なにもいらないと思っていた。そんなふうに一緒にいるだけで手に余るほどだったのにいつの間にか欲望が現実の距離を追い越して、期待したり要求したりするようになっていた。どんどん贅沢になっていたんだな、と思った。 島本理生の『ナラタージュ』を読みま…
「正直に言えば、私、嘘つきなんです。自分に都合が悪いことがあると、頭がぼうっとなって、意識が飛んだり、嘘ついたりしてしまうことがあって。だから、そのときもとっさに自分が殺したことを隠そうとしたんだと……」 第159回直木賞受賞作『ファーストラブ…
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