おすすめ読書・書評・感想・ブックレビューブログ

年間100冊前後の読書を楽しんでいます。推理小説・恋愛小説・歴史小説・ビジネス書・ラノベなんでもあり。

『とらドラ!』竹宮ゆゆこ

「俺は、竜だ。おまえは、虎だ。――虎と並び立つものは、昔から竜と決まってる。だから俺は、竜になる。お前の傍らに居続ける」 竹宮ゆゆこ『とらドラ!』を読みました。 そろそろkindle Unlimitedの解約を考えていまして……というのも、ちょっとめぼしい本は…

『ひそやかな花園』角田光代

「ねえ樹里、はじめたら、もうずっと終わらないの。そうしてもうあなたははじめたんでしょ。決めたときにはもう、はじまってる。悩んでる場合じゃないわよ」 角田光代『ひそやかな花園』を読みました。 角田光代といえば、当ブログにおいても既に5冊をご紹介…

『眠れるラプンツェル』山本文緒

私は夫を愛している。好きなことだけして生きていくために、結果的には嫌いなことも懸命にこなしているらしい、夫が。 山本文緒『眠れるラプンツェル』を読みました。 先月『あなたには帰る家がある』を読んだばかりですので、短いスパンで山本文緒作品が続…

『やがて海へと届く』彩瀬まる

「あなたたちは、忘れられることがいやじゃないの?」 「そりゃ、覚えてもらえたら嬉しいけど。でも、あんな死に方をしたかわいそうな子って意味でならいやだなあ」 「なにをとっといてもらうかです。よくある、忘れない、無念を忘れないみたいな、暗いこと…

『雪国』川端康成

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。 川端康成『雪国』を読みました。 ノーベル文学賞を受賞した偉大なる文豪ですので、今さら改めて説明するような事もないのですが……本作をKindle Unlimitedで見つけ…

『あしたはうんと遠くへいこう』角田光代

そうやって禁止事項で自分を追いつめ、さらに事態を悪化させるぐらいなら、と悩んであたしが考えた解決策は、「修三瞑想時間」だった。夏休みのあいだ、一日に一時間半、縁側に座って物思いにふける。その時間内だけは、野崎修三のことをどれだけ考えても、…

『護られなかった者たちへ』中山七里

護らなくてもいい人間が存在しないのと同じ理屈で、殺されてもいい人間など存在 しない。 中山七里『護られなかった者たちへ』を読みました。 大ベストセラー作家中山七里作品としては『連続殺人鬼カエル男』以来二作目となります。 Kindle Unlimitedでも常…

『スタープレイヤー』恒川光太郎

あなたはここで〈十の願い〉という力を与えられております。それはですな、どんな 願いでも、といったら著しく語弊がありますが、〈ある程度、どんな願いでも〉十個 ぶん叶えることができるんです 恒川光太郎『スタープレイヤー』を読みました。 恒川光太郎…

『人形はなぜ殺される』高木彬光

ところが、魔術師というものは、右手で細工をしようと思ったら、まず左手にお客の注意をひきつける。 『右手を出されたら、左手を見よ』 これが魔術の公式第一条なんだ。 高木彬光『人形はなぜ殺される』を読みました。 聞きなれない書名だという方も少なく…

『昨日の海は』近藤史恵

「だから、帰ってきたんですか?」 真実を見つけるために。 そう尋ねると、芹は首を横に振った。 「違うわ。帰ってきたのはここで生きるため」 夕日が海の向こうに沈もうとしている。 「でも、ここで生きるためには、なにもかも曖昧なままで置いてはおけない…

『教室に雨は降らない』伊岡瞬

晴れた朝はガンズ・アンド・ローゼスと決めていた。 それもデビューアルバム。今朝も彼らの曲を口ずさみながら、最後の直線でスロットルをふかした。 伊岡瞬『教室に雨は降らない』を読みました。 こちらもKindle Unlimitedで不意におすすめに出てきた作品。…

『君と夏が、鉄塔の上』賽助

「まあ、興味のない人からすれば些細な違いなのかも知れないけど…… 山のほうとかに行くと、猫の顔みたいな鉄塔もあるんだよ」 「猫の顔?」 「頭の上が 猫の耳みたいになってて、顔の真ん中がぽっかり空いてる鉄塔。烏帽子型鉄塔って言うんだけど」 賽助『君…

『愛がなんだ』角田光代

マモちゃんと会って、それまで単一色だった私の世界はきれいに二分した。「好きである」と、「どうでもいい」とに。そうしてみると、仕事も、女の子たちも、私自身の評価というものも、どうでもいいほうに分類された。そうしたくてしたわけではない。「好き…

『あなたには帰る家がある』山本文緒

「役割分担だよなぁ」 「え?」 「最近しみじみ思うんだよ。役割分担ってこと。お前がお茶を入れる。俺があとで湯飲みを洗う」 「いいですよ。僕が洗っときます」 「いやいや、なんでもそうやってうまく分担すりゃあいいんだよ。お前がポカをやる。俺や部長…

『満潮』朝倉かすみ

「ところで『そのままのわたし』ってなに?」 眉子の答えはこうだった。 「だれかがこうだったらいいな、って思う眉子」 「それはまゆちゃんからすると『そのままのわたし』じゃないよね?」 「どうして?」 「ちがうじゃん」 「おんなじよ」 朝倉かすみ『満…

