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年間100冊前後の読書を楽しんでいます。推理小説・恋愛小説・歴史小説・ビジネス書・ラノベなんでもあり。

『ネジ式ザゼツキー』島田荘司

「すっかり全部さ。大きな地震が起こり、ルネスのネジ式のクビがゆるゆると回って、マーカットさんの目の前で、実際にころりと落ちたということになる。そう考えるしかないんだ」

ものすごく久しぶりに島田荘司を読みました。

僕は元々講談社が打ち出した“新本格推理ブーム”が大好きなのは、『密室殺人ゲーム王手飛車取り』の記事にも書いた通りです。

linus.hatenablog.jp

講談社創元推理文庫から次々とデビューする新本格ミステリ系の作家はもちろん、『十角館の殺人』に登場したエラリイ・クイーンやアガサ・クリスティーといったミステリ黄金期の古典作品も読みました。

しかし当時は松本清張の切り開いた社会派推理小説がまだまだ書店の棚を幅を利かせていた時代。地方の小書店の中でお目当ての本を見つける事は至難の業に等しい上、インターネットもキュレーションサイトもないのでそもそも本格推理小説と言ってもどんな本がオススメなのかすらわからない時代でした。

宝探しのようにまだ見ぬ作品を探していく中で、一つの指針ともなったのが島田荘司の著書である本格ミステリー宣言』でした。

 

そこで語られる島田荘司本格ミステリ観や、綾辻行人法月綸太郎らが文壇デビューするに至った経緯、新本格ミステリの成り立ち等々は興味深いものばかりで、まさしくバイブルのようにして読み込んでいたものです。

 

ですので僕の中で島田荘司はある意味では“教祖”とも言える立ち位置へと昇華されていったのでした。

実際に『占星術殺人事件』や『暗闇坂の人喰いの木』は読みごたえもあり、本格ミステリの王道とも呼べる内容で、当時は本当に心酔しきっていたものです。

 

 

ところが新本格派の作家さんたちに見られた傾向として非常に“遅筆”というものが挙げられます。発売された作品をある程度読んでしまうとすぐさま打ち止めとなり、ようやく新刊が出たかと思えば雑誌掲載分をまとめた短編集ばかり。

そうこうしている内に“新本格ミステリブーム”の鎮静化が置き始め、個人的にも名探偵・密室・謎重視の淡白な物語といった画一的な推理小説に飽きが来てしまい、推理小説そのものとともに島田荘司からも離れてしまいました。

 

以後、いまいち新刊の話題も耳にしないまま現在に至ってしまいましたが……新本格の旗手たちがそれぞれ新たな境地を切り開いている中、“教祖”たる島田荘司のその後の姿を見てみようと思い、たまたま目についた本書『ネジ式ザゼツキー』を手に取った次第です。

 

安楽椅子探偵

簡単に言うと、いわゆる安楽椅子探偵ものです。

本格ミステリ風にカタカナ表記で言うと“アームチェア・ディテクティブ”

 

推理小説の多くは探偵が事件のその場に居合わせたり、または事後に現場に足を運ぶ形で推理を試みますが、安楽椅子探偵は現場に赴くことなく、文字通り椅子に座った状態で、伝聞や資料を下に謎を解いていくのです。

十角館の殺人』に登場したバロネス・オルツィの代表作『隅の老人』シリーズが先駆けとも言われています。

シャーロック・ホームズにも似たような話はありますね。

その他、個人的に好きな北村薫の『円紫さんと私』シリーズだったり、テレビドラマにもなった『謎解きはディナーのあとで』も安楽椅子探偵ものと言えそうです。

最近はこの辺のラノベ推理小説でよく使われているイメージかもしれません。

 

ところが安楽椅子探偵ものの最大の難点というのが、動きが少ないというもの。 

探偵自身は伝聞で事件の全容を知るケースが多い為、基本的に事件は事後となります。ですから推理小説でありがちな「次に誰が襲われるか、もしかしたら自分たちにも身の危険が迫っているかも」といったスリルもなく、誰かの回想シーンが中心となる事で、物語のスピード感や起伏がなくなってしまうのです。

 

なので個人的にはできるだけ短編でやって欲しい手法だと思っています。

 

本書はそんな安楽椅子探偵の設定で600ページ超の超長編に挑んでしまった作品。

さて、どんな結果になるか……。

 

記憶喪失の男と鍵となる不思議な童話

事件は脳科学者となった(いつの間に!)御手洗潔の下に、エゴンという記憶喪失の男がやってくるところから始まります。

エゴンは会う度に御手洗と初対面であるかのような挨拶を交わし、毎回同じような他愛もない会話を交わします。

彼の記憶を辿る手がかりとなりそうなのは、エゴンが書いた『タンジール蜜柑共和国への帰還』という童話のような不思議な物語のみ。

 

全く何の手がかりにもならないようなところから御手洗は推理の糸口を見つけ、少しずつエゴンの記憶を紐解いていくのですが……

 

これって一体なんの話? 

 

ぶっちゃけわけわからないんですよね。

 

これが例えば「記憶をなくした少女の右手に血まみれのナイフが握られていた」みたいなところから始まるベタな物語であれば話は早いのですが、そもそもエゴンって誰? なんでこの人の記憶を探りたいの? という一番重要な理由づけがないまま話が始まり、進んで行ってしまうのでさっぱり入り込めない。

 

名探偵の前に記憶喪失の男を登場させたら、そりゃ記憶探るだろー的なお約束を元に強引に話が進められていってしまいます。

さらにそこに島田荘司にありがちな物語と関係があるんだかないんだかも不明な衒学的なあれこれが肉付けされ、ただでさえ冗長に感じているところに『タンジール蜜柑共和国への帰還』を読まされるに至ってはもうさっぱり意気消沈。なんでこんな謎文章読まないといけないの?と。

 

もちろん、最後にはとんでもない謎と解決が待っているかもしれない。

エゴンの記憶も面白くもない空想童話もそれらの重要な材料かもしれないとはわかっているんですが、推理の材料でしかない文章ってとにかく読むのが苦痛。

 

「どうやら猿人の発掘に関わっていたっぽいぞー」

 

なんて新たなヒントが浮上してきても、なんでこの人の記憶を探りたいの?というそもそもの理由が欠落しているため、さっぱり興味を持てないんですよね。

どんなに推理を展開されても、こちら側としては全く乗り気になれないという。

 

どうやら過去に起きた殺人事件と関わりがあるらしいという事が明らかになってくる中盤以降、ようやく推理小説らしき匂いがしてきます。

ただまぁ、それとてぶっちゃけどうでも良くない?とか思えてしまえたり。。。

 

赤の他人じゃ駄目だ

ここまでブログを書き進めてきて、本書に決定的に欠けている点に気づきました。

記憶喪失から始まってそこから導き出される様々な過去の事件について、どうして興味を持てないのか。

 

冒頭になんでこの人の記憶を探りたいの?というそもそもの理由が欠落していると書きましたが、もっと言えば利害関係者でもなんでもない赤の他人の過去とか事件とか全くもってどうでもいいって事です。

逆に言うと、登場人物たちに感情移入できるような関係性が欲しいんです。

 

御手洗潔の友人だとか知人だとか恋人だとか、それらの人のつながりでもいいです。

具体例を挙げれば、過去に『 暗闇坂の人喰いの木』と『水晶のピラミッド』と『アトポス』に登場したヒロイン役・松崎レオナとかね。

 

