おすすめ読書・書評・感想・ブックレビューブログ

年間100冊前後の読書を楽しんでいます。推理小説・恋愛小説・歴史小説・ビジネス書・ラノベなんでもあり。

『チョコレートコスモス』恩田陸

 

本当に、役者という商売は面白い。舞台は面白い。同じホンでも、やる人間でこんなに違ってきてしまう。

興奮冷めやらぬまま、キーボードを叩いています。

さて、この感動をどう記したら良いものか。

今回読んだのはチョコレートコスモス

第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞のダブル受賞した蜜蜂と遠雷

第2回本屋大賞、第26回吉川英治文学新人賞をダブル受賞した夜のピクニック

……等で知られる恩田陸の作品です。

 

蜜蜂と遠雷』を読んだら『チョコレートコスモス』を読め!

蜜蜂と遠雷』で初めて恩田陸に触れたという人が、「他に何かおすすめの作品はあるかな?」と検索した時にヒットするのが上記の『夜のピクニック』と並び、本書『チョコレートコスモス』ではないでしょうか。

本屋大賞も受賞し、恩田陸の代表作の一つともされる『夜のピクニック』と並んでチョコレートコスモス』が推薦される理由……それは“演劇”の“オーディション”を題材にした上、『蜜蜂と遠雷』と非常によく似た物語の構造となっているから

実は物語の構造としては非常にオーソドックスな形態です。

  • とある「大会」を舞台に「選手」たちが「戦いを繰り広げる。
  • 「選手」の中には雑草型から天才肌、エリートまで多種多様なキャラクター。
  • 勝負の行方を混乱させるダークホースの存在。

皆さんの頭の中にも何がしかの作品が思い浮かんだかもしれません。

主にそれはスポーツや格闘技を主題にしたものが多いかもしれませんが、意外と名作だったりするのではないでしょうか?

蜜蜂と遠雷』もそんな構造を利用して書かれた作品です。

蜜蜂と遠雷』のブログで、僕は上記のように分析しました。

linus.hatenablog.jp

本書『チョコレートコスモス』もまた、オーディションを舞台に多様な女優たちが火花を散らす戦いの物語なのです。

 

天才・佐々木飛鳥

蜜蜂と遠雷』では風間塵という一人の天才がダークホースとなり、作中における強烈なスパイスとしての役目を果たしました。

チョコレートコスモス』で言わば風間塵の役割を果たすのが、大学一年生・若干18歳の佐々木飛鳥

彼女は全く舞台の経験もないにも関わらず、とんでもない才能を見せつけます。

卓越しているのは模写の能力。

初めて会う人物の仕草や表情、醸し出す雰囲気や空気感までも、そっくりそのまま模写してしまうのです。

彼女はちょっとした興味から大学の劇団に参加し、初舞台で見せた強烈な演技力から、とあるオーディションに参加する事となります。

それは新国立劇場こけら落としに用意された、伝説的な巨匠・芹澤泰二郎の舞台。

芸能界から大御所と呼ばれる女優や実力派の若手女優、評価急上昇中のアイドル等が参加するオーディションに、素人である佐々木飛鳥が参戦するのです。

 

オーディションに参加する女優たち

オーディションには数々の女優たちが参加しています。

彼女たちの中で選ばれるのは僅かに2人。

芹澤泰二郎の舞台では主演として2人の女優を軸とする事を予定しており、その為のオーディションなのです。

本書の中で実際に登場するのは佐々木飛鳥に加え、以下の3人。

 

 『岩槻徳子』

   往年の映画スターであり大女優。

 

 『安積あおい』

   新人ながら女優としての才能を見せるアイドル。

 

 『宗像葉月』

   非常に評価の高まりつつある芸能一家生まれの二世女優。

 

この辺りの配役がなかなかの絶妙さ。

徳子は大女優ならではの落ち着きで、言わば王道・スタンダードな演技を見せますし、あおいは若さを目いっぱい発揮してある意味向こう見ずな立ち回りを演じます。葉月は彼女たちとも違い、若手実力派としての個性的に演じてくれるのです。

 

同じ舞台を、彼らがどんな風に特徴的に演じるか。

 

この辺りの描写の卓越さは『蜜蜂と遠雷』に通じる部分があろうかと思います。

一人一人の演奏が終わる度、次はどんな演奏をしてくれるんだろう、なんて本を読んでいるのも関わらず、実際にコンサートホールにいるような気分でページをめくり続けましたもんね。

 

チョコレートコスモス』でもあれと同じ興奮を味わえるんですよ。

 

そして本来は一番最初に触れるべきなのかもしれませんが、彼らとは少し違った立場で当初より物語をけん引するのが、東響子

彼女もまた葉月同様に役者一家に生まれ、物心ついた時には当たり前のように舞台に立ってきた演劇界のサラブレット。生まれ持った美貌に加え、人気、実力とも若手随一と言われるスター

彼女は別の舞台であおいと共演し、彼女の才能に舌を巻くと同時に、芹澤舞台のオーディションに参加するというあおいに嫉妬します。そして呼ばれもしないオーディション会場へと足を運ぶのです。

演劇界のサラブレット、という異名にそぐわぬ、プライドをかなぐり捨てたなりふり構わぬ行動に、つい彼女の味方にならざるを得ません。

響子は上の三人の演技を目の当たりにし、芹澤泰二郎監督自身にオーディションを受けさせてくれるよう懇願しますが、「無駄なオーディションはやらない」とピシャリとはねのけられてしまいます。

しかし、迎えた二次オーディション。

芹澤は響子に別の役目を打診するのです。

 

恩田陸はスロースタート

物語が盛り上がってくるのは一次オーディションが始まる物語後半から。

それまでの約300ページや響子とあおいの舞台上での関係性や、飛鳥の演劇デビュー等、彼らの人間性やこれまでの人生を描いた言わば伏線が中心となります。

その間は冗長さが否めず、正直読むのが捗りません。

これって『夜のピクニック』にも見られたんですけど、恩田陸の特徴というか癖なのかもしれませんね。基本的に前半は盛り上がりに欠けるのです。

しかし、一時オーディションが始まると物語に一気に火が点きます。

やめ時を見誤ってしまい、ついついどこまでも夢中になって読み続けてしまうような状態です。

もしかしたら本作の評価がいまいちなのって、そんなところにもあったりして。

 

拭えない時代感・未熟さ……

本書は2004年6月から約1年強の間、『サンデー毎日』で連載されていた作品です。

夜のピクニック』が 2004年5月までの連載でしたから、直後に書かれた作品と言えるかもしれません。

蜜蜂と遠雷』が2009年4月からですから、約5年の月日が流れている事になります。

そういう意味では、ところどころ“古さ”が目立つんですよねぇ……。

 

これは『ドミノ』にも見られた傾向なんですが、ところどころで地の文に、作者というか天の声の“語り”的なものが入ってきたりするんです。

 

そろそろこの辺りで、佐々木飛鳥なる少女がいったいどんな人間なのか、彼女の側から語っておく必要があるだろう。

 