『さしすせその女たち』椰月美智子

「魔法の言葉さしすせそ、よ。さしすせそ、を使うの」 「さしすせそ?」 「さすが、知らなかった、すごい、センスある、そうなのね、のさしすせそよ」 椰月美智子『さしすせその女たち』を読みました。 前回ご紹介した『平場の月』を読んで以来読書熱が復活…

『平場の月』朝倉かすみ

「仕事が終わって、自販機でガチャコンってミルクコーヒー買って、飲みながら家までぶらぶら歩いて帰るんだ。甘みが喉を通っていって、よそん家の洗濯物や、自分の影や、空の具合や、風の行き先や、可愛いチー坊を眺めると、ちょうどよくしあわせなんだ」 朝…

『#拡散忌望』最東対地

わたしと一緒にドロリン、しチョ? 最東対地『#拡散忌望』を読みました。 今回もKindle Unlimitedの中から何か良さげな作品はないかなと探していたところ、たどり着いた作品です。 その題名の通り、どうやらスマートフォン・SNSなどを題材としたホラー小説の…

『天使の囀り』貴志祐介

天使の囀りこそは、我々が待ち焦がれていた福音です。 貴志祐介『天使の囀り』を読みました。 貴志祐介作品を紹介するのは『青の炎』以来になります。 上記記事を一読いただければ一目瞭然ですが、映画化もされたベストセラー『青の炎』に関してはさっぱり僕…

『ヴンダーカンマー』星月渉

でも、北山君が言う通り、郷土資料研究会が、唯香のヴンダーカンマーなのだとしたら……。 もしかしたら、唯香は人殺しを集めていたんじゃないだろうか? 星月渉『ヴンダーカンマー』を読みました。 出版元は竹書房といいます。 あまり聞かない名前だな、と思…

『恋する山ガール』御堂志生

「お前に惚れてる。全部欲しい」 御堂志生『恋する山ガール』を読みました。 Kindle Unlimitedで何か山登りに関連した小説ってないかなと検索したところ、引っかかったのが本書でした。 形式が電子版のみで単行本や文庫本といった実本としては出版されていな…

『パッとしない子』辻村深月

「子供の頃は、あの子、パッとしない子だったんだよね。『銘ze』でデビューして、うちの小学校の出身だって聞いても、『え? あの子が?』って思っちゃったくらい。あの代だったら、目立ってたのはもっと別の子たちだったんだけど」 辻村深月『パッとしない…

『かもめ達のホテル』喜多嶋隆

だから、宣伝のたぐいは、一切していない。インターネットで検索しても、出てこない。そんなうちのホテルにやってくるお客の中には、世間の目をのがれて、という場合も少なくない。ヨットのかげで風を避けているカモメたちのように……。 喜多嶋隆『かもめ達の…

『琴乃木山荘の不思議事件簿』 大倉崇裕

「山には、その手の怪談が付きものなんだ。この山域も、決して多くはないが、人が亡くなっている。霊気のようなものが、溜まるんだな」 大倉崇裕『琴乃木山荘の不思議事件簿』を読みました。 著者の大倉氏は1997年に第4回創元推理短編賞佳作を受賞し、『三人…

『ほま高登山部ダイアリー』細音啓

「嬉しいな、わたし知らなかったよ。冬嶺くんも登山が好きなんだよね? わたしもなの! ここ受験する前から登山やってみたくて!」 細音啓『ほま高登山部ダイアリー』を読みました。 レーベルはガガガ文庫。久しぶりのライトノベルという事になります。 とは…

『新編山のミステリー 異界としての山』工藤隆雄

幽霊がゆっくりと常連のほうを見た。目があった。背筋が凍るような寂しそうな目をしていた。何かいいたそうな、問いかけたそうな表情だった。 引き続きヤマケイ文庫さんから、工藤隆雄『新編山のミステリー 異界としての山』を読みました。 登山や山に関わる…

『ドキュメント 単独行遭難』羽根田治

道に迷ったら沢を下っていってはならない。来た道を引き返せ―― さて、前回の『ドキュメント 道迷い遭難』に引き続きヤマケイ文庫からのご紹介。 今回読んだのは『ドキュメント 単独行遭難』。 『道迷い遭難』と同じ羽根田治の遭難シリーズです。 『道迷い』…

『ドキュメント 道迷い遭難』 羽根田治

しかも、これからかかるであろうコストは、まったく道であるにもかかわらず、どうしても過少に評価しがちになる。人は、そこまでにかけてきたコストが大きければ大きいほど、これからかかるであろうコストを相対的に小さく考える傾向にある。来た道を引き返…

『YOSAKOIソーラン娘』田丸久深

札幌人は、ヨサコイが嫌いなことをひとつのステータスにするふしがある。ヨサコイの話をすると田舎者として見られるのは、職場の洗礼で嫌というほど味わっていた。 田丸久深さんの『YOSAKOIソーラン娘』を読みました。 初めて読む作家さんです。 訳あってよ…

『いつかの恋にきっと似ている』木村咲

武と繋がっていられるのは、抱き合っているときだけだった。そんな悲しい恋がようやく終わるのだ。喜びはしても涙を流す理由なんてないはずだ。 今日で全部終わりにしよう。武との思い出を全部、涙で流してしまえばいい。 木村咲『いつかの恋にきっと似てい…