読者が「この人を助けてあげて欲しい」「救って欲しい」と思えるような対象がいて、その人のために活躍するからこそ、名探偵は名探偵なんです。 

 

どこかから連れて来られた赤の他人の記憶や過去の出来事をああでもないこうでもないと推理されたところで、読者が興味を持てないのは当然です。

 

暴れん坊将軍』や『水戸黄門』のような勧善懲悪ものを例にとれば、単純明快です。

金さんや黄門さまは、自ら一般社会の中に入り込んで、その中で出会った市民の窮地を救うために、悪と戦います。

出会ったばかりタイミングでは、市民は根っからの善人ばかりではなく、時には金さんや黄門さまに無礼な言動をぶつけたり、愚かな行動をとったりする事もあります。しかし、やり取りを交わす中で、改心や成長したり、金さんや黄門さまと心を通わせ、ひいては視聴者との間にも親近感のような関係性が構築されていきます。

そこに出会いがあり、関係性が構築されているからこそ、視聴者も彼らを「悪い奴らを懲らしめて助けてあげて」と思えるわけです。

 

この構造から「一般社会の中に入り込み、心を通わせる」という出会いの場面を除いてしまったらどうでしょう?

 

最初から見ず知らずの町人が金さんや黄門さまに「助けて下さい」とやって来て、話を聞いたり調査を重ねたり……最終的に悪い商人が白洲に引き出されて首を刎ねられそうになりますが、温情措置により許しを得、改心を誓う。

 

……面白いですかね?

 

島田荘司は従来の固定化された本格ミステリの既成概念を打破しようと色々と試行錯誤しているようですが、本作に関してははっきり大失敗と言えるでしょう。

 

世界を舞台にインターネットを駆使し、や古代遺跡発掘・スペースコロニービートルズ等々、様々な要素を詰め込む事で、従来の推理小説から大きく飛躍したスケール感は素晴らしいと思うのですが、スケール感を大きくしたからといって傑作につながるわけではないですよね。

 

昨今ではどんどんスケールが大きくなっていく傾向にあるようですが、どこかで一度「閉ざされた山荘」的な本格推理小説の原点に立ち返ったような作品にも挑戦して欲しいものです。ページ数も400ページぐらいにまとめて。

 

実際に、最近はラノベ系・奇抜系の推理小説推理小説風味の何かが大量生産されるばかりで、ど真ん中を突くような王道ミステリは久しく見ていない気がします。

そんな今だからこそ、需要はある気がするんですけど。

講談社さん、原点に立ち返って『新・新本格ミステリ』的なムーヴメントをもう一度仕掛けてみて貰えませんかねぇ。

ラノベ全盛の今じゃあ難しいのかな。

 

https://www.instagram.com/p/B4oDYqpFWjm/

#ネジ式ザゼツキー #島田荘司 読了#新本格推理 の教祖と勝手に思っている島田荘司の作品を久しぶりに読みました。しかしながら #安楽椅子探偵 #アームチェアディテクティブ ものは長編には向きませんね。島田荘司お馴染みのスケールの大きな衒学的あれこれとも結びついて、なんとも冗長的な物語でした。やっぱり名探偵は赤の他人の依頼に応える医師のような役割ではなく、当事者として悪と戦うヒーローであって欲しいと改めて思います#本が好き #活字中毒 #本がある暮らし #本のある生活 #読了 #どくしょ #読書好きな人と繋がりたい #本好きな人と繋がりたい..※ブログ更新しました。プロフィールのリンクよりご確認ください。

『ひらいて』綿矢りさ

無駄に生きてるんだ、もう無駄にしか生きられないんだ。

長い長い『新・平家物語』の読書を終えた後、本棚にたくさんある積読本から選んだのは綿矢りさの『ひらいて』でした。

 

綿矢りさで読んだ事があるのは2001年に当時17歳という最年少タイ記録で第38回文藝賞を受賞した『インストール』。

それから記憶に新しいところではかなり変わった女性の自己中心的な(?)陶酔的な(?)一風変わった恋愛模様を描いた『勝手にふるえてろ』。

勝手にふるえてろ』は個人的にはかなり面白く読みました。

本作もまた、『勝手にふるえてろ』と同じ匂いを感じさせる1人の自己陶酔型少女の恋愛を中心としたお話です。

 

モテ系女子と地味系男子

本書の主人公である愛は華やかで見た目もよく、モテるタイプの女の子。

彼女が恋した男子というのが、クラスでは存在感の薄い地味系男子。

彼は都内でも最難関と呼ばれる大学を目指す秀才でもあります。ただし、日常風景を見る限り友達も少なく、運動神経もあまりよくなさそう。

それでも彼女は、いつの頃からか彼に惹かれるようになってしまいます。

 

ある日、彼が学校でみんなから隠れるようにして手紙を読むシーンに遭遇する愛。

ひゅんなことから夜中に学校に忍び込むに至った愛は、彼の机から隠されていた手紙を盗み出します。

元そこに書かれていたのは、恋人からのラブレターを思わせる内容でした。

美雪、という署名に元クラスメートの顔を思い出す愛。

愛は疎遠になっていた美雪に近づき、彼との関係をそれとなく聞き出そうと試みます。

 

 

少女マンガかと思いきや……

途中までは、上に書いた通り少女マンガを思わせるようなベタな学園ラブコメなんですよね。

 

ところがどっこい←

 

途中から愛が想像をはるかに超える言動をはじめ、物語は斜め上の展開を見せるのです。

 

いやはや、めちゃくちゃびっくりですね。

ずっと憎んだり憎まれたり殺したり殺されたり権謀渦巻く平安時代の話を読み続けていただけに、こういう爽やかな青春ものもガラリと気分が変っていいなぁ、なんてのほほんと読んでいたのですけれど。

 

何やら雲行きが怪しくなってきて以降は、目を離せなくなってしまってすっかり夢中に読みふけってしまいました。

 

要許容力・要寛容性

個人的には一気読みするぐらい面白い物語でしたが、『勝手にふるえてろ』同様、登場人物の思考や人間性にかなり偏りが見られるため、読む人によっては拒絶反応が出そうなのは避けがたいところ。

事実、読後にAmazonのレビューを見てみると低評価のものも多いです。

内容も予想通り、思考や人間性に対する拒絶反応を示すものが大半を占めているようです。

 

物語の登場人物である以上、個性的である方が面白いと思うんですけどね。

このぐらい滅茶苦茶だと読者側の想像力を超えてくるので、先の読めない面白さも楽しめますし。

 

物語に順当さを求める人が多い事も承知はしていますが、「エンタメ色強い登場人物とストーリーを文学作品らしい密度の濃い文章」で書きあげるのが綿矢りさなのだと思っています。

私の笑顔はちょうど、いま穿いているソックスの刺繍。表側の真白い生地には、四つ葉のクローバーの刺繍が施されているが、裏返せば緑色の糸がなんの形も成さず、めちゃくちゃに行き交い、ひきつれているだけ。

衝動的に行動してすぐに衝動的に謝る人間は、反省が足りないから、また同じことを繰り返す。

朝井リョウもそうですけど、日常生活における着眼点とか、それを文章化する能力が凄過ぎます。

普段からこんな風に物事を見ているのだろうなぁ、と思うと感心しかありません。

 

けど綿矢りさがもっと大衆受けする平々凡々な物語を書いたら、きっと直木賞本屋大賞に輝くような作品になると思ったりもするんですけどね。

彼女の書く物語って良い意味でも悪い意味でもアクの強い、奇人変人ものが多くなってしまうので。

 