よく言えば司馬遼太郎なんかではよく見られる語り口です。

でも最近の小説ではすっかり見られなくなったと感じています。

こういう語り口が出るだけで、妙に“昭和感”が出てしまうというか……。

今はこういった前置き無しに、ストレートに書き始めますよね。もしかしたら無駄な文章として、編集さんにカットされてしまうのかもしれません。存在しなくても普通に成立しますから。

 

その他、『蜜蜂と遠雷』の完成度と比べてしまうと、どうしても“アラ”が見え隠れしてしまいます。

佐々木飛鳥があまりにも生まれ持っての天才過ぎるので、もう少し風間塵的なエピソードや後ろ盾が欲しいとか、他の登場人物に関してもちょっと弱いように感じられたり、とか。飛鳥と同じ劇団員である巽や新垣が一般人の目線の役割を果たしますが、彼らの役割を考えると人物造形としてはもっと薄めで十分なんじゃないか、とか。序盤から視点がころころ変わるから混乱する、とか。

今から数年前の作品なんで仕方がないのでしょうが……。

 

でも、もし本作を今の恩田陸が書き直したら、とんでもない作品が出来上がったりして。

 

なんてついつい考えてしまったりしました。

 

でもさらに深く突き詰めると、本作『チョコレートコスモス』の構造をほぼそのままに、中身を変えて新たに書き直したのが『蜜蜂と遠雷』と言えるのかもしれません。

 

未完の続編『ダンデライオン

とにかく熱中してしまい、幸せな読書時間を味わわせてくれた本書でしたが、あとがきによると作者の中では『ダンデライオン』、『チェリーブロッサム』と続く三部作なのだそうです。

しかし、ダンデライオン』は連載していた雑誌の廃刊により、中断状態となっているそうな。。。

構想はほぼ出来ているのでしょうから、描き下ろしでもなんでもぜひ続けて欲しいところです。

今の恩田陸ならば、きっとどこの出版社でも連載再開を受け入れてくれると思うのですが。

でも……『蜜蜂と遠雷』がブレイクしてしまった今となっては難しいのかな?

完成度で劣る『チョコレートコスモス』の続編よりは、『蜜蜂と遠雷』の続編なりアナザーストーリーの方が需要高そうですもんね。

いずれにせよ恩田陸は意外と多作家でまだまだ未読の本もたくさんありますので、それらを読みながら気長に待ちたいと思います。

少なくとも本書を読んだ事で、僕の中での恩田陸の評価はまた一段と高まりました。

早く別の作品を読みたいですね。

とりあえず積読本にネバーランドがあったから、手始めはそれになるかな。

こうご期待!

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#チョコレートコスモス #恩田陸 読了#蜜蜂と遠雷 と似た物語として次に読むべき本に挙げられる事も多い作品。舞台のオーディションを題材に、ベテランや実力派の若手女優、無名の新人がしのぎを削る物語です。蜜蜂と遠雷に比べると前半半分は冗長だったり、完成度で劣るのは否めませんが、先の展開が気になって読むのがやめられなくぐらいには夢中になってしまいました。まさに蜜蜂と遠雷と同じ。恩田陸、やっぱりいいなぁ。他の本もどんどん読もう!#本が好き #活字中毒 #本がある暮らし #本のある生活 #読了 #どくしょ #読書好きな人と繋がりたい #本好きな人と繋がりたい. .※ブログ更新しました。プロフィールのリンクよりご確認ください。

『山女日記』湊かなえ

そろそろ私も、新しい景色を切り取りに行こうか。 

 先日の北村薫『八月の六日間』に続き、“ガチじゃない”ゆるめの登山ものとして定評のある湊かなえ『山女日記』を読みました。

イヤミスの女王”として不動の人気を誇る湊かなえですが、僕が読んだのはデビュー作の『告白』『白ゆき姫殺人事件』

後者の方は以前ブログにも書いています。

かなり簡素な内容ですけど……。

linus.hatenablog.jp

 

正直なところ、やっぱりわざわざ時間を削って読むからには“読後感”にこだわりたく、出来れば“後味が良い”のが望ましいところ

バッドエンドよりはハッピーエンドの方が好ましいし、よっぽどの理由がない限り、リドル・ストーリーよりはしっかりと結末まで書いて欲しい。

 

そういう意味ではイヤミス”って微妙な立ち位置ですよね。

読んで嫌な気持ちになったり、後味の悪さを楽しむミステリーのこと

後味の悪さ保証の物語って……。

人気の理由が今一つわからなかったりします。

 

そんなわけで、話題の作家さんとは知りつつも、湊かなえをはじめ“イヤミス”と言われる作家の本はあまり手に取らないのですが。

本作は“登山”の本ですからね。

 

しかも聞くところによると『八月の六日間』と並んで、“ガチじゃない”ゆるめの登山ものとして有名らしい。

 

さてさて、“イヤミスの女王”がどんな爽やかな物語を書いてくれるのか。

そう期待して、ページをめくりました。

 

7つの山、7様の登山者

本書では各章のタイトルそのものが妙高山火打山槍ヶ岳利尻山・白馬岳・金時山・トンガリロと山の名前になっています。

内容はタイトルとなった山の山行。

 

連作短編とまではいきませんが、それぞれの物語や登場人物が少しずつリンクしていたりします。

 

例えば第一話の妙高山に登場する律子と由美。

二人は同じデパートの同僚ですが、一緒に行くはずだったにも関わらず病気でドタキャンしてしまった舞子は、第六話の主人公だったりします。

続く第二話ではお見合いイベントで出会った男性・神崎と火打山を目指す美津子が主人公ですが、時系列としては第一話と繋がっています。第一話では主人公だった律子と由美が、第二話では脇役として物語に花を添えています。

続く第三話では、律子と由美、舞子の同期三人組に登山のアドバイスをした先輩・しのぶが主人公に。

第四話・第五話ではそれぞれ妹と姉が主人公に。

第六話では、第一話の妙高山に律子・由美と一緒に行くはずだった舞子が主人公に。

 

……といった具合に完全な連作短編とは言えませんが、それぞれがどこかで繋がっている、という構成になっています。

 

 舞台となる山はそれぞれ百名山だったり、ビギナー向けの入門用として有名な山だったりしますが、山自体に関する描写は極めて少な目。

では何が物語の主軸となっているかというと……主人公たちの頭の中、という事になります。

 

山登りの最中、女たちの頭を占めるもの

主人公たちは実に様々なことに思いを巡らせます。

ただし、本作において彼女たちが主に考えているのは“男”“結婚”の話がほとんど

第一話では彼氏との結婚を目前に控えたものの、暗に同居を匂わせられてしまった律子が、結婚をすべきか、やめるべきかと悩み続けます。一方で由美は職場の上司と不倫中。しかもその上司は律子たちが仲人をお願いした相手。

 

律子はそんな由美に対して嫌悪感を露わにします。

不倫そのものに対する嫌悪感に加え、「もしも相手が自分の彼氏だったら……」などと妄想を膨らませて怒りを増幅させるあたりは、だいぶヤバい人です。

しかもガンガン本人に向けてぶつけます。

 

「りっちゃん、わたし、もうダメ」

「じゃあ、引き返したら」

ここならそうした方がいいはずだ。牧野さんが教えてくれた回避ルートにすら到着していないのだから。

「え? いや、そういうのじゃないから。お水飲んで、ちょっと休憩したら大丈夫」

「あ、そう」

まぎらわしい。

 

