おすすめ読書・書評・感想・ブックレビューブログ

年間100冊前後の読書を楽しんでいます。推理小説・恋愛小説・歴史小説・ビジネス書・ラノベなんでもあり。

青春小説

『スコーレNo.4』宮下奈都

広くなったり細くなったりしながら緩やかに流れてきた川が、東に大きく西に小さく寄り道したあげく、風に煽てられて機嫌よくハミングする辺りに私の町がある。父の父の父の代あたりまでは、川上で氾濫してよく堤防を決壊させたと聞くけれど、そんな話が冗談…

『ペンギン・ハイウェイ』森見登美彦

風が吹き渡ると、朝露にぬれた草がきらきら光った。キウキウキシキシと学校の床を鳴らすような音が聞こえてきた。広々とした空き地のまんなかにペンギンがたくさんいて、よちよちと歩きまわっているのだった。 『有頂天家族』、『四畳半神話大系』以来の森見…

『吉祥寺の朝日奈くん』中田永一

僕たちは不安でたまらない。今あるこの感情も、やがて稀薄になっていくのだろうか。はなればなれになって、おぼえている輪郭も、声も、あいまいになっていくのだろうか。でも、もしそうならなかったとしたら? 東京で暮らす自分の心にいつまでも彼女がいたと…

『夏を拾いに』森浩美

あの夏を息子と拾いに行くのも悪くない。いや幸せだ。 早速タイトルのネタバレしちゃいましたが。 森浩美『夏を拾いに』です。 和製『スタンド・バイ・ミー』と噂の本作。 だいぶ前に買ってから長い間積読化していたのですが、ようやく読むことができました…

『武道館』朝井リョウ

卒業って何? NEXT YOUをやめるってこと? 僕の中では鉄板の朝井リョウです。 ……とか言いつつ、よくよく調べてみたらブログにはまだ一記事も書いた事がないと気づいて驚き。 ブログを書き始める前だったり、中断していた最中だったりで、まだ書いてなかった…

『かがみの孤城』辻村深月

お前たちには今日から三月まで、この城の中で“願いの部屋”に入る鍵探しをしてもらう。見つけたヤツ一人だけが、扉を開けて願いを叶える権利がある。つまりは、“願いの鍵”探しだ。――理解したか? 2018年本屋大賞ノミネート作品とあって、最近よく見かける辻村…

『君の膵臓をたべたい』住野よる

私も君も、もしかしたら明日死ぬかもしれないのにさ。そういう意味では私も君も変わんないよ、きっと。一日の価値は全部一緒なんだから、何をしたかの差なんかで私の今日の価値は変わらない。 住野よるさん、人気ですねTwitterやInstagramのTLを見ていても、…

『ぼくらのC計画』宗田理

ひとみの髪の毛が、並んで窓から見ている英治のほっぺたに触れた。どうしてこんなに、と思うほど、やわらかい髪だ 再び宗田理です。 今回読んだのは『ぼくらのC計画』。 ぼくらのシリーズの中では比較的地味な作品に入るかもしれませんが、僕の中では強い印…

『ぼくらの天使ゲーム』宗田理

いじめかセックス。これが子どもの自殺の重大な動機であることはまちがいない。 宗田理です。 思い起こすだけで、感慨深くなってしまいます。 というのも宗田理の「ぼくらのシリーズ」は僕が小学校時代にがっぷりとのめり込んだ作品でもあるからです。 本を…

『体育座りで空を見上げて』椰月美智子

それにラブレターには、尾崎豊の『I LOVE YOU』の歌詞ばびっちりと書いてあったのだ。これがまたきつかった。 ああ、あるある(笑)なんて括弧付の笑を浮かべてしまった世代の方には一度読んでいただきたい作品です。 主人公和光妙子の中学一年生から三年生…

『快晴フライング!』古内一絵

でもね、2つの性を生きるあたしたちは強いの。決して諦めたりしないのよ。 弓が丘第一中学水泳部を舞台にしたスポーツ青春もの。 古内一絵のデビュー作でもある『快晴フライング!』は色々といわく付きの第5回ポプラ社小説大賞特別賞受賞作でもあります。 ポ…