主演・松岡茉優

上にリンクを貼った『勝手にふるえてろ』の記事に詳しく書きましたが、僕は松岡茉優が好きです。

勝手にふるえてろ』は彼女が主演で映画化されましたが、どうも綿矢りさ作品と松岡茉優の親和性って異常に強いと感じます。

松岡茉優は今でこそ人気女優の地位を築いていますが、どこか他の女優さんとは異なる狂気性というか異常性を感じるんです。

常に無理してキャラを作って演じて、一向に素の人間性を見せない感じ。

どうも本人すら、自分の真の姿なんてわからない。わからないどころか、わかろうとする事すら放棄してしまった人から感じる開き直った感といいますか。

 

その辺りの狂気性が、綿矢りさ作品が感じさせる異常性と非常にマッチするんです。

 

なので本作『ひらいて』も勝手な脳内イメージでは主演・松岡茉優で変換して読んでいました。

内容的に本作の映像化は絶対無理だと思いますけどね。

 

https://www.instagram.com/p/B4UKzz7F6eB/

#ひらいて #綿矢りさ 読了新・平家物語からの口直しとして読み始めたつもりが、なんとまぁとんでもない本だったことかモテ系女子な主人公がクラス非モテ系男子に恋したところ、彼宛に書かれたラブレターを盗み見してしまう。相手は1年生の頃のクラスメート。主人公は二人の関係を確かめるため彼女に近づきます。 ……が。ここまではよくある少女漫画風の青春恋愛ものなんですが、ここから主人公の取る言動が斜め上を行くトンデモ展開。思わず夢中に一気読みしてしまいました。読む人によっては拒絶反応が避けられない綿矢りさ本にありがちな偏った人間性や思考回路に彩られた作品ですが、個人的にはそれこそが物語を面白くしているところだと思っています。朝井リョウにも負けず劣らずの卓越した描写力も素晴らしい。これも松岡茉優主演で映像化して欲しいな。絶対ムリだけど。#本が好き #活字中毒 #本がある暮らし #本のある生活 #読了 #どくしょ #読書好きな人と繋がりたい #本好きな人と繋がりたい..※ブログ更新しました。プロフィールのリンクよりご確認ください。

『新・平家物語』吉川英治

栄枯盛衰は天地のならい、栄々盛々はあり得ないこと。勝つは負ける日の初め、負けるはやがて勝つ日の初め――

ようやく終わりました。

長らくブログの更新も途絶えていましたが、その原因であった吉川英治『新・平家物語』を読み終える事ができました。

読み始めたのが7月10日。4ヵ月近くかかっての読了です。

 

とにかく長かったです。

 

そもそも『平家物語』ってなんぞや? というところから始まった本読書。

僕の頭にあったのは上記のような、教科書で習った知識+漫画その他で見覚えのある代表的なシーンぐらいで、それぞれがどんな時系列で、どんな歴史背景があったかなんてさっぱりわからなかったんですよね。

一回ぐらい、平安から鎌倉に至るいわゆる『平家物語』に描かれたような時代を舞台とした作品を読んでみるのもいいだろう、そのためには吉川英治の『新・平家物語』が一番良さそうだという考えから手を出してみたものの、予想以上に長い読書になりました。

 

大ざっぱな分類

本作は1950年から1957年まで「週刊朝日」に連載された作品。

1.ちげぐさの巻から24.吉野雛の巻まで24章から構成されています。

現在では吉川英治歴史時代文庫版が全16巻、新潮文庫版全20巻として販売されているようです。

 

平家と源氏、さらに公卿やら皇族やらでとんでもない数の登場人物が出てくるのですが、主に主人公格と呼べそうなのは平清盛木曽義仲源頼朝源義経の4人。

その区分けについてはざっくりですが、

 

1~13 平清盛

14~16 木曽義仲

4、9、10、17~24 源義経

4、8、12 源頼朝

 

というような形に分かれています。

 

さらに脇を固める重要人物として、罪無き市民に寄り添い続ける医師・阿部麻鳥や無頼の僧侶・文覚、平家に取り入る商人・赤鼻の伴卜、欧州平泉の金売り吉次、そしてある意味では諸悪の根源とも言えそうな後白河法皇が挙げられます。

 

麻鳥はその時代における庶民の暮らしぶりや心情を表すという非常に重要な役割を持ち、伴卜や吉次は清盛と公卿、平家と源氏といった各勢力の間を渡り歩き、結びつけながら相互の関係性を描いています。

 

歴史認識を深める

と書くとすごく勉強した感がありますが、正直頭の中は整理しきれていません。

登場人物も出来事もあまりにも多過ぎますよね←

保元の乱があって平治の乱があって、その間に天皇だけでも鳥羽から崇徳、近衛、後白河から二条へと移り、以後も高倉、六条を経た後がようやく、壇ノ浦に消えた安徳天皇とまぁ次々変わります。

その度に御側役である公卿も入れ代わり立ち代わり。

清盛も後鳥羽上皇法皇と手を結んだり敵対したりと繰り返し。

一回通して読んだくらいで整理するのは無理ですね。

ある意味「ブログを書く」というアウトプットを通して多少なりとも頭の中が整理されていく感はありますが、足かけ4か月読み進めてきた一大長編だけあって、時系列や登場人物がすっきり整理整頓される事はきっと今後もまずないだろうと半ば諦めかけています。

 

でも、ぼんやりとではありますが平安末期から鎌倉設立までの様子がこれまでよりは認識できたように感じています。

さらに以前読んだ鎌倉末期から室町初期までの『私本太平記』と合わせて、ようやくこれまで苦手だった戦国以前の物語が繋がりました。

 

以前から積読化している浅倉卓弥『君の名残を』にも手をつけられそうです。ちょっと食傷気味なのでしばらくは歴史ものから離れようとは思いますが。

 

最後に、各巻ごとのおおよそのあらすじを載せます。かなり大ざっぱですが、いずれ記憶の糸を辿る際の道標にでもなりますように。

それにしても約4か月かかる全16冊分の電子版が99円で買える時代。

もし興味があれば、みなさんも是非チャレンジしてくださいね。

 

あらすじ 

 

1.ちげぐさの巻

平安時代末期、公卿文化が隆盛を極めた藤原時代の名残りを残す中、地下人(ちげびと)とよばれた武士階級の中に生まれた若き清盛が、遠藤盛遠(=後の文覚)、佐藤義清(=後の西行法師)、源義朝ら同世代の武士たちと送る苦悩と鬱屈の青春時代から、生涯の伴侶となる時子を妻として六波羅に居を構えるまで。

 

2.九重の巻

信仰と武力を後ろ盾に猛威を振るう山門仏教勢力が、強訴のために担ぎ出した神輿に一矢を射た有名な逸話をはじめ、徐々に武士として頭角を現してゆく清盛の破天荒な生きざまが明らかとなる。また、保元の乱前夜までの崇徳院後白河天皇との皇位継承争いを軸に、藤原忠通藤原頼長摂関家の対立、源義朝源為義の源氏の対立、平清盛平忠正との平家の対立といった混乱模様。

 

3.ほげんの巻

ついに保元の乱が始まり、源氏と源氏、平氏平氏、皇族と皇族の肉親同士が敵味方に分かれた壮絶な戦いの模様と、戦後の過酷な処分、そして流刑となり非業の死を遂げた崇徳上皇の顛末。さらに時代は平治の乱へと突入してゆく。

 