ギスギスし過ぎでしょ笑

 

不倫は擁護できないにしても、いくらなんでも由美がかわいそう過ぎます。

しかもなりゆきとはいえ、一緒に山登りに来ている相手なんですけどねー。

だったらもっと早い段階で同行を断るべきだと思うんですけど。

なんとなく彼女のキャラ的に、置き去りにされたとしても他の登山者に拾われて、かえって楽しく過ごしてしまいそうな感もあったりします。

 

続く第二話で主人公を務める美津子はバブリー世代のアラフォー独身さん。お見合いイベントで出会った神崎に誘われ、登山に来ています。

こちらもせっかく神崎が用意した高級なコーヒーに「酸味が強いのが少し苦手」と言い放ちゴディバのチョコレートには「チョコレートはゴディバじゃないと嫌っ! という女だと思われているのだろうか」と過剰なコンプレックスを抱く女性だったりします。

 

山に連れてきたのは、わたしを変化させたかったのではない。自分の勇姿を見せたかっただけなのだ。見た目はパッとしない自分に、ガスバーナーを上手に扱い、とんぼ玉を上手に作れるからと寄ってきた女に、さらなる得意なことを見せつけて、すごい、と言わせたいのだろう。

 

……なんですかこの自己中心的な考え方。

神崎さんすごく良い人なんですけどねー。

どうしてこんな女性を選んだんでしょう?

 

更に続く三話目では、しのぶさんがそれはもう酷い目に遭います。

彼女はただ一人で山登りに来ただけなのですが、そこで出会ったのが老齢の男女二人組。夫婦かと思いきや、初めての山登りという木村さんが、たまたまロビーであった本郷さんにお願いする形で一緒に行動する事になったのだという。

この二人がとにかくヒドい。

ベテランであろう本郷さんは何かにつけてダメ出しを加え、求めてもいないアドバイスをしようとします。

 

「きみの荷物はとても少なそうだが、ちゃんと水は二リットル用意しているのかね」

「ありますよ」

「じゃあ、飲んだ方がいい」

本郷さんに言われて、仕方なく水を飲む。

 

まぁ登山あるあるですが、確かによく山にいるおじさんです笑

本人は親切心で言っているつもりなのでしょうけど、こういう人と一緒になってしまうと面倒で仕方がありません。

 

しかしながら、本郷さんに輪をかけてどうしようもないのが木村さん。

彼女は初めての登山にも関わらず、本郷さんの弟子でもあるかのように彼の教えを盲信し、しのぶさんを見下すのです。

 

「お二人とも、よかったらこれを飲んでください」

リュックから錠剤の入った袋を取り出して渡す。

「なんだね、これは」

アミノ酸です」

「きみはそんなものを飲んで山に登っているのか。自然を相手に、己の体力を正面からぶつける真剣勝負の場で、薬の力を頼るのはいかがなものかと思うが」

「そうよね、なんだかフェアじゃないような気がするわ」

「水を飲みましょう」

本郷さんがそう振り返り、足を止めた。木村さんはごくごくと喉を鳴らして水を飲んでいる。

「あなたも水を飲むのよ」

木村さんに言われ、欲しくもない水を口に含む。

ミヤマオダマキだな、これは」

本郷さんが言い、木村さんが復唱しながらメモを取る。そして、私を見上げた。

「あなた、どうしてメモを取らないの。せっかく本郷さんが調べてくれたのに。あなたもこの花の名前を知らなかったんでしょ」

「いや、興味ないので」

「まあ……。花に興味がない人がこの世にいるなんて、信じられないわ」

 

いや、こんなやつら放っておけよ!

 

たまたま登っている最中に出くわしただけで、律儀に一緒に付き合う意味がわかりません。

こんな不愉快な人たちに付き合う必要はないでしょう。

せっかくの休日に、時間も費用もかけてやってきた山で、わざわざ不愉快な思いする必要なんてないんです。

 

イヤミス”ならぬ“イヤ女”たちの物語

本作は、一言でまとめると上記のようになろうかと思います。

どの話にも、一癖も二癖もある、ものすごく嫌な人たちが登場します。

なのでどの話を読んでも、基本的に読後感が良くないです。

 

ああ、これが湊かなえか……。

 

と思い出してしまう後味の悪さ。

話としてはすっきりまとまっているものも少なくないんですけどね。

そこに至るまでのやり取りが人間性を疑うようなヒドいものが多いので、「最後に仲直りしました」的な締め括りをされても「どうだかなぁ」といまいち腹落ちできなかったり。。。

 

山登りを舞台に、女性たちの人生の一部を描こうとしたのでしょうが、それにしてもほぼ一様に“結婚”、“男”といったテーマばかりなのは、狙ってそうしたのか。

 

俗にいう“毒女”さんたちの『山女日記』とでも言うべきか。

 

最初に北村薫の『八月の六日間』と並ぶ“ガチじゃない”ゆるめの登山ものと書きましたが、どちらをおすすめするかと聞かれれば、断然北村薫を推したいと思います。

 

人にもよるかもしれませんが、登山って一人でも大人数でももっと気軽に、楽めるものですから。

 

……本当にこの本読んで、山登りしてみたくなる人、いるのかな?

 

至仏山に行ってきました

『八月の六日間』のブログにも書いていた通り、9/17(月・祝)の連休最終日、山登りに行ってきました。

linus.hatenablog.jp

目指したのは尾瀬至仏山

これまでにも尾瀬福島県側である燧ケ岳・会津駒ヶ岳平ヶ岳田代山帝釈山などには登ってきたのですが、今回は満を持して、初めて反対側である群馬県側から登ってきました。

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ところが御覧の通り、ずっと雲に包まれているような悪天候でさっぱり視界は晴れず、ちょっと残念な登山になってしまいました。

コーヒーは飲んだけれど、飲みながら読書なんていう優雅な時間を過ごせるような状況では全くなく……

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ただし、『山女日記』に登場するトリカブトの花が最盛期を迎えていて、とっても綺麗でした。

僕も初めて見たのですが、こんな不思議な形をしているんですね。

ソラマメのような、人間の鼻のような特徴的な形。

雨の中でしたけど、緑の中に群青色が鮮やかでした。

 

これからの季節は暑さも和らぎ、紅葉も少しずつ進んできます。

皆さんもぜひ一度登山に出かけてみて下さいね。

低い山でも、山頂でコーヒーを飲んだり、カップラーメンを食べるだけでもとっても気持ちが良いですよ。

https://www.instagram.com/p/Bn2QBhZHNu5/

#山女日記 #湊かなえ 読了7つの山における7つの短編集。それぞれの話は登場人物や職場、持ち物などで緩く繋がっており、連作短篇にも似た構成となっています。登山というよりは主人公となる女性たちの人生の一部を描いたという感じ。なので登山に関する描写よりも彼女たちの内面に重きを置かれています。#イヤミスの女王 らしく登場する女性たちが一癖も二癖もある嫌な女ばかり笑やたらと"男""結婚"ばかり考える #毒女 たちの山日記といった風情です。後味も全体的に悪し。良く言えば湊かなえらしい本。個人的には登山はもっと楽しんで欲しいかな。#本が好き #活字中毒 #本がある暮らし #本のある生活 #読了 #どくしょ #読書好きな人と繋がりたい #本好きな人と繋がりたい..※ブログ更新しました。プロフィールのリンクよりご確認ください。

