角田光代
そうやって禁止事項で自分を追いつめ、さらに事態を悪化させるぐらいなら、と悩んであたしが考えた解決策は、「修三瞑想時間」だった。夏休みのあいだ、一日に一時間半、縁側に座って物思いにふける。その時間内だけは、野崎修三のことをどれだけ考えても、…
マモちゃんと会って、それまで単一色だった私の世界はきれいに二分した。「好きである」と、「どうでもいい」とに。そうしてみると、仕事も、女の子たちも、私自身の評価というものも、どうでもいいほうに分類された。そうしたくてしたわけではない。「好き…
角田光代『私はあなたの記憶のなかに』を読みました。 以前にも『庭の桜、隣の犬』の記事で書きましたが、映画化もされた『八日目の蝉』を読んで以来、角田光代は僕が大好きな作家の一人です。 『八日目の蝉』は原作も、映画版もちょっと内容が違っていて、…
「でも、なんか、あんたもあんんたの友だちも、なんかどっか、体の一部そこから出ていかないようなとこ、あんじゃん。そういうのがおれは全然ないってこと。戻りたくもないし、だいたいガッコいるときから、卒業してえってそればっかだったから」 今回読んだ…
「ゼロのものにゼロを足してもゼロじゃん? 何か、私たちが何をやってもゼロになる気がするんだよね」 寂しいこと言いますね。 『庭の桜、隣の犬』は3LDK35年ローン、郊外のマンションに暮らす30代夫婦の生活を描いた物語です。 角田光代という作家はこうい…