4.六波羅行幸の巻

平治の乱に臨んで決定的に敵対状態となった源平両氏。信西の信頼を得た清盛を筆頭に平氏が勝者として中央政界に進出してゆく一方、敗者の源氏は没落してゆく。源義朝は死に、清盛は遺された頼朝と牛若を助命するという平家にとって最大の汚点を残してしまう。

 

5.常盤木の巻

清盛と常磐との恋の顛末、一方、皇家では二条天皇の恋による“二代の后”問題が世を騒がせる。また、出家してそれぞれ西行、文覚という僧となった清盛の朋輩、佐藤義清と遠藤盛遠のその後も描かれている。そして清盛は、厳島神社造営への宿願を抱く。

 

6.石船の巻

太政大臣に任ぜられた清盛を筆頭に、その子弟も続々官職を得て公卿、殿上人となり、平時忠をして「平氏にあらずんば人にあらず」と言わしめたほどの全盛期にさしかかる。さらに清盛は輪田の泊(現神戸港)を国際貿易港とすべく、築堤工事にとりかかる。

 

7.みちのくの巻

鞍馬寺で稚児として15歳まで成長した牛若は、藤原秀衡の部下である金売り吉次によって奥州平泉に招かれることになる。その際、一旦身を隠した京都で母の常磐と再会し、後に側室となる白拍子の静との運命的な出会いを果たす。また、陸奥への道中、那須余一や佐藤継信・忠信兄弟など、後に草の根党と呼ばれる多くの仲間たちと出会う。

 

8.火乃国の巻

伊豆に流されて18年、31歳になった頼朝は、この地で多くの後の御家人や、幕府創設後の要人となる僧文覚とも出会う。また、行く先々で色恋沙汰を招く頼朝は、北条時政の娘、政子と恋仲になっていた。父・時政の意向により政子は他家へ嫁ぐことになるものの、頼朝に心酔する北条家の家臣たちにより奪回される。

 

9.御産の巻

後白河法皇を中心に平家打倒の陰謀をめぐらした「鹿ケ谷会議」が発覚、事件後、鬼界ヶ島に流された俊寛。清盛の娘徳子は高倉天皇中宮となり、後の安徳天皇を出産。平家はついに天皇家と姻戚関係となる。一方、平泉を抜け出して紀州に現れた義経は平家の追捕に追われ、ふたたび都へ上る。

 

10.りんねの巻

近江の堅田に身を寄せていた義経は、仲間の窮地を救うために自ら平時忠へ出頭する。ここで義経と時忠は互いに心を通わせてゆくことになる。さらに、五条大橋では弁慶も登場。一方、以仁王源頼政らによって平氏打倒の挙兵準備が着々と進められる。

 

11.断橋の巻

以仁王源頼政らによる反乱を制圧した清盛は、福原への遷都を決意。一方、頼朝は北条時政らを味方につけて目代屋敷を襲撃し、蜂起したまでは良かったが、平家方の追捕によって窮地へ追い込まれてゆく。

 

12.かまくら殿の巻

伊豆で敗れた頼朝は、関東を平定して体勢を立て直し、鎌倉の府の建設を進める。そして黄瀬川で弟の義経と初めて対面する。一方、都を京都に戻した清盛は、大規模な追討軍を差し向け、富士川で源平両軍の直接対決となる。

 

13.三界の巻

頼朝のいとこ義仲は、幼少時に源義朝と対立した父義賢を討たれるが、木曾の中原兼遠によって保護され養育される。成長した義仲は、兼遠の子(樋口兼光今井兼平巴御前)らを臣とし、以仁王の令旨に応じて挙兵する。そして都では、いよいよ清盛最期の時を迎える。

 

14.くりからの巻

清盛を失い宗盛を総領とした平家は、都へ迫りつつある義仲軍を迎え撃つべく大軍を差し向けるが、倶利伽羅峠篠原の戦いで壊滅的な打撃を受け敗走。入洛への足固めとなる大勝利に勢いづく義仲だが、その背後は常に鎌倉の頼朝に脅かされていた。

 

15.一門都落ちの巻

木曽軍入洛を目前にして、平家は幼帝安徳を奉じて西国で再起を図るべく都を落ちる。入洛した義仲は朝日将軍という称号を与えられ、源行家とともに平氏追討と京中守護の任にあたる。九州にも安住の地を得られず屋島に拠点を置いた平家を追って義仲は山陽道に兵を進める。 

 

16.京乃木曽殿の巻

義仲をめぐる女性関係は、巴・葵・山吹に冬姫を加え、ますます複雑化。皇位継承への介入や都守護の不首尾などで後白河の信任を失った義仲に対して、頼朝は範頼と義経の軍を差し向ける。義仲は法住寺殿を襲撃し後白河法皇を監禁するという挙に出るが、宇治川の戦い義経軍に敗れ、最期を迎える。 

 

17.ひよどり越えの巻

平家は西国で勢力を巻き返し、屋島から福原に拠点を移していた。後白河は源氏に平家追討と三種の神器奪回を命じ、範頼、義経が軍を進める。義経は世に「ひよどり越えの逆落とし」といわれる奇襲作戦によって一気に攻勢をかける。平家はこの戦いで多くの公達が命を落とし、また清盛の五男重衡は生捕られてしまう。 

 

18.千手の巻

一ノ谷の戦いで生捕られた重衡はやがて鎌倉へ送られることとなる。頼朝は重衡の人物に感心し、厚遇するとともに千手という女性を与える。二人は短いながら幸せな日々を持ったが、平家滅亡後、重衡は南都焼討の罪で東大寺の使者に身柄を引き渡され、斬首される。

 

19.やしまの巻

一ノ谷、ひよどり越えで大きな痛手を受けた平家一門は、幼帝安徳を擁して四国の屋島に拠点を築いていた。一方、先の合戦での目覚ましい戦果にもかかわらず、鎌倉の頼朝からはなんらの恩賞も与えられなかった義経に、再び平家追討の令が下る。義経は嵐を冒して四国に渡り屋島を急襲、陸上を追われた平家はついに海上に漂い出ることになる。 

 

20.浮巣の巻

屋島合戦でもっとも有名な、那須与一が扇の的を射る場面からこの巻は始まる。援軍を加え強大化してゆく陸上の追討軍に対して不利と見た海上の平家軍は、最後の望みを長門国彦島とりでに託して西へ西へと向かう。また、平家内部では教経をはじめとした主戦派と、ひそかに和平を図る時忠との対立が深まっていた。 

 

21.壇ノ浦の巻

源平合戦の最終章、壇ノ浦の戦いを描く。義経紀伊国伊予国などの水軍を味方につけた大船団を率いて攻め寄せる。一方、彦島を出撃した平家軍は知盛を大将として迎え撃つ。潮流の読みあいや御座船の偽装など、両将の知略を尽くした戦いの末、安徳天皇を抱いた二位尼建礼門院など、平家の人々は次々と入水して命を絶つか生捕りとなり、ついに平家滅亡の時を迎える。 

 

22.悲弟の巻

梶原景時など周囲の讒言の甲斐もあって、平家追討に大功を成した義経を頼朝は警戒し遠ざけるようになり、ついには鎌倉から刺客を差し向け夜討ちをかけ、さらにみずから率いて大軍を発動させる。義経は頼朝との戦いを避けて西国落ちを決意するが、大物ノ浦から出航した途端に大嵐のため難船し、摂津に押し戻されてしまう。そして鎌倉方の追捕から逃れるため吉野山中に逃げ入る。 

 