『密室殺人ゲーム2.0』歌野晶午

あのさ、オレ様は殺しただけなの。検屍はしていないから、死因なんてわからねーよ。いちおう殺害方法を説明しておくと、最初に後頭部をガツンガツンと何回か殴って、やつはそれで床に倒れて動かなくなったんだけど、念のため胸を数回刺した。頭と心臓、どっちが直接の死因になったんだろうね。

のっけから清々しいぐらいの猟奇的なセリフを取り上げました。

「ザンギャ君らしい」と前作『密室殺人ゲーム王手飛車取り』を読んだ人ならば思わずほくそ笑んでしまう一幕です。

『密室殺人ゲーム王手飛車取り』を読んだのは僅か10日ほど前の話なのですが、非常に気に入ってしまい、そう間をおかずして続編の『密室殺人ゲーム2.0』を手に取りました。

ちなみに『密室殺人ゲーム王手飛車取り』を読んだ際のブログはこちらです。

linus.hatenablog.jp

取り留めもなく「新本格推理」であり「歌野晶午」の話に終始していますが、興味がある方は読んでみてください。

 

再び繰り広げられる殺人推理ゲーム

無灯火の自転車で走行していて警察に職務質問を受ける不審な男。

ほぼ同時刻、女子大生が賃貸マンションの一室で死んでいるのが発見される。

事件を受けて再び任意聴取に呼び出された男は、自らの犯行と認めつつも、動機については「ゲームである」と供述し、メモ用紙に謎の数字の羅列を記したまま、黙秘に入ってしまった。

 

……といったプロローグから始まり、次のページの中央に記された、

 

Q1 次は誰が殺しますか?

 

という見出しで本作は始まります。

そうしてお馴染みの“頭狂人”、“044APD”、“aXe(アクス)”、“ザンギャ君”、“伴道全教授”という5人が登場。事件についての考察を始めます。

 

ところがどうやら、本事件に関しては5人ではない他の人間による犯行らしい。

 

その点がタイトルにもつけられた「2.0」たる所以。

 

本書の扉にも書かれているのですが、「2.0」とは「Web2.0」からきています。

Web2.0とはティム・オライリーという人が提唱した概念であり、ウェブの新しい利用法を指す言葉として2005年頃から急速に広まったそうです。

Web 2.0 - Wikipedia

結局定義が曖昧なまま自然消滅してしまったようですが、本書においてはティム・オライリーが当初に唱えていた下記のような考えを下敷きにしているようですね。

 

旧来は情報の送り手と受け手が固定され送り手から受け手への一方的な流れであった状態が、送り手と受け手が流動化し誰でもがウェブを通して情報を発信できるように変化したウェブを「Web 2.0 」とする。

 

つまるところ、前作『密室殺人ゲーム王手飛車取り』を経て、『密室殺人ゲーム2.0』で起こっている事態というのは……

 

彼ら以外にも、殺人ゲームに興じる模倣犯が他出している

 

という現象に他なりません。

 

もうゾクゾクッとしちゃいますね。

 

しかしながら前作では大きな謎を残したまま終わってしまいましたから、我々読者の一番の興味はそこに尽きます。

 

5人はまだ健在だった。

殺人ゲームは続いていた。

 

というだけで既にワクワクが止まりません。

ただ、「5人揃っている」というのがポイントだったりもするんですが。

 

どうして全員いるのか。

前作との時系列はどうなっているのか。

 

彼らとともに推理ゲームに身を投じつつ、我々読者は、一方で作者との推理ゲームを進めるという展開になります。

 

何書いてもネタバレ

前作のブログでも書きましたけどね。

 

……書けないですよ。推理小説の感想とか。

何書いてもネタバレになっちゃいますもん。

 

物語の構成としては、基本的には前作を踏襲しています。

 

Q1の『次は誰が殺しますか?』こそ他者の犯行を題材としていますが、Q2ではお馴染み伴道全教授の軽い問題が楽しめます。

「場つなぎに軽めの問題を出しておったのだよ」

「ああ、いつもの脱力系」

「癒し系」

「どんな問題よ?」

この辺りの掛け合いも前作同様で面白いです。

 

そしてQ3ではザンギャ君の猟奇的な事件。Q4では頭狂人の倫理感に問われる事件。Q5ではaXeの雪密室と、それぞれが個性的な事件を披露し、最後のQ6は044APD。

彼は前作同様、5人の中では抜きんでた推理力を持つ実力者として位置づけられています。

他の4人が意気込む中、044APDは物語のトリを飾るにふさわしい事件を起しますが……。

 

見誤ったかな?

正直なところ、前作に比べると「新鮮さ」や「面白さ」という点においては肩透かしな面は否めません。

それもそのはず、2作目となる本書では登場人物たちが起こす殺人推理ゲームと並行して、前作から続く大きな“謎”について、実質的には作者と読者間の推理ゲームが展開しているのです。

 

ある意味では我々読者の一番の興味は後者にこそあると言っても過言ではありません。

ただ推理ゲームだけだとしたら、どうしたって前作を超える作品にはなりませんからね。

何かしらとんでもないネタを仕込んでいるのだろうと身構えながら読み進めているわけです。

 

ところが、その“謎”については物語の半ば過ぎで、あっけなく解説されてしまうのです。

 

……あれ、これでネタバレ終わり?

 

首を捻ってしまうような淡白さ

 

もしかしたらもう一回、二回ぐらいのどんでん返しがあるんじゃないか。

歌野晶午ならやりかねない。

 

そう思って読み進めていくんですが……ちょっと残念な終わり方になってしまいましたね。

 

ただしあとがきによると元々本書は三部作で考えられていて、しかも現在刊行されている『密室殺人ゲーム・マニアックス』については当初の想定外の作品であり、「2.5」とでも呼ぶべき位置づけなのだとか。

 

それ次第では『密室殺人ゲーム2.0』の評価も大きく覆されてしまうかもしれませんし。

 

解説 杉江松恋を見たら当たりと思え!

