飽きさせないために、テーマを三つ、さらに三つを四つと分割しながらスライドに映しだしながら説明していく手法。あれを本にまとめた感じです。
とりあえず時間いっぱいはきれいに収まるのだけど、かといって聞き終わった後に何も残らない。……で、結局言いたい事ってなんだったの? 3代で潰れる原因ってなんだっけ? なんて狸に騙されたような気分で帰る羽目に遭います。
ただでさえ読書に飽いてしまっているというのに、こんな本を手に取ってしまったのが運の尽き。
零細・家族経営企業をテーマとした事業承継系の本ではいまいち「これはいい!」と絶賛できるような本には出会えていないのですが、せめて下記の本の方が、実際の経営者目線で書かれているのでためにはなるかもしれません。
久しぶりの記事がこんなんでなんとも微妙な気分ですが。。。
まぁ、きっとそのうちまた寝る間も惜しんで読み続けてしまうような作品に出会える事でしょう。