23.静の巻

吉野山中で義経一行と別れた静はついに捕えられ、取り調べを受けるべく母とともに鎌倉に送られる。静は義経の子を身ごもっていた。義経は後白河による頼朝へのとりなしを最後の望みとして逃亡を続けるが、接触の機会を得られないまま、佐藤忠信ら股肱の臣を次々と失ってゆく。また、悪運強く生き延びてきた新宮十郎行家も、ついに呆気ない最期を迎える。 

 

24.吉野雛の巻

すでに都に居所を失った義経は、藤原秀衡を頼ってわずかな郎党を伴い奥州平泉へ向かう。途上の安宅の関では、関守富樫泰家と弁慶による問答『勧進帳』の様子も描かれる。奥州の地で約二年の平和な日々を送っていた義経だが、ある日、頼朝の手まわしによって追討の勅命を受けた泰衡(秀衡の子)の襲撃を受ける。義経に続いて同じく弟範頼を討った頼朝もやがて没し、源平が血みどろに戦った時代の区切りを迎える。 

 

随筆 新平家

『新・平家物語週刊朝日連載時に月いちで書いていた(らしい)エッセイをはじめ、『新・平家』に関連する旅行記などと取りまとめたもの。連載中の読者や編集者、周囲とのやり取りをはじめとするエピソードが楽しめる。

 

腐化する生命の方が私には好ましい。すべて消えてなくなるものが美しいし、いとしい。花だってそうだ。平家だってそうだ。 

https://www.instagram.com/p/B4PAaPclP5I/

#新平家物語 #吉川英治 読了7月に読み始めて4ヶ月。ようやく読み終えましたよ。とんでもなく長い長い物語でした。特に時代背景が飲み込めていない中で次々登場人物が現われる序盤は四苦八苦。名前も似たような人物ばかりだし聞きしに勝る読みにくさ。清盛の晩年に入る中盤ぐらいからようやくエンジンがかかり始め、個人的には木曽義仲のあたりが一番のピーク。そこから主人公を義経にバトンタッチして以降は、聞き覚えのあるエピソードは多いもののいまいち物語自体にはのめり込めず……。 やはり不可解なのは頼朝の仕打ち。どうして平家討伐の功労者である義経を討たなければならなかったのか。法皇に近づき過ぎたから?三種の神器を紛失してしまったから?義経の苦悩はこれでもかと書き込まれる反面、頼朝の心情はいまいち謎に包まれた中ではっきりとせず……ただただ義経があわれなだけでした。でも読み終えてすっきり。これでようやく紙の本に戻れます。ブログもインスタも更新できるようになるかな?#本が好き #活字中毒 #本がある暮らし #本のある生活 #読了 #どくしょ #読書好きな人と繋がりたい #本好きな人と繋がりたい..※ブログ更新しました。プロフィールのリンクよりご確認ください。

『小さな会社の稼ぐ技術』栢野克己

「うちは何でもやってるのに、なぜうまくいかないのか?」

「それは何でもやっているからです(笑)」

 

だいぶしばらくぶりの更新になってしまいました。

読書を辞めたわけではないんです。

実は以前予告していた通り、吉川英治『新・平家物語』を読んでいる真っ最中。

 

吉川英治は版権がすでに切れているため、『宮本武蔵』や『私本太平記』、『三国志』などは青空文庫で無料で読めるのですが、『新・平家物語』は現在作業中につき未収録。

その代わり、アマゾンで検索すると全16巻の号本版がわずか99円で販売されていたりします。

僕が手を出してしまったのはまさにこれ。

過去には前述の『三国志』などの長編作品をスマホで読んだ経験もあり、いつでもどこでも気軽に読める電子版は超・長編作品を読むのに最適!なんて思っていたんですが、これがまた以外に難航しています。

 

読んではいるんですが、吉川作品独特の読みにくさもあってなかなか進まない。

さらに『新・平家物語』は平清盛源義経源頼朝等々、その時々で主人公や視点が目まぐるしく変わる非常に読みにくい作品なんですね。

 

さらに電子版の場合、読書量が目で測りにくいというのもネックで、実本なら「今日はこの巻の最後まで読んじゃおう!」と意気込んだりするんですが、それがない。なので毎日ほんの少し読んだだけでも、なんとなく読書した気になってしまう。結果として、遅々として進んでいないというのが実情です。

 

断っておきますが、決してつまらないわけではなくて、非常に面白く読書を楽しんでいるのは間違いないんですが。

 

現在まででようやく全体40%を超えたところ。

伊豆に幽閉されていた頼朝が遂に打倒平家の旗を上げ、清盛の死ももう間もなく。義経とも近々合流するかなーといったところ。やがて主人公格の1人として加わるらしい木曽義仲もまだ登場せず、先は長いですねー。

 

中小企業本

前置きが長くなりましたが、『新・平家物語』の間に割り込むようにして読んだのが本書『小さな会社の稼ぐ技術』。

以前から中小零細企業の事業承継についての本を読んできましたが、その流れの一つと言ってよいでしょう。

 

中小零細企業の経営が行き詰っている多くの要因って業種に限らず似通っていて、その一つが「下請け依存」が挙げられます。

大半の企業が大手から仕事を貰う下請けとして仕事をしているのですが、その依存度が半分どころかほぼ100%近い会社も多いのです。

ところがバブルが弾け、リーマンショックも挟んだ現在、儲かってる業界ってないですよね……。

 

建設業界・製造業界・食品業界、どこも苦しい、苦しいと言っているような業界ばかりです。

建設で言えば人口減少に加え、ライフスタイルの変化もあって新築着工件数は減る一方。

製造業にしたって生産量が右肩上がりで増えているのはごく一握りと言えるでしょう。

食品業界だって似たようなもの。

 

中小・零細企業が大手の下請けとして何十年の蜜月関係を築いてきたとしても、肝心要の大手自体の生産量が減ってしまっているのですから、当然下請けの仕事は減るばかり。

さらに原料高だの増税だの働き方改革だので出ていくお金を増えるばかり。

 

それでもいつかは昔のように良い時代がやってくるのかもしれないと、頭上を吹き荒れる厳しい風に身を縮こめるようにして耐え忍んでいる中小・零細企業が沢山あるのです。

 

でも、それじゃあダメです。

 

時代は変わりました。再び建築業界が活性化するなんて、南海トラフ級の巨大災害で国土の大半が平地に戻らない限り無理な話でしょう。

製造業も、他の業界だって同じです。

これからますます人口減少は加速化しますからね。

 

待っているだけじゃダメなんです。

 

じゃあどうしたら良いか。

 

その答えの一つが本書にあります。

 

下請け脱却

一言で言うとこういう事ですね。

下請けからの脱却。

 

コバンザメのように、寄生虫のように元請け企業から仕事が降ってくるのを待つのではなく、自分たちが直接顧客から仕事を得られるような会社に変わる事。

今風の言葉で言えばBtoBからBtoC。

元請けが10000円で受けた仕事を8000円で下請けに下し、実際の工事費が5000円だとすれば下請けの利益は3000円になりますが、下請けが顧客から直接10000円で受注すれば、利益は5000円に増えるわけです。

 

かといって、今まで大手建設会社の下請けとして新築住宅の屋根工事だけを請け負っていた零細企業が、いきなり元請けとして新築住宅の仕事を受注する工務店に成り代わる事はできません。

例えできたとしても、資本力・技術力その他の局面で劣勢が続き、程なく倒産の憂き目に遭うのは間違いないでしょう。

 

“弱者”である零細企業が“強者”と同じ土俵で争っても勝負にすらなり得ません。

 