本書の解説は杉江松恋です。

個人的には彼の名前を見た時点でガッツポーズ。

 

何せ杉江松恋の解説は非常に質が高いからです。

 

以前に読んだのは藤ダリオの『出口なし』でしたが、「フーダニット、ハウダニットホワイダニットと続いてきたミステリの新潮流がホワットダニットだ」とする論考は非常に興味深いものでした。

従来の推理小説の謎としては「Who=誰がやったのか?」「How=どうやったのか?」「Why=なぜやったのか?」というものが主流でしたが、昨今では綾辻行人『another』などにみられる「What=何が起きているのか?」という謎がトレンドになってきている、というもの。

『出口なし』自体は作品としてさほど良いとは言い難いのですが、巻末の杉江松恋の解説は一読の価値があると思っています。

 

少し長いですが一例を挙げましょう。

おもしろいのは彼らの間に「密室とアリバイはトリック界の飛車と角であり、ネタを考えるにあたってはどうしてもその二つに頭が行きがちになる」という認識があることだ。「犯人当て」はミステリーにおける「王将」の謎だが、このゲームにおいては犯人=出題者という前提があるためそれを問題にすることができないのである。逆に、その限定があるからこそ他に類例のない設問が創造できたのだと言うこともできるでしょう。

 参加者たちの出題は、やむをえず「飛車」と「角」を取りに行こうとするものと、それ以外の喜作に走ろうとするものに二極化している。(~~中略~~)だからといって「飛車」「角」ばかりに気を取られていると出題者にしてやられる。中には「王将」をだしに使って「飛車」を取るようなトリックが紛れているからだ(だから『王手飛車取り』)。

『密室殺人ゲーム王手飛車取り』の意味について、これほど簡潔で明瞭な解説はありませんよね。

作品名の意味について、理解しないまま読み終えてしまっていた読者も多かったと思います。

正直、僕もそうでした。

本のタイトルなんて色んなパターンがあるから、「ゲームっぽい感じが王手飛車取りかな?」なんて適当に納得したり。

 

……そんなわけで、本書は作品としては前作『密室殺人ゲーム王手飛車取り』に劣りつつも、巻末には杉江松恋の解説というなかなか豪華なおまけもついています。

ぜひ併せて読んでみて下さい。

https://www.instagram.com/p/Bnr8a_5nJAG/

#密室殺人ゲーム2.0 #歌野晶午 読了前作 #密室殺人ゲーム王手飛車取り を読んで僅か10日あまり早速続編を読んでしまいました今回も頭狂人、ザンギャ君、aXe、伴道全教授、044APDといった面々は健在で殺人推理ゲームを繰り広げます。いや、むしろ前作のラストを考えると健在なのが謎だったりするのだけどしかも今度は模倣犯らしき連中まで出現。頭狂人たちの推理ゲームを楽しみながら、前作で残された謎について、作者との推理ゲームも同時進行で進めざるを得なくなります。ところが……読み終えての満足度としては前作の方が圧倒的に上かな?ただし解説が #杉江松恋 で今回もとても興味深い解説を書かれています。それも合わせれば十分満足。次は #密室殺人ゲームマニアックス だな。#本が好き #活字中毒 #本がある暮らし #本のある生活 #読了 #どくしょ #読書好きな人と繋がりたい #本好きな人と繋がりたい..※ブログ更新しました。プロフィールのリンクよりご確認ください。

『八月の六日間』北村薫

疲れるのでは――という予感がある。本も読めない気がする。しかし、書籍は常備薬と同じだ。手の届くところに活字がないと不安になる。

とか言って、荷物てんこ盛りのザックにわざわざ本を(しかも2,3冊!)詰めてしまうのが本書の主人公。

でもまぁ、同じように本も読み、山も登る人間としては大いに共感してしまったりもします。

僕にとって本は常備薬というより、水筒に詰めた飲み物みたいなイメージですけど。

水分や食料と一緒で定期的に活字を摂取する感じですね。

 

……のっけから余談に逸れましたが、今回読んだのは北村薫『八月の六日間』

40代独身の女性編集者が、五つの山に登る山行の連作短編形式の物語です。

 

日常の謎”の生みの親

今や大人気の米澤穂信をはじめ、推理小説の一ジャンルとして確立した感さえある“日常の謎

もう少し間口を広げて“ライトミステリ”なんて呼び方をしたりもしますが。

 

その生みの親こそが北村薫

 

先日長々と書いてしまった「新本格ムーブメント」のさなかにデビューした北村薫が、デビュー作『空飛ぶ馬』で投じたのが“日常の謎”でした。

 

人も死なず、刑事も警察も名探偵も登場せず、日常の中で起こる不可解な謎に主題を置いた北村薫は、新鮮さと驚きをもって推理小説の世界に迎えられていったのです。

 

僕の持論としては綾辻行人から始まる新本格推理小説の作家陣から、密室・名探偵といった従来の本格推理の枠を飛び出そうとデビューしてきたのが麻耶雄嵩二階堂黎人で、実際に殻を打ち破る役目を果たしたのが京極夏彦であり、森博嗣だと思っています。

 

それぞれ“妖怪”や“理系”といった本格推理+αの要素を加えて、市民権を得られるエンターテインメントに昇華させていった、と。

 

でも考えてみると、誰よりも先に本格推理小説の新境地を切り開いた人間としては、北村薫を挙げるべきでしたよね。

日常の謎”よりも何よりも、推理小説に従来とは異なる要素を加えた先駆者と呼べるかもしれません。

 

そうしていつの間にか、北村薫推理小説出身ながら第141回直木賞を受賞する程の市民権を得る作家となっていたのでした。

prizesworld.com

……ちなみに僕、そう書いておきながら直木賞受賞作である『鷺と雪』はまだ未読だったりします。

全三作の『ベッキーさんシリーズ』の三作目とあって、どうせ読むのであれば最初から読まないとなぁ、と思っているうちに時間が過ぎてしまった感じです。

いい加減、読まないとなぁ。

 

比較的ライトな登山

一応本書のタグとして「山岳小説」を入れたのですが……。

もしかしたら山岳小説ファンの方には怒られてしまうかもしれません。

実際に本書、硬派な登山者からは叩かれたりもしているようですので。

 

というのも、本書で書かれている山行はかなりライトな登山です。

 

率直に言えば素人っぽい、歯に衣着せずに言えばある意味では無謀な登山が書かれています。

上記のような硬派な登山者からは「こんなの真似する奴が出てきたらどうするんだ」といった厳しい意見もあるようです。

特に登山計画――日程や行動時間、自身の体力の捉え方等、といった部分が批判されているようですね。

 

擁護する訳じゃないですけど、別にしっかりと模範的な登山の物語を書こうとしたわけではないのでしょうから、個人的には別に問題ないと思うんですけど。

 

実際山に行けば、この人大丈夫かな?と心配になってしまうような人もたくさんいます。

地図も何も持たず、無邪気に「ここからどっちに行けばいいですか?」なんて聞いてくる人はザラですし、人気もなく、遅い時間に頼りない足取りで「今日は○○小屋まで行くんだよー」なんてニコニコ言うおじいさん、おばあさんも多いです。その足取りじゃ日が暮れちゃうんじゃないかな、なんてその都度心配になります。

 

批判する方は実際にそういった楽観的な、逆に言えば無計画な登山者に会って肝を冷やした経験があり、その上で怒っているのかもしれません。

 

とはいえしっかり計画して経験も積んだ上級者しか山登りを楽しんではいけません、なんていうのも本末転倒ですしね。

 

とにかく僕としては、もっともっとたくさんの人に、気軽に登山を楽しんでほしいと思うわけです。

その意味で本書はもっと評価してあげたいですよね。

硬派な山行を読みたければ、『孤高の人』や『神々の山嶺』をはじめいくらでもあるわけですし。

 

山と向き合う中で起こる感情の変化

その上で本書の読みどころとしては、上記のような事になろうかと思います。

一人の女性が、忙しい日々の中でスケジュールを調整しては、度々山へと出かけて行く。

準備や実際に登山の楽しみはもちろんですが、それまでの日常の中で様々な出来事を経験しているわけです。

仕事上、プライベート上、悩みや苦しみ、悲しみもあれば楽しかった事もある。

登山をしていると、たった一人で黙々と歩みを進める中で、そんないろいろな心の変化に向き合わざるを得なかったりします。

日常的に周囲を取り巻く情報や雑音から隔離されて、じっと自分と物言わぬ自然と向き合っているうちに、喉に引っかかった魚の骨のような記憶がいつの間にか溶けてしまったりする事もあるのです。

本書の主人公も、山に登りながら、様々な出来事に想いを馳せます。

そんな心模様こそが、本書の読みどころなのです。

 

よし、山へ行こう!

