おすすめ読書・書評・感想・ブックレビューブログ

年間100冊前後の読書を楽しんでいます。推理小説・恋愛小説・歴史小説・ビジネス書・ラノベなんでもあり。

『YOSAKOIソーラン娘』田丸久深

札幌人は、ヨサコイが嫌いなことをひとつのステータスにするふしがある。ヨサコイの話をすると田舎者として見られるのは、職場の洗礼で嫌というほど味わっていた。 田丸久深さんの『YOSAKOIソーラン娘』を読みました。 初めて読む作家さんです。 訳あってよ…

『いつかの恋にきっと似ている』木村咲

武と繋がっていられるのは、抱き合っているときだけだった。そんな悲しい恋がようやく終わるのだ。喜びはしても涙を流す理由なんてないはずだ。 今日で全部終わりにしよう。武との思い出を全部、涙で流してしまえばいい。 木村咲『いつかの恋にきっと似てい…

『狐笛のかなた』上橋菜穂子

桜の花びらが舞い散る野を、三匹の狐が春の陽に背を光らせながら、心地良げに駆けていった。 長らく短編集ばかり紹介してきましたが、今回はご紹介するのは久しぶりとなる長編作品です。 しかも和風ファンタジー。 『獣の奏者』以来の上橋菜穂子作品で、『狐…

『私はあなたの記憶のなかに』角田光代

角田光代『私はあなたの記憶のなかに』を読みました。 以前にも『庭の桜、隣の犬』の記事で書きましたが、映画化もされた『八日目の蝉』を読んで以来、角田光代は僕が大好きな作家の一人です。 『八日目の蝉』は原作も、映画版もちょっと内容が違っていて、…

『少女は卒業しない』朝井リョウ

あたしは知ってる。ずっとこういう日々が続けばいいって願ってしまった時点で、続かないってわかってること。わかってるんだ、あたしも寺田も。言わなきゃいけないことがあること。 朝井リョウ『少女は卒業しない』を読みました。 ご存知の通りこのところ短…

『おしまいのデート』瀬尾まいこ

洋食であろうが和食であろうが、出来合いのものはなんとなく味が似ている。味付けはものによってさまざまだけど、どれもわずかにピントがずれていて、そのずれ具合が同じなのだ。 すっかり間が空いてしまいましたが、瀬尾まいこさんの短編集『おしまいのデー…

『5分後に慄き極まるラスト』エブリスタ

そうして、そうして姉はあっという間に、真っ青な花を満開に咲かせた、一樹の贄桜と成り果てた。 さて、予告通り今回ご紹介するのはエブリスタの『5分後に慄き極まるラスト』。 前回書いた『5分後に涙が溢れるラスト』と合わせて発売された作品です。 改めて…

『5分後に涙が溢れるラスト』エブリスタ

今回読んだのは『5分後に涙が溢れるラスト』。 小説投稿サイトエブリスタと河出書房がタッグを組み、エブリスタに投稿された作品の中からテーマに相応しい作品を抜粋して書籍化したという一冊。 最近では短編小説に嵌まっていると言っていますが、そんな中、…

『天に遊ぶ』吉村昭

「あんたたちは、文学をやっているそうだな。日比野の父親は、息子がなにやらわけのわからんことをやっている、と嘆いていた。そんなことをしているから疑いをかけられるんだ」 さて、今回読んだのは吉村昭『天に遊ぶ』。 当ブログで紹介するのは初めてです…

『主婦病』森美樹

『ユリエさんのあそこ、ぐちゃぐちゃだね。音をきかせて』「いいわよ、ほら、こんなになってる」私は、ヘタを取った熟れたトマトに携帯電話を近づけた。トマトに割り箸を突き刺し、ぐちゃぐちゃにかきまぜる。 『すごいいやらしい音』 男が歓喜のため息をも…

『夫以外』新津きよみ

――「夢中」とは「夢の中」と書く。何かに熱中しているあいだは夢の中にいるだけで、夢から覚めたら、そこは現実。やっぱり、一番大切なのは、目の前の現実だ。 新津きよみ『夫以外』を読みました またもや短編集ですね。 しかもこちらは大人の女性たちの日常…

『家守』歌野晶午

歌野晶午『家守』を読みました。 改めて書く必要もないかもしれませんが、歌野晶午といえば第57回日本推理作家協会賞と第4回本格ミステリ大賞をW受賞した『葉桜の季節に君を想うということ』や、二度目の本格ミステリ大賞に輝いた『密室殺人ゲーム』シリーズ…

『日曜は憧れの国』円居挽

「運が良ければ、一生忘れられないような体験になると思いますよ」 円居挽『日曜は憧れの国』を読みました。 久しぶりの創元推理文庫というだけで、なんだかわくわくしちゃいますね。 創元推理文庫というと、有栖川有栖や北川薫といった推理小説の名手を輩出…

『夢違』恩田陸

「――夢は外からやってきて」 石清水がぽつんと呟いた。 「どこへ行くんでしょうね」 恩田陸『夢違』を読みました。 当ブログにも登場機会の多い恩田陸作品です。 直木賞や映画化で話題の『蜜蜂と遠雷』をはじめ、本屋大賞を受賞した『夜のピクニック』。綾辻…

『家族の言い訳』森浩美

言い訳を いちばん必要とするのは 家族です 森浩美『家族の言い訳』を読みました。 ライトノベル系の作品が続いていたので、一般文芸作品は久しぶりですね。 森浩美作品もまた、『夏を拾いに』以来二作目。 上に紹介した『夏を拾いに』は今から約三年前に読…