じゃあ、一体どんな戦い方をすればいいのか……というのが本書の内容。

 

弱者の戦略として、著者は下記四つの項目を挙げています。

  1. 強者や大手と違うことをやる「差別化」
  2. 総合1位ではなく「小さな1位」
  3. あれこれではなく「一点集中」
  4. 顧客とじかに接近戦

さらに、戦略を実現しやすい商品分野として

  • 手作り、少量生産、オーダーメイド
  • 市場が小さい、ニッチ
  • 衰退産業
  • イメージが悪い、怪しい

といった大手やエリートがばかにする分野を勧めています。

 

前述の屋根屋さんを例に挙げれば、専門技術を生かした屋根の修繕……それも大手リフォーム会社が猛威を振るう総合リフォームではなく、屋根に特化したプチリフォームに絞って営業をする、という事です。

 

一歩踏み込んでそれを「雨漏り専門」にまで絞り込めば、大手建設会社やリフォーム会社は雨漏りの工事だけなんてやりたがらないから自社の独壇場になり得ます。

 

さらに重要なのは「地域を絞り込む」事。

移動時間は全て無駄。移動時間を減らす事は利益率の向上に直結します。

加えて地域の中に特化して営業する事で口コミが広がり、「雨漏り=〇〇社」といったイメージが浸透させる事で営業コストの削減も期待できます。

 

ランチェスター戦略

本書の土台となっているのはランチェスター戦略。

元々は戦争時に弱小軍隊が巨大な軍隊に立ち向かうためにはどうすればよいか、といった技術をまとめた戦略だそうですが、現在では中小企業事業者の間で黒字経営を目指す上でのバイブルとしてもてはやされているそうです。

 

本書では上に挙げたような戦略を、具体例を挙げながらかなり詳細にわかりやすく紹介してくれています。

 

個人的には非常に為になる一冊でした。

やっぱりビジネス書も読まなきゃダメですね。読む本にもよるのでしょうが、小説からは得られないものが間違いなくあります。

特に本書は、ビジネスマンにはオススメの一冊です。

 

「弱者の戦略」と言いますが、ビジネスにおいて「自社は強者です」と言えるのは限られていますからね。圧倒的に弱者であるケースの方が多いはずです。

そんな場合に、一体どんな戦略をとるべきなのか。

自社が勝ち得る局面とは。

 

とにかく得られるものの多い良書でした。

本書の前に出版された『小さな会社☆儲けのルール』という作品もあるそうなので、そちらも近々読んでみたいと思います。

 

 
 
 
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#小さな会社の稼ぐ技術 #柏野克己 読了 めちゃくちゃ久しぶりの更新になってしまいました。 でも今回読んだのは大当たり。 #ランチェスター戦略 という弱者の兵法をベースに、中小零細企業が経営改善を目指すための考え方や進め方を具体例を挙げながらわかりやすくまとめた本です。 差別化、小さな1位、一点集中、接近戦 悩める経営者さんたちにぜひとも一読して欲しい一冊です。 ちなみに現在吉川英治の新・平家物語を読んでいる最中です。更新がないのもそのため。 まだ半分も読めてません。 先は長いなー。 #本が好き #活字中毒 #本がある暮らし #本のある生活 #読了 #どくしょ #読書好きな人と繋がりたい #本好きな人と繋がりたい . . ※ブログ更新しました。プロフィールのリンクよりご確認ください。

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『魔法使いの弟子たち』井上夢人

「あたし、自分が、なんで死ななかったんだろうって思うの。あんなにたくさんの人を殺して、どうしてあたしだけ死ななかったんだろう」

しばらく更新が途絶えていましたが、井上夢人魔法使いの弟子たち』を読みました。

改めて説明する必要もないかもしれませんが、元々は徳山諄一氏とともに「岡嶋二人」名義で数々の名作を生み出しており、「岡嶋二人」解散以後はそれぞれ個々の作家として活動されています。

岡嶋二人」は競馬シリーズの他、当時としては最先端のパソコンやインターネットを駆使したSFチックなトリックや要素を取り入れた作品を数多く発表してきました。

今となっては時の流れを感じずにはいられませんが、未だ色褪せない作品もありますので興味のある方は一度お試しを。

ちなみに当ブログの中では下記二作品をご紹介しています。

 

その他、個人的には「岡嶋二人」最後の作品である『クラインの壺』が大好きな作品の一つなので強くおすすめしておきます。

先日映画化で話題になった東野圭吾パラレルワールド・ラブストーリー』と似た題材を扱っていながら、面白さでは圧倒的・段違いに『クラインの壺』の方が上です。

 

パンデミックからSFへ 

さて、本作もそんな岡嶋二人井上夢人 らしさが全面に出た作品。

週刊誌の記者である仲屋京介は、竜王大学病院で院内感染事故が発生した一報を受けて取材へと出向きます。

そこで出会ったのが落合めぐみ。

病院内に木幡耕三という彼氏が研究員として残っているという彼女は、耕三の消息を知るために同じく院内への潜入を試みている京介に自ら接触してくるのです。

京介は話している内に、めぐみの身体に湿疹らしきものが増えてきている事に気づきます。

前日に院内で耕三に会っていたと知った京介は「目の前に感染者がいる」と通報し、やってきた医療班により病院へと収容されてしまいます。病院に潜入できたと喜んだのも束の間、京介は感染症を発症し、意識不明の重体へと陥ってしまうのです。

 

目を覚ました京介たちを待ち受けていたのは、恐ろしい現実でした。

脳炎と名付けられた感染症はあっという間に全国に広がり、多数の死者を生み出すパンデミックを巻き起こしていたのです。

病院内で木幡耕三から竜脳炎をうつされためぐみを中心に、彼女と場所を同じくした多数の人々が感染。さらにそこから二次、三次と爆発的な広がりを見せ、めぐみ自身家族全てを竜脳炎によって失ってしまいました。

生き残ったのはめぐみと京介、さらにめぐみと耕三が見舞っていた興津繁という老人の三人だけ。しかしながら彼らの血液からワクチンを作り出す事により、致死率は20パーセントまで下げられるようになったのでした。

 

 

奇跡的に一命を取り留めた三人は、病院での隔離された生活を余儀なくされてしまいます。そんな彼らに、やがて重篤な副作用が現れはじめるのです。

九十三歳の興津老人は日を追うごとに若返りはじめ、京介は時々幻覚の症状に悩まされるようになります。さらにめぐみは、手を触れずにして物を動かす事のできるサイコキネシス……念動力の能力に目覚めてしまいます。

大学もまた、彼らの副作用に興味を示し、一定の生活を保障する代わりに研究を続けるという協力関係を持ちかけます。

 

……とここまでがざっくりとした序盤のあらすじですが

 

脳炎のきっかけとなったドラゴン・ウイルスの正体とは。

三人に現れた超能力の理由とその目的は。

 

パンデミック×SFの有無を言わさぬ謎にぐいぐい引き込まれてしまうのは間違いありません。

 

スケール大+伏線回収=???