読む前からわかっていた事なんですけどね。

こういう本を読むと、無性に山登りに行きたくなってしまうんです。

奇しくも今週末は三連休。

どうやら台風も通り過ぎて、週末は天気も悪くなさそう。

なので久しぶりに山登りに行って来ようと思います。

 

どの山にしようか、と迷うところからが登山の楽しみとも言えると思うんですが……かねてより行きたいと思っていた尾瀬至仏山に行ってみようかと思っています。

 

しかも日帰りの弾丸強行スケジュール。

 

今から楽しみで仕方がありません。

早く行きたい~。

https://www.instagram.com/p/BnlV-L_lw1n/

#八月の六日間 #北村薫 読了女性が単独行で登山に行く5つの連作短編集。書いているのが北村薫だけあって文章が素直で柔らかく、温かい。パステルカラーのイメージ。登山そのものというよりは、山を登りながら様々な出来事に想いを馳せる様子を楽しむ物語。覚悟はしていたけど登山に行きたくて仕方なくなりました。なので今週末の連休には登山に行く予定に。以前から行きたかった #尾瀬 の #至仏山 に日帰り特攻して来ようかな。本書を真似して、文庫本をザックに忍ばせていこう。 "書籍は常備薬と同じだ"#本 #本好き #本が好き #活字中毒 #読書 #読書好き #本がある暮らし #本のある生活 #読了#どくしょ #読書好きな人と繋がりたい #本好きな人と繋がりたい..※ブログ更新しました。プロフィールのリンクよりご確認下さい。

『ペンギン・ハイウェイ』森見登美彦

風が吹き渡ると、朝露にぬれた草がきらきら光った。キウキウキシキシと学校の床を鳴らすような音が聞こえてきた。広々とした空き地のまんなかにペンギンがたくさんいて、よちよちと歩きまわっているのだった。 

 『有頂天家族四畳半神話大系以来の森見登美彦作品ペンギン・ハイウェイ

第31回(2010年) 日本SF大賞の受賞作品でもあります。

劇場版アニメが絶賛公開中とあって、とりあえず読んでみなきゃとかねてから期待していた作品です。

penguin-highway.com

ただ、森見登美彦という作家に対しても、正直あんまり良い印象がないんですよねー。

万城目学は大好きなんですが、似たような(←共通点「京都」だけ?)作家と言われる森見登美彦は苦手なんです。

先に読んだ二作も、別に可もなく不可もなくといったところで……正直言ってしまえば、どんな作品だったかもほとんど覚えていないような状況。

 

ペンギン・ハイウェイ』はどうなることやら。

 

ペンギンと〈海〉とお姉さんと

物語の主人公はアオヤマ君。

ノートを片時も離さず携帯し、日夜様々な日常の謎についての研究を欠かさないちょっと大人びた小学四年生です。

「毎日の発見を記録しておくこと」と父は言った。

だから、ぼくは記録する。

お父さんやお母さんの言いつけを守る、とっても従順な子でもあります。

そんな彼の町に、突然ペンギンたちが現れる。

ペンギンたちを研究しようとするアオヤマ君と、友達のウチダ君。

意地悪なクラスメートのスズキ君たちはことあるごとにアオヤマ君たちに嫌がらせを仕掛ける。

また、アオヤマ君には歯医者に勤めるお姉さんという不思議な友達もいる。

お姉さんもまた、アオヤマ君にとっては研究対象。

やがてクラスメートのハマモトさんは〈海〉と名付ける謎の球体を発見。

その頃からアオヤマ君が〈ジャバウォック〉と名付けるシロナガスクジラに不格好な手足が生えたような不思議な生き物も散見されるようになる。

 

……って

 

まとまらない!

 

いや、実際そういう事なんです。

正直、わけがわからないんです。

 

ペンギンが現れた事も、お姉さんとアオヤマ君の不思議な関係も、色んな謎が置き去りのままとにかくストーリーだけが進んでいくので、頭の中の整理がつかないんです。

 

今になって冷静に分析してみれば、宮沢賢治の童話を読んでいるのに近い感覚かもしれません。

クラムボンはかぷかぷわらったよ。

いやいや、クラムボンで何?

かぷかぷってどういう感じ?

 

という読者の疑問を一切無視したまま、物語が進んでいくあの感じ。

なんとなく幻想的で、なんとなくほんわかしていて、よくわからないけれど面白いのかなぁ、と不思議になってしまうのです。

 

唯一読者の混乱を落ち着かせる役目を果たすもの。

それは……

 

お姉さんのおっぱい

アオヤマ君はおっぱいが大好きです。

おっぱいが好きで、おっぱいを研究していると自ら豪語します。

特にお姉さんのおっぱいには、理由もなく惹かれてしまう。

「こら少年。チェス盤を見ろチェス盤を」

「見てます」

「見てないだろう」

「見てます」

「私のおっぱいばかり見てるじゃないか」

「見てません」

「見てるのか、見てないのか」

「見てるし、見てません」

「将来が思いやられる子だよ、ホント」

「少年!」とお姉さんが大きな声で言った。「何を見ている」

「考え事をしていました」

「ウソをつけ」

「本当です」

「おっぱいばかり見ていてはいかんぞ」

「見ていません。おっぱいについて考えていましたが、お姉さんのおっぱいのことではありません」

普段の言動は大人びているアオヤマ君も、どうしようもなくおっぱいが気になる年頃なんですね。

ちなみに周囲の恋心には鈍感だったり、おっぱいには興味があるけれど、恋愛にはさっぱり興味がなかったりもします。

そういうところも含め、小学生のアンバランスな心理状態を楽しむ物語でもあるのでしょう。

Twitter等々で、「こんなお姉さんが近くにいたら良かった」という意見にはちょっと同意しかねますが。

 

妄想するには良いかもしれませんけどね。

 

さて、映画版をどうしようか

2018年8月17日(金)より全国ロードショーされた本作。

原作を読んだ結果、映画を見に行きたくなったかというと……

 ……とまぁ、直後はこんな感じだったんですが。。。

 

改めて公開されている予告やトレーラーを見てみると

www.youtube.com

www.youtube.com

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……あれ?

 

めっちゃ面白そうじゃない?