『アダルト・エデュケーション』村山由佳

「肉体を伴わない恋愛なんて、花火の上がらない夏祭りみたいだ!」 ……上記はあとがきからの引用。 だいぶ突き抜けた表現ですね← 気づいてみたらまた村山由佳です。 ここ最近は大塚英志か村山由佳かみたいな感じでかなり偏ってんなぁと自分でも思います。 今…

『BAD KIDS』村山由佳

好きになったら、運よくたまたま男だったっていうだけよ。二分の一の確率。あたしの言ってる意味、わかる? 第6回小説すばる新人賞を受賞した村山由佳が、『天使の卵―エンジェルス・エッグ』に続いて集英社から発表した2作目がこの『BAD KIDS』。 20年近く…

『4TEEN』石田衣良

「ぼくが怖いのは、変わることだ。みんなが変わってしまって、今日ここにこうして四人でいるときの気もちを、いつか忘れてしまうことなんだ。」 石田衣良といえばテレビドラマ化もされた『池袋ウエストゲートパーク』が有名かもしれません。 こちらは第129回…

『クドリャフカの順番』米澤穂信

「データベースは結論を出せない」 まぁ、古典部シリーズから抜粋するとすれば↑か「私、気になります」のどちらかで決まってますよね。 アニメ化もされた古典部(氷菓)シリーズ第三作目『クドリャフカの順番』 米澤穂信との出会いは『インシテミル』でした…

『黄色い目の魚』佐藤多佳子

「本気って、ヤじゃない?」 俺が聞くと、村田は理解できないという顔つきになった。「こわくねえ? 自分の限界とか見ちまうの?」 ザクッと胸を刺されたような痛みを感じます。 まだ10代の頃、似たような恐れを何度となく抱きました。 自分の限界を知るのが…

『サンネンイチゴ』笹生陽子

「自分から人にアプローチするのが得意じゃなくて、 向こうから話しかけてくるのを待つのが性に合っている」 この人物像に「ああ」と共感する事が出来たら間違いないんじゃないでしょうか。 個人的には森絵都と並ぶ「優しくて上手な作家」の代表格、笹生陽子…

『カラフル』森絵都

「この世には神も仏もない。 ただうさんくさい天使がいるだけだ」 「子供心に思ったよ。今日と明日はぜんぜんちがう。 明日っていうのは今日の続きじゃないんだ、って」 森絵都さんの代表作『カラフル』です。 「おめでとうございます! 抽選にあたりました! …

『虹色ほたる』川口雅幸

「もうすぐ約束の日が来るの。 そしたら、さえは大人になれなくなるんだよ」 「さえは、もう、ユウタ君の知らない、さえになるの」 もう胸がキュンキュンします。 僕は『君の名は。』を劇場で観ました。 その後で小説版も読みました。 『Another side:Earthb…

『楽園のつくりかた』笹生陽子

主人公……エリート中学生 一ノ瀬ヒカル……美少女(オカマ) 宮下まゆ……根暗(影のヒロイン) 山中作太郎……サル男 ブログ書こうと思って読書ノート開いたら↑↑↑だけ書いてありましたw ある意味これだけで十分なのかも。 と言っても決して腐してるわけではありま…

『青の炎』貴志祐介

「考えろ 考えて考え抜けどうすれば一番いいのかを どうすれば家族を守れるのかを」 家族を、その中でも妹を守るために主人公秀一は完全犯罪に手を染めます。 法的手段に訴えても大人たちは手を貸してはくれず、たどり着いた唯一の方法が、殺人。 嵐の二宮和…

『サマーウォーズ』岩井恭平

『ボク……この夏を一生、忘れないよ……』 こういうセリフって鉄板ですよね。 人によるのかもしれませんけど、個人的にはゾクゾクしちゃいます。 夏を舞台にした青春ものってそれだけで色々補正が加えられてしまう気がします。 『打ち上げ花火、下から見るか?横…

『つきのふね』森絵都

「人間、よくなるよりも悪くなるほうがらくだもんなあ」 「あんたもあいまいにおかしいんだよ」 森絵都という作家は、うまい。 それが僕の印象。 童話作家出身だけあって難解な言葉や言い回しを使わず、とっても読みやすく優しい文章。それなのに頭に浮かぶ…