そもそもよく知りもしないで手に取っただけに、僕自身途中からの展開には面食らいました。

まさか超能力ものとは。

単純にパンデミックを題材としたミステリ風味の作品ぐらいに思っていたものですから。

 

登場人物たちが超能力に目覚めはじめた辺りから、物語は加速度的に展開していきます。

パンデミックだけでは収まらなくなってしまっていますから、読んでいる側としてもこの先どうなっていくのか、全く先読みのできない状況が続きます。

この辺りのグイグイ読ませる仕掛け、流石ですねー。

 

やはり一番の謎は竜脳炎の原因であるドラゴン・ウイルス。

ドラゴン・ウイルスが一体どこから来て、一体何を目的としたものなのか。

マッド・サイエンティスト的な天才科学者が地球滅亡を企んだとか、はたまた国家規模で超能力者を生み出す科学実験だとか、まぁどんどん空想が膨らむわけです。

読者側の方で勝手にどんどんどんどんスケールが大きくなってしまうわけです。

元々が「岡嶋二人」ですから伏線回収の妙なんてものも勝手知ったるもので、途中に提示された謎も一つ一つ丁寧に回収されていきます。

 

 

ただまぁ……結果的に言うとそうして導き出された着地点というのが、意外と平凡なもので肩透かし。。。

 

あれ?

もう一捻りないの?

 

という感じ。

色々と期待を膨らませられてしまった分、ちょっと物足りない感じがしてしまいました。

 

一応最後にオチ的なものが用意されていますが、それが良くも悪くもいわゆる○オチというやつなだけに賛否両論分かれるというか、単純に承服し兼ねるというか。

とにかくグイグイ読ませてくれる勢いのある作品だけに、なんとも勿体ない。

面白いか面白くないかというと、絶対に面白い。

だけど全体的な読後感でいうとすごく物足りない。

 

尻すぼみというのともちょっと違って、なんというか……スノーボードハーフパイプという競技で、最初のジャンプで物凄いテクニカルな技を決めたにも関わらず、だんだん勢いがなくなっていって最後のジャンプでは至って普通なジャンプで終わってしまう感じ。。。

読み進めれば進むほど期待値が減少していくという勿体なさ。

つくづく勿体ない作品でした。

『ステップファザー・ステップ』宮部みゆき

「父さんは、会社で自分の秘書をしてた女の人と」

「母さんは、この家を建ててくれた工務店の社長」

それぞれソロで歌ったあと、声をあわせて、

「半年前に出ていっちゃって、それっきりなんです」

今回読んだのは宮部みゆきの初期代表作の一つでもあろう『ステップファザー・ステップ』。

宮部みゆきと言えば何年も前に『ブレイブ・ストーリー』を読んで以来、ご無沙汰でした。

その昔、『魔術はささやく』や『パーフェクト・ブルー』といった初期作品を継ぎから次へと呼んでいた時期もあったのですが。

なんとなく離れてしまっていました。

 

泥棒が双子の父親代わり

主人公は泥棒を生業にする男。

ある日仕事中に落雷に襲われたのが運の尽き。屋根を突き破って落ちたその家には、両親がそれぞれ愛人と駆け落ちして取り残されたという双子の兄弟が住んでいました。

双子は男をかくまい、介抱してくれた上で、持ち出した交換条件というのが「父親代わりになって欲しい」というもの。

断れば警察へ突き出されるのは間違いなく、弱みを握られた男はしぶしぶながら双子の願いを聞き入れます。

 

こうして双子と男との奇妙な親子関係が始まるのです。

 

ちなみにステップファザーとは継父の事。

 

ライトミステリ

本書は7つの連作短編からなっています。

旅行に出かけた双子が旅先で置き引きに遭い助けを求めてきた先で町長が襲撃される事件に巻き込まれたり、授業参観に出向いた学校に何度も脅迫の手紙が送られていたり、はたまた双子の友達の女の子の家の庭になぜか1日おきに地方紙が投げ込まれていたり。

今で言うといわゆるライトミステリと呼ばれるジャンルに当てはまるもののようです。

 

それぞれの謎は非常に些細で、読者との知恵比べを楽しむといった純粋な本格ミステリとはかけ離れています。

しかしながらこの軽さこそが、宮部みゆきがベストセラー作家になった所以であるともいえると思うんですよね。

 

というのも本書のあとがきにも書かれていますが、宮部みゆきはかの本格ミステリの旗手こと綾辻行人と同年代……どころか同年同日生まれという奇遇な運命の下に生まれていたりします。

宮部みゆきがまだ本格的に作家として活躍する前、電車の中で『十角館の殺人』を読む人を見かけ、著者が自分と同い年だと知って衝撃を受けたというのは有名な話。

つまるところ宮部みゆきのデビュー当時というのは新本格推理ブームの真っ最中だったわけで、そこで彼女のとった道こそ、

「骨法正しい本格物とかトリックとしてすごくおもしろいのを書く人がいらっしゃいますから、どうもそこにわたしなんかは資質として入っていけないなと思ったときに、ホラーとかコメディーの方に振れてきたんです。どうにか生きる道を探そうと思って」

というコメントの通り、全く正反対の方向に向かう事でした。

その後の宮部みゆきがどうなったかは書く必要もないでしょう。

 

一つの一里塚として

そうして歴史を振り返ると、本作を含め宮部みゆきの初期作品はなかなか趣深いところがあります。

本作の双子×泥棒の親子関係という設定もそうですし、凝りに凝りまくった物語を苦心して編み出していた様子が垣間見られます。

 

連作短編の連作たる見どころの一つは、やはり双子と泥棒の関係。

最初は嫌々ながら引き受けた父親役が、双子との関係を通じてどう変化していくのか。

この辺りの機微を描くのがやはり上手です。

後半には双子の父親らしき人物とばったり対面してしまう場面もあったり……ついつい惹き込まれてしまう要素も盛りだくさん。今読んでも普通に楽しめてしまいます。

 

ただやっぱり、古いですよねえ。いかんせん。

 

1993年出版と考えればかなり斬新です。

当時大人気だった赤川次郎のシンプルながら奇をてらった設定に通ずるものを感じたりもします。

しかしながら今になってみると、ラノベを代表格にとんでもない設定の本というものはものすごく増えてしまっていますので、ちょっとやそっとのとんでもなさでは僕ら読者を満足させるのは難しくなってしまったようです。

冒頭のセリフのように、双子がセンテンスごとに交代でしゃべるというのも藤子不二雄赤塚不二夫の昭和漫画を彷彿とさせるものがあります。

加えてコメディ風味の作風なのに、笑いのネタがだいぶ風化してしまっているのがなんともはや。まぁ30年近く昔の小説を読めばそうなってしまいますよね。今の作品を比べるのがナンセンスでしょうし。

 

まぁでも、最近の宮部みゆきだけを読んで「つまらない」と断じてる人にこそ、やはり初期作品を読んで欲しいですね。『魔術はささやく』なんか大好きで何度も読み返しましたし。

新刊を追いかけるのも良いですが、時には過去のベストセラーを読んでみるのもおすすめです。

 

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#ステップファザーステップ #宮部みゆき 読了泥棒の主人公が落雷で落ちた家には両親がそれぞれ駆け落ちして取り残された双子の兄弟が。双子は警察に黙っていることと引き換えに泥棒に父親になって欲しいとお願いする。7つの連作短篇に収められた小さな事件を経るごとに奇妙な疑似親子関係は少しずつ進展。湖の底から男女の遺体が見つかり、もしかしたらそれは本物の両親で殺したのは双子だったんじゃないか……なんて宮部みゆきらしいホラーな展開もあったり。でも基本的にはハートフルなコメディー。ライトミステリ風味。宮部みゆきの初期作品はどれも差別化を図るためかかなり試行錯誤したとみられる設定や展開が見られて好きです。#本が好き #活字中毒 #本がある暮らし #本のある生活 #読了 #どくしょ #読書好きな人と繋がりたい #本好きな人と繋がりたい..※ブログ更新しました。プロフィールのリンクよりご確認ください。