 

もしかすると上に書いたような「具体的なイメージのし難さ」が映像化によって解消される事で、純粋にストーリーが楽しめるようになっているのかもしれません。

〈海〉も〈ジャバウォック〉も、想像しがたい数々の現象も、すんなりと頭に入ってきそうな気がします。

ペンギン・ハイウェイ』という作品は先に映像版を見た上で原作を読んだ方が楽しめるかもしれませんね。

映像版ではおそらく端折られてしまったシーンも数々あるでしょうし、後から原作を読んで、不明点を補完していくイメージでしょうか。

 

そう考えるとやっぱり、映画、見たくなって来ちゃったなぁ。

 

そういえば、お姉さんのおっぱいもだいぶ強調されているような……。

 

やはり、見に行くべきか。

https://www.instagram.com/p/BnduKAAng1P/

#ペンギンハイウェイ #森見登美彦 読了劇場版公開と聞いてずつと気になっていた作品。#第31回日本SF大賞 受賞作小学4年生のアオヤマ君と、不思議なお姉さんを軸にした物語で、ペンギンや宙に浮かぶ〈海〉、ジャバウォック等、次々と不思議な事件が起こる。さらには意地悪なクラスメートのスズキ君たち。ただ正直読んでいていまいちイメージが掴みにくかったかな。映画版の方が目で見たそのままに受け止められるのですんなりと楽しめるかもしれませんね。#本 #本好き #本が好き #活字中毒 #読書 #読書好き #本がある暮らし #本のある生活 #読了#どくしょ #読書好きな人と繋がりたい #本好きな人と繋がりたい..※ブログ更新しました。プロフィールのリンクよりご確認下さい。

『下町ロケット』池井戸潤

そうだ。――佃は思った。オレは自分の夢のことは考えたが、社員のことはそのとき考えなかった。

結局、社員が反抗するのは、その結果ではなくプロセスに問題があったからではないのか。

だとすれば、オレはどこかで、手順を間違えたらしい。

第145回(2011年上半期)直木三十五賞受賞作品下町ロケット

この回の直木賞島本理生『アンダスタンド・メイビー』、高野和明『ジェノサイド』、辻村深月『オーダーメイド殺人クラブ』、葉室麟恋しぐれ』を押しのけての受賞でした。

一部ではエンタメ色の強い本書に対しての批判も少なからずあったようですが、その後の売れ行きや人気ぶりを見れば納得せざるを得ませんね。

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テレビドラマ化、ラジオドラマ化に加え、現在は続編となる下町ロケット2 ガウディ計画、『下町ロケット ゴースト』が刊行されています。

今秋2018年9月28日にはシリーズ4作目となる下町ロケット ヤタガラス』が発売されるとか。

今や半沢直樹シリーズ」を抜いて池井戸潤の新たな代表作となりつつあります。

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下町の町工場がロケットのエンジン部品製造へ

主人公である佃はもともとはロケットの技術者でしたが、担当していたロケットの打ち上げ失敗と父の死をきっかけに、実家である佃製作所を継ぎます。

持前の才覚と技術者としての経験を生かし、業績を急上昇させた佃製作所でしたが、その前に一つの事件が起こります。

大口取引先の一つであった京浜マシナリーから、発注停止を申し渡されるのです。

年間売上の1割を失うという事態に佃をはじめ佃製作所の面々は色を失いますが、その上、ライバルの大手企業であるナカシマ工業から特許侵害で訴訟を起こされてしまううという危機に襲われます。

更にはロケットの開発を進める帝国重工から、佃製作所の虎の子であるバルブの特許を譲るよう求められ……資本金僅か三千万円の佃製作所が、はるかに巨大な大企業たちの起こす荒波に翻弄されていくのです。

 

勧善懲悪のご都合主義?

池井戸潤は人気作家で僕も大好きなのですが、彼の作品についてよく聞かれる批判があります。

それこそすなわち

 

勧善懲悪

 

ご都合主義

 

 といったものです。

 

本書について書かれたレビューの中にも、「完全懲悪」と書かれたものが目につきました。

でもちょっと待ってください。

 

本当にちゃんと読んだ?

 

確かに「半沢直樹シリーズ」をはじめ、勧善懲悪ものとして書かれた作品も少なくありません。

例えば僕の読んだ陸王も、怪我で窮地に陥ったランナーと経営の危機に瀕する中小企業に対する、横柄で傲慢な大企業という構図の物語で、まさしく勧善懲悪を言えるものです。

linus.hatenablog.jp

でも少なくとも本書は違います。

登場する大企業に属する人々は意地悪で傲慢な態度も目につきますが、本書においてはそればかりではありません。

登場時はテンプレ的な悪役キャラだった人間が、物語が進むに連れて考えを改めたり、思い悩んだりする展開が幾重にも絡まりあっているのです。

それは対する大企業側ばかりではなく、佃製作所の内側でも一緒です。

銀行からの出向組である経理部長の殿村をはじめ、佃の決定に異を唱える若手たちの言動など、十把ひとからげに“善”と“悪”には分けられないのです。

それぞれが状況と立場の中で悩み、考えてその時々の意見に基づいて行動しています。

物語の終盤では、佃の周囲の状況は序盤とは大きく変化しているはずです。

そんな点も含めて、勧善懲悪という言葉では済ませられない人間ドラマを楽しんでいただきたいと思います。

 

ええと……ご都合主義という批判に関しては、甘んじて受け入れるしかないのですけど。

 

じんわりと胸を突くラスト

エピローグには題名相応のシーンが描かれているのですが……なぜだか僕、ジーンとしてしまいました。

登場人物たちの興奮や盛り上がりが妙に胸に迫ってきたのです。

正直、あってもなくても良いエピローグだと思うんですけどね。

その手前までで物語としては十分完結していると思いますし。

こればかりは自分でも説明できませんが、その光景を頭に思い描いたら、胸が熱くなるのを避けられませんでした。

さすがに涙を流すことはありませんでしたけどね。

こみあげるものがあったのは確かです。

また、下町ロケット2 ガウディ計画』の伏線ととれる一幕も。

これって最初から連作ものの予定だったのかな?

池井戸潤はやはりハズレがないので、いずれ続編についても読みたいと思います。

そもそも空飛ぶタイヤが読みたかったんだけど……なんて最後の最後に書くのは余計かな。

https://www.instagram.com/p/BnV6yHgHCMu/

#下町ロケット #池井戸潤 読了#第145回直木賞 受賞作品まー有名だし評価も高いし外れはないですよね。池井戸潤、彼も僕の中では鉄板です。ご批判に漏れず、本書もご都合主義な点は否めませんが。とはいえ本書、池井戸潤の作品に見られる #勧善懲悪 とは少し違っていると感じました。主人公の社内にも、相対する大企業の中にも敵はいる。でも、それぞれが状況や立場、自分の信念を考えながら行動している。だから最初は敵対していたはずなのに、やがて心が通じ合うような事も起こる。誰が善、誰が悪とは言い切れないそれぞれの事情の中で、それぞれがベストを尽くそうともがいている感じがすごく感じられました。続編も出ている事だし、このシリーズ、今後も読んでいこうと思います。本当は #空飛ぶタイヤ が読みたかったんだけどね←#本 #本好き #本が好き #活字中毒 #読書 #読書好き #本がある暮らし #本のある生活 #読了#どくしょ #読書好きな人と繋がりたい #本好きな人と繋がりたい..※ブログ更新しました。プロフィールのリンクよりご確認下さい。

『吉祥寺の朝日奈くん』中田永一

僕たちは不安でたまらない。今あるこの感情も、やがて稀薄になっていくのだろうか。はなればなれになって、おぼえている輪郭も、声も、あいまいになっていくのだろうか。でも、もしそうならなかったとしたら? 東京で暮らす自分の心にいつまでも彼女がいたとしたら? 四国で子どもをそだてている彼女の心が、何年たってもうつろうことなく澄みきっていたら? 