『いつか、眠りにつく日』いぬじゅん

「俺の仕事は、死んだ人間を、あっちの世界に連れてゆくことだ。しかし、人間っていうのは厄介で、『死んでもしにきれない』っていう、変な感情や想いをかかえていつヤツが多い」 いぬじゅん『いつか、眠りにつく日』を読みました。 こちらもスターツ出版か…

『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』山口悟

あれ? おかしいなこれ? ハッピーで追放、バッドで死ぬって……カタリナ・クラエスにハッピーなエンドがなくない? バッドオンリーなんですけど!? 今回読んだ本は山口悟著、その名も『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』という長っ…

『ちっぽけな世界の片隅で。』高倉かな

願いが込められた玉は落ち、込められていない玉が残る。そんなふうに、わたしたちの生きる世の中は、うまくいかないことばかりだ。 大切にすべきものが、ないがしろにされる。無法がまかり通り、きれいなものが汚される。 高倉かな『ちっぽけな世界の片隅で…

『春となりを待つきみへ』沖田円

「あの星の裏側でおれの名前を呼んでみてよ。どこに居たって見つけてあげる」 さて、再びライト文芸へと戻り沖田円『春となりを待つきみへ』を読みました。 ここ最近当ブログで取り上げる事の多いスターツ出版文庫の作品。 つい先日『一瞬の永遠を、きみと』…

『天使の柩』村山由佳

彼はただ、ずっと長い間どうしても閉じることができずにいた柩の蓋に、今やっと手をかけて、お弔いを終えようとしているだけだ。 村山由佳『天使の柩』を読みました。 ふと思い立って、『天使の卵』からシリーズ作品を読み返し始めたわけですが、本作で完結…

『ヘヴンリー・ブルー』村山由佳

この夏――。 私は、お姉ちゃんの年をまたひとつ追い越す。 村山由佳『ヘヴンリー・ブルー』です。 前に書いた『天使の卵』、前回の『天使の梯子』に続く形のシリーズ作品ですね。 ただし本書は前二作は少し性質が違います。 『天使の梯子』が続編だとすれば、…

『天使の梯子』村山由佳

「ほんとに、長かったよな、十年。――もう、いいよ夏姫。もう、いいかげんに解放してやろう。俺らが春妃に縛られてるだけじゃない。春妃のほうも、俺らに縛られてるんだ」 村山由佳『天使の梯子』を読みました。 青春恋愛小説の金字塔とも言われる『天使の卵…

『15歳、終わらない3分間』八谷紬

『つらくても、笑っていたら、いつかきっとたのしくなるよ』 八谷紬『15歳、終わらない3分間』を読みました。 引き続きスターツ出版文庫からの作品です。 こちらも安定のジャケ&あらすじ買い。 なにせあらすじが秀逸です。 詳しくは下部に設置したAmazonの…

『僕は明日、きみの心を叫ぶ』灰芭まれ

《……クラゲの身体の、九十五%の水が涸れました。――来世は幸せになれますように》 灰芭まれ『僕は明日、きみの心を叫ぶ』を読みました。 一応先に付け足しておくと、灰芭まれの読み方に戸惑う方が少なくないようですが≪芭≫は松尾芭蕉の≪芭≫ですから“はいばま…

『一瞬の永遠を、きみと』沖田円

「今ここで死んだつもりで、少しの間だけおまえの命、おれにくれない? 沖田円『一瞬の永遠を、きみと』を読みました。 一時期の放置具合はなんだったのかと訝しまれるような連日の更新ですが、ライトノベル系は読みやすいのでサクサク進んでしまいますね。 …

『放課後図書室』麻沢奏

「記憶違いだったら悪いんだけど」 「うん」 「俺達、付き合ってた?」 「…………」 麻沢奏『放課後図書室』を読みました。 前回読んだのは新潮文庫nexというレーベルですが、こちらもスターツ出版文庫というライト文芸レーベルからの出版作品です。 スターツ出…

『消えない夏に僕らはいる』水生大海

小学五年生の夏は特別だった。五人はみな、そう思っている。 けれど高校一年生の夏もまた、特別だ。 水生大海『消えない夏に僕らはいる』を読みました。 新潮文庫nexというレーベルから出ている作品。ライトノベル……というよりライト文芸的なレーベルなんで…

『天使の卵』村山由佳

「嘘つき! 一生恨んでやるから!」 村山由佳『天使の卵 エンジェルス・エッグ 』を読みました。 第6回小説すばる新人賞を受賞し、作家村山由佳を世の中に知らしめるきっかけとなった作品でもあります。 ちなみに本書は初読ではありません。 中学生か高校生…

『ハサミ男』殊能将之

「チョキ、チョキ、チョキとハサミ男が行く。三人目の犠牲者が出る。血が流れ、苦痛がみちあふれる。人々は恐怖し、激怒し、おびえ、あるいはおもしろがる……」 殊能将之『ハサミ男』を読みました。 説明するまでもないですが、ミステリ界隈では超がいくつも…

『六花の勇者』山形石雄

「よく確かめるのだ! ありえん、六花の勇者が七人いるなど」 皆様明けましておめでとうございます。 あまり季節感のない当ブログですが、2021年最初の更新となります。 今回読んだのは山形石雄『六花の勇者』。 例によってライトノベルですね。 こちらもテ…