『まどろみ消去』森博嗣

近づいて、フカシとヨーコが手を振ると、西之園萌絵は、両手を顔の横で広げてみせた。人類は十進法を採用しました、というジェスチャではない。

森博嗣まどろみ消去』です。

以前他の記事で書いたのですが、僕は綾辻行人をはじめとする“新本格ブーム”で推理小説に嵌まり、新旗手として登場した京極夏彦森博嗣のブレイクについていけず、推理小説から離れて行った人間です。 

そこから何年もの年月を経て、たまたま手に取った米澤穂信インシテミル』で推理小説熱を刺激され、再び推理小説を読むようになりました。

 

森博嗣単体で言えばデビュー作である『すべてがFになる』しか読んだ事がなかったのですが、改めてS&Mシリーズを順を追って読んでいるところです。

と言っても前作『封印再度』を読んだのが2017年2月ですから、牛歩のごとくゆっくりとしたペースで追いかけている事になりますが。

 

森博嗣初の短編集

本作『まどろみ消去』は森博嗣7冊目の作品となります。

ただただ刊行順に『封印再度』の次は『まどろみ消去』というだけで購入して積読化していたのですが、読み始めて初めて気づきました。

 

これ、S&Mシリーズじゃないんだ……。

 

短編集の認識はあったのですが、てっきりS&Mシリーズの短編集だとばかり思い込んでいました。

11作の短編の中でS&Mシリーズに関わるのは2作のみ。

 

後は全く関係のないオリジナル作品となっています。

以下、ざっくりあらすじ。

 

『虚空の黙祷者』

夫が殺人容疑を掛けられたまま失踪して5年、仕事の都合で引っ越しの機会を手にしたミドリは、夫の友人であり被害者の息子である住職に挨拶に向かう。家を処分するというミドリに対し、住職は自分が買うと言い、さらにはミドリにプロポーズを告げる。


『純白の女』
人里離れた屋敷にやってきたユカリが散文的に夫に向けて日々の生活や想いを綴っていく。「夫は殺人を犯した」と言う彼女の真意は。


『彼女の迷宮』

サキは作家の夫が海外出張に出ている間に、勝手に夫の物語を好き勝手な内容に書き換え発表してしまう。帰宅した夫に咎められた、彼女がとった行動とは。


『真夜中の悲鳴』
泊まり込みで卒業研究に没頭する大学院生のスピカは、実験の中で不可解な現象が起きている事に着目する。解明を目指す彼女の身に、恐ろしい事件が迫り……。


『やさしい恋人へ僕から』
同人活動をする僕の前に、ファンだというスバル氏が現れる。スバル氏は僕の家に転がり込み、なし崩し的に一緒に日々を過ごす。


ミステリィ対戦の前夜』 ※S&Mシリーズ
ミステリィ研究会の創作ミステリ発表合宿に参加させられた西之園モエ。その夜、みんなが寝静まった頃、一人酒を飲む部長の岡部から勧められ、焼酎を口にするモエ。その焼酎には薬が混入されており、目を覚ましたモエの前にはナイフが突き刺さったまま絶命した岡部の姿が。


『誰もいなくなった』 ※S&Mシリーズ
ミステリィ研究会が主催したミステリィツアー。屋上に見張り役を置き、ツアー一向が近くのマンションの屋上から見下ろしたところ、たき火を囲んで踊る30人のインディアンの姿が。ところが戻ってみるとインディアンはおらず、見張り役たちは誰も出入りしていないと証言する。インディアンたちはどこから現れて、どこに消えてしまったのか。


『何をするためにきたのか』
平凡な学生生活を送るフガクの前に現れるワタル。フミエという女の子、ゲンジという坊主が次々とフガクの元へとやってくる。大学の隣の空き地から地下へ降りる階段を進み、広がる迷宮の中には魔物が現れ……。


『悩める刑事』
夫の仕事の話を聞きたがる推理小説マニアのキヨノに求められるまま、夫であるモリオは殺人事件の様子を披露する。


『心の法則』
モザイクアートが趣味のモビカ氏の元を訪れる僕。そんな僕に、モビカ氏は歯のような大きさの石が欲しいと言う。


『キシマ先生の静かな生活』
犀川先生と並ぶ変人助手、キシマ先生に盲信する僕。キシマ先生はどうやら計算機センタの沢村さんに想いを寄せているよう。

 

 

やっちまったな

この本のすごいところはですね……どうしようもないやっちまった感で満載なところです。

簡単に言うと、よく本出版できたなというレベルで残念な作品でいっぱい。

 

どの作品も一般的な短編推理とは違います。

遠からず近からずなところで乙一の『GOTH』に近いものがあるかな。

あんまり言うとネタバレになってしまうので控えますが、いわゆる文章だったり、視点だったり、妙なところにトリックが仕掛けられている系の作品ばかり。

 

ただ、遠からず近からずと言ったのは……スゲー下手くそです。

一読しても意味のわからないものばかり。

驚いて前のページを見返す……というのではなく、「はぁ?」とあきれ返る感じ。

 

でもってちゃんとオチがあればいいのですが、「オチがないのがオチ」的なメタ系作品もあったりして。もう勘弁して、状態。

 

当時、森博嗣は妙に人気ありましたからね。

本を出せば売れる、雑誌に掲載すればその雑誌が売れる、という状態だったのでしょう。

内容に関わらずとにかく書け、とにかく出せ、とにもかくにも世に送り出せというバブリー状態で出されたのが本作だった、と。そんな大人の事情が透けて見えるクオリティです。

 

森博嗣という人気作家の名前に釣られて本作を手にした人は、どんな気持ちだったんでしょう。仮に本作が森博嗣に触れる最初の作品だったとしたら……と想像するだけで寒気がします。

実際こうして水準以下の作品を量産していった結果、森博嗣の名前はどんどん出版界の中で下火になっていってしまったのでしょうね。

前述の通り僕はようやくS&Mシリーズを追いかけ始めた段階で、その後発表されたGだのVだのスカイクロレラだのというシリーズに関しては予備知識すらない状態です。いずれS&Mシリーズを読破した後にはそれらの作品にも手を伸ばしたいと思ってはいるのですが……特に話題になったという作品も聞かないだけに、怖い気もします。

森博嗣の代表作って、どんなに作品を出しても未だに『すべてがFになる』のままですもんね。

 

封印再度』までは(『すべてがFになる』のインパクトには劣るとしても)それなりに楽しめてこれただけに、先が心配になります。

いくらなんでもこんなにひどい作品を出しているとは思わなかったなぁ。

 

https://www.instagram.com/p/ByzX7oIF9ji/

#まどろみ消去 #森博嗣 読了森博嗣の初期短編集。てっきり S&Mシリーズと思っていたら西野園萌絵が出てくるのは11作中2作だけでした。 ……てな事がどうでもよくなるぐらい残念な作品。一応最後まで読んだけど。森博嗣ブームの絶頂期にとにかく出せ、とにかく売れで書かれた本なんだろうな、なんて邪推したり。。。 よっぽと森博嗣が好きで書いた作品は1つ残らず読んでおきたいという同人的なノリの人でもない限りおすすめしません←#本が好き #活字中毒 #本がある暮らし #本のある生活 #読了 #どくしょ #読書好きな人と繋がりたい #本好きな人と繋がりたい..※ブログ更新しました。プロフィールのリンクよりご確認ください。