中田永一『吉祥寺の朝日奈くん』です。

中田永一乙一の別名義だったりもします。

 

前回のブログでは「僕は伊坂幸太郎と合わない」ことについて長々と書いてしまいましたが、実は僕、乙一に対しても苦手意識を持っていました。

 

最初に読んだ彼の作品は『GOTH』

面白いと評判で手にしてみた作品は、ミステリでいうとあるトリックを駆使した短編集でしたが、そのあまりにも「狙いすぎた感」に僕は辟易してしまったのです。

明らかにアンフェアなものも多かったし。

 

「おいおい、明らかにここ曖昧にしてあるじゃん。こりゃあずるいよ」

 

と読みながらついつい愚痴らずにはいられませんでした。

 

それからはしばらく乙一から離れていたのですが、再度読み始めるきっかけになったのは『百瀬、こっちを向いて』

そうとは知らず読んでエラい嵌まってしまい、読後に調べてみたら……乙一の別名義」!

 

完全にしてやられたケースですね。

 

『百瀬、こっちを向いて』をきっかけに乙一に対する苦手意識に疑問符がついてしまい、「もしかしたら良い作家さんなんじゃないだろうか?」と思って読んだのが『夏と花火と私の死体』

linus.hatenablog.jp

そしてインスタグラムのフォロワーさんに勧められた『暗いところで待ち合わせ』

linus.hatenablog.jp

感想は上記リンク先を確認していただければわかりますが、まーすっかり乙一という作家への評価が逆転してしまったわけです。

 

めちゃくちゃ面白い作家さんじゃん

 

伊坂幸太郎もそんな逆転を期待してるんですけどねー。

残念な事に、どうしても合わない状態が続いてしまっています。

 

それぞれの恋愛模様を描いた5作の短編集

さて、本作『吉祥寺の朝日奈くん』の話題に入りましょう。

こちらには恋愛をテーマにした短編が5つ収められています。

『百瀬、こっちを向いて』もそうでしたが、どうやら中田永一名義の場合には恋愛小説家としての作風が強くなる傾向があるようですね。

とはいえ、中身はあの乙一

恋と愛の間にちょっぴりミステリ風味を加えてしまっていたりするのが、特徴であったりもします。

 

1話目『交換日記はじめました!』

中学生の遥が始めた交換日記がテーマ。セリフや本文はなく、日記そのものを読んでいるかのように、文章と日付、書いた人の名前が記されていきます。最初は遥と圭太から始まった日記は、途中から同級生の鈴原さんが混ざったり、遥の妹の有紀やお母さんが混ざったり。やがて、日記帳はいつしか全く見ず知らずの他人の手に渡ります。沢山の人と時間を介した日記はどんな物語を紡ぎだすのか。

――きちんとした小説の形式は取っていないにも関わらず、思わず夢中になってしまいます。

 

2話目『ラクガキを巡る冒険』

中学校の頃、学校に忍び込んでクラスメイト全員の机にラクガキをした千春。実家へ帰省した際、当時のマッキーで出てきたのをきっかけに、千春は遠山君の身元を探り始める。遠山君こそ、ラクガキの共犯者だった。

――本作の中では一番小粒かな?ミステリ風味がマイナスに作用してしまった悪例かも。

 

3話目『三角形は壊さないでおく』

高校に入学してすぐ、廉太郎はクラスメートのツトムと意気投合する。親友となった二人の前に現れたのは、クラスメイトの小山内さん。常に消極的で他人に譲ってしまう廉太郎は、ツトムと小山内さんの恋を応援しようとするが……。

――これはミステリ風味はほとんどなし。淡い青春時代の恋愛物語として純粋に楽しんで貰えれば。

 

4話目『うるさいおなか』

頻繁におなかが鳴ってしまうという悩みを抱えたハラナリストの高山さん。一生懸命他人には知られないよう隠そうとするものの、春日井君だけが敏感に高山さんの腹の音を聞きつけ、しかも興味を持ってしまう。

――これもミステリ風味なし。ただし、物語としてはやはり小粒。

 

5話目『吉祥寺の朝日奈くん』

ラストを飾るのは表題作。吉祥寺の喫茶店に努める山田真野と、その店に通い詰める朝日奈くんとの物語。喫茶店で起こるある事件を経て、その後ばったり献血先で出くわす二人。連絡先を聞き出そうとする朝日奈くんに、山田さんが差し出した左手の薬指には指輪が光り……。

――既婚者との禁断の恋模様を描く本作ですが、切なさや焦れったさについつい感情移入してしまいました。乙一、こんな大人な恋も描けるのね。それに加えて乙一らしい遊び心も物語を壊さない範囲で発揮していて、中田永一作品の醍醐味を味わえる作品かと思います。

 

乙一らしさはちょっと控えめ?

 『百瀬、こっちを向いて』はミステリ風味、遊び心とでも形容すべき仕掛けが必ず仕掛けられていましたが、本作では少し控えめに感じられました。

とはいえ特に仕掛けらしきものも見当たらなかった『三角形は壊さないでおく』も、作品としての完成度は決して低くなく、純粋な青春恋愛小説として楽しめました。『GOTH』の例ではありませんが、あまり遊び心を尽くし過ぎてしまうと読者も身構えてしまうので、あったり無かったりするぐらいでちょうど良いのかもしれません。

それにしても、表題作『吉祥寺の朝日奈くん』は中田永一らしさがよく出た作品だったと思います。

非常に僕好みの作品でした。

いやぁ、読んでよかったです。

ちなみに本作、2011年には劇場版も公開されているようですね。 

www.youtube.com

結構短めの短編なだけに、映画化するほど尺がもったのか心配。

変に肉付けして膨らませてなければいいんですけど。

予告編を見る分には、役者さんも演技も作品の雰囲気もちょっと原作とは違うかなぁ、なんて。

その内気が向いたら見てみましょうか。

 

 

https://www.instagram.com/p/BnQyHrPHDcO/

#吉祥寺の朝日奈くん #中田永一 読了言わずと知れた #乙一 の別名義。乙一も僕にとっては苦手な作家さんの一人でしたが、乙一と知らずに読んだ #百瀬こっちを向いて 以来、すっかり認識を改められてしまいました。本作も甘酸っぱく、それでいて乙一らしい遊び心を凝らした短編が5作。特に表題作である吉祥寺の朝日奈くんは個人的にとてもお気に入りでした。乙一、こんな大人の恋愛も描けるなんて。読めば読むほどファンになってしまいそうです。#本 #本好き #本が好き #活字中毒 #読書 #読書好き #本がある暮らし #本のある生活 #読了#どくしょ#読書好きな人と繋がりたい #本好きな人と繋がりたい ..※ブログ更新しました。プロフィールのリンクよりご確認下さい。