「俺は、竜だ。おまえは、虎だ。
――虎と並び立つものは、昔から竜と決まってる。
だから俺は、竜になる。
お前の傍らに居続ける」
そろそろkindle Unlimitedの解約を考えていまして……というのも、ちょっとめぼしい本は読みつくしてしまった感があるのです。
もちろん角田光代をはじめ、僕が好きな作家さんでまだまだ未読の作品も残ってはいるのですが、同じ作者の作品ばかり読み続けるのもなんだかなぁ、と思いまして。
なんかないかなー、面白そうなのないかなー、とひたすら検索していたところ、行きついたのがこちらの作品。
あまりライトノベルが得意ではない僕でも、『とらドラ!』が名前は聞き覚えがありました。
引き続き異世界転生やら悪役令嬢やらといった作品が続くライトノベル業界において、恋愛モノの作品として根強い人気を誇る作品なのでしょう。
とはいえ、よくよく調べてみれば初出が2006年3月……だいぶ古いですね。
まぁいずれにせよ物は試し。
読んでみることにしましょう。
最恐ヤンキー×手乗りタイガー
主人公の高須竜児は父親譲りの鋭い目つきのせいで、最恐ヤンキーとして周囲から恐れられています。
一方、逢坂大河は誰かれ構わず噛み付く性質から、手乗りタイガーとして同じく畏怖されています。
誰もいない放課後の教室で、竜児は大河にばったり遭遇してしまいます。
なんと大河は、竜児の親友である北村祐作と間違えて、竜児の鞄にラブレターを入れていたのです。
その夜、過ちに気づいた大河は竜児の家にバッド片手に忍び込み、竜児ものともラブレターを亡き者にしようと企てるのです。
……とまぁ、序盤のあらすじはそんなところ。
周囲からは恐怖の対象としておそれられる竜児が、実は母親想いで料理も得意な優しい男であり、手乗りタイガーこと大河もまた、不器用でドジなだけの女の子だったり……そんな二人が互いの恋を実らせようと共闘していくうち、お互いが特別な存在になっていたということに気づくというラブコメテンプレ的な作品です。
ラノベでした
大人になってしまった僕からすると、特に深い感想もなく……「最初から最後まで想像した通りのラノベでした」という陳腐な言葉しか出てきません。
序盤のほんの数ページを読んだだけで、最終的にどうなるか想像ついちゃいますし。
古き良きラノベですよね。
既存のアニメや漫画をノベライズしたかのような、破天荒で突拍子もない展開が続くライトノベル。
それでも物語の筋はちゃんと通ってるし、アニメや漫画を読むようにサクサク読み進めることができるでしょう。
まぁでも、本書を読んでやっぱりKindle Unlimitedを解約する決意は固まったかな。
僕は本の虫なので、常に読みかけの本が側になければ気が済まないタイプなのですが、それにしても、読む本はなんでもいいというわけではありません。
そこにはやはり、今まで読んだことのないような興奮や、味わった事のない読後感を追い求めたいのであって……必死に探して検索して、妥協の上で本作のような自分にとってあまりモチベーションの上がらない本に手を出してしまうのは、自分にとっても、作品に対しても失礼だな、と改めて思いました。
そんなわけで短いですが、今回の記事はおしまいです。
読みたい本を、読みましょう。