おすすめ読書・書評・感想・ブックレビューブログ

年間100冊前後の読書を楽しんでいます。推理小説・恋愛小説・歴史小説・ビジネス書・ラノベなんでもあり。

青空文庫

『将軍』芥川龍之介

が、自殺する前に――」 青年は真面目まじめに父の顔を見た。「写真をとる余裕はなかったようです。」 芥川龍之介『将軍』を読みました。 一時期青空文庫にはまっていた時期があって、芥川龍之介はよく読んだんですよね。 未だに『地獄変』『鼻』『蜜柑』『芋…

『少女病』田山花袋

こみ合った電車の中の美しい娘、これほどかれに趣味深くうれしく感ぜられるものはない 花袋です。 今回読んだ『少女病』は代表作『蒲団』と並び、田山花袋の“変態”を大いに確立した作品の一つ。 こんなものが青空文庫なら無料で読めちゃうんだからすごいです…

『田舎教師』田山花袋

かれは将来の希望にのみ生きている快活な友だちと、これらの人たちとの間に横たわっている大きな溝を考えてみた。 「まごまごしていれば、自分もこうなってしまうんだ!」 大好きな田山花袋です。 いまいち読書が進まない中でも、スマホのKindleアプリで細々…

『私本太平記』吉川英治

ええと。。。 ブログを書くこと自体約一月ぶりなので、なんだか戸惑ってしまいます。 かねてより予告していました『私本太平記』をようやく読み終えました。青空文庫だと帖別となっていて全13帖。文庫版では全8巻だったそうです。加えて、同じく青空文庫に公…

『山の人生』柳田國男

我々が空想で描いて見る世界よりも、隠れた現実の方が遥かに物深い 柳田國男『山の人生』です。 柳田國男というと『遠野物語』が断トツで有名ですが、『遠野物語』に似た雰囲気で楽しめるのがこの『山の人生』。 linus.hatenablog.jp 有名な「子殺し」のエピ…

『遠野物語』柳田國男

「旧家にはザシキワラシという神の住みたもう家少なからず」 柳田國男『遠野物語』の一文です。 僕もこうして読んでみるまではよくわかりませんでしたが、文学作品というよりは岩手県遠野地方に伝わる逸話、伝承などを記した説話集に当たるそうです。 座敷わ…

『津軽』太宰治

「明治維新にも奥州諸藩は、ただちよつと立つて裾をはたいて坐り直したといふだけの形で、薩長土の各藩に於けるが如き積極性は認められない。まあ、大過なく時勢に便乗した、と言はれても、仕方の無いやうなところがある。」 『津軽』は太宰治の小説……とされ…

『夫婦善哉』織田作之助

「私の力で柳吉を一人前にしてみせまっさかい、心配しなはんな」 どんなに駄目男でも、どんなに甲斐性なしでも決して離れようとはしないしっかり者の蝶子。 引用のような言葉で柳吉に添え続けようとするのは愛の力か、それとも―― 『夫婦善哉』はそんな凸凹の…

『屋根裏の散歩者』江戸川乱歩

「君も知っている通り、僕の興味はただ『真実を知る』という点にあるので、それ以上のことは、実はどうでもいいのだ。」 名作中の名作『屋根裏の散歩者』 乱歩の推理小説といえばご存じ名探偵明智小五郎の登場。 『怪人二十面相』『少年探偵団』にも登場して…

『パノラマ島奇譚』江戸川乱歩

「若し我に巨万の富を与えるならば」「若し俺おれが使い切れぬ程の大金を手に入れることが出来たらばなあ。先まず広大な地所を買入れて、それはどこにすればいいだろう。数百数千の人を役えきして、日頃俺の考えている地上の楽園、美の国、夢の国を作り出し…

『D坂の殺人事件』江戸川乱歩

「僕は人間を研究してるんですよ」 名探偵の礎となったとも言える明智小五郎の台詞。 痺れますね。 『D坂の殺人事件』は名探偵明智小五郎が初めて登場した記念すべき作品にして、江戸川乱歩が初めて密室を手掛けた歴史的な一作。 喫茶店で会話していた明智小…

『三国志』吉川英治

「大事を済すには必ず人を以て本となす」 『三国志』全12巻+序。 2月末に読み始め、全て読み終わったのは11月の末。 なかなか長い戦いでした。 とはいえこればかり読んでいたわけではなく、リアルな本を読んでいる傍ら、空き時間にKindleの電子書籍で読んで…