おすすめ読書・書評・感想・ブックレビューブログ

年間100冊前後の読書を楽しんでいます。推理小説・恋愛小説・歴史小説・ビジネス書・ラノベなんでもあり。

『#拡散忌望』最東対地

わたしと一緒にドロリン、しチョ? 最東対地『#拡散忌望』を読みました。 今回もKindle Unlimitedの中から何か良さげな作品はないかなと探していたところ、たどり着いた作品です。 その題名の通り、どうやらスマートフォン・SNSなどを題材としたホラー小説の…

『天使の囀り』貴志祐介

天使の囀りこそは、我々が待ち焦がれていた福音です。 貴志祐介『天使の囀り』を読みました。 貴志祐介作品を紹介するのは『青の炎』以来になります。 上記記事を一読いただければ一目瞭然ですが、映画化もされたベストセラー『青の炎』に関してはさっぱり僕…

『ヴンダーカンマー』星月渉

でも、北山君が言う通り、郷土資料研究会が、唯香のヴンダーカンマーなのだとしたら……。 もしかしたら、唯香は人殺しを集めていたんじゃないだろうか? 星月渉『ヴンダーカンマー』を読みました。 出版元は竹書房といいます。 あまり聞かない名前だな、と思…

『恋する山ガール』御堂志生

「お前に惚れてる。全部欲しい」 御堂志生『恋する山ガール』を読みました。 Kindle Unlimitedで何か山登りに関連した小説ってないかなと検索したところ、引っかかったのが本書でした。 形式が電子版のみで単行本や文庫本といった実本としては出版されていな…

『パッとしない子』辻村深月

「子供の頃は、あの子、パッとしない子だったんだよね。『銘ze』でデビューして、うちの小学校の出身だって聞いても、『え? あの子が?』って思っちゃったくらい。あの代だったら、目立ってたのはもっと別の子たちだったんだけど」 辻村深月『パッとしない…

『かもめ達のホテル』喜多嶋隆

だから、宣伝のたぐいは、一切していない。インターネットで検索しても、出てこない。そんなうちのホテルにやってくるお客の中には、世間の目をのがれて、という場合も少なくない。ヨットのかげで風を避けているカモメたちのように……。 喜多嶋隆『かもめ達の…

『琴乃木山荘の不思議事件簿』 大倉崇裕

「山には、その手の怪談が付きものなんだ。この山域も、決して多くはないが、人が亡くなっている。霊気のようなものが、溜まるんだな」 大倉崇裕『琴乃木山荘の不思議事件簿』を読みました。 著者の大倉氏は1997年に第4回創元推理短編賞佳作を受賞し、『三人…

『ほま高登山部ダイアリー』細音啓

「嬉しいな、わたし知らなかったよ。冬嶺くんも登山が好きなんだよね? わたしもなの! ここ受験する前から登山やってみたくて!」 細音啓『ほま高登山部ダイアリー』を読みました。 レーベルはガガガ文庫。久しぶりのライトノベルという事になります。 とは…

『新編山のミステリー 異界としての山』工藤隆雄

幽霊がゆっくりと常連のほうを見た。目があった。背筋が凍るような寂しそうな目をしていた。何かいいたそうな、問いかけたそうな表情だった。 引き続きヤマケイ文庫さんから、工藤隆雄『新編山のミステリー 異界としての山』を読みました。 登山や山に関わる…

『ドキュメント 単独行遭難』羽根田治

道に迷ったら沢を下っていってはならない。来た道を引き返せ―― さて、前回の『ドキュメント 道迷い遭難』に引き続きヤマケイ文庫からのご紹介。 今回読んだのは『ドキュメント 単独行遭難』。 『道迷い遭難』と同じ羽根田治の遭難シリーズです。 『道迷い』…

『ドキュメント 道迷い遭難』 羽根田治

しかも、これからかかるであろうコストは、まったく道であるにもかかわらず、どうしても過少に評価しがちになる。人は、そこまでにかけてきたコストが大きければ大きいほど、これからかかるであろうコストを相対的に小さく考える傾向にある。来た道を引き返…

『YOSAKOIソーラン娘』田丸久深

札幌人は、ヨサコイが嫌いなことをひとつのステータスにするふしがある。ヨサコイの話をすると田舎者として見られるのは、職場の洗礼で嫌というほど味わっていた。 田丸久深さんの『YOSAKOIソーラン娘』を読みました。 初めて読む作家さんです。 訳あってよ…

『いつかの恋にきっと似ている』木村咲

武と繋がっていられるのは、抱き合っているときだけだった。そんな悲しい恋がようやく終わるのだ。喜びはしても涙を流す理由なんてないはずだ。 今日で全部終わりにしよう。武との思い出を全部、涙で流してしまえばいい。 木村咲『いつかの恋にきっと似てい…

『狐笛のかなた』上橋菜穂子

桜の花びらが舞い散る野を、三匹の狐が春の陽に背を光らせながら、心地良げに駆けていった。 長らく短編集ばかり紹介してきましたが、今回はご紹介するのは久しぶりとなる長編作品です。 しかも和風ファンタジー。 『獣の奏者』以来の上橋菜穂子作品で、『狐…

『私はあなたの記憶のなかに』角田光代

角田光代『私はあなたの記憶のなかに』を読みました。 以前にも『庭の桜、隣の犬』の記事で書きましたが、映画化もされた『八日目の蝉』を読んで以来、角田光代は僕が大好きな作家の一人です。 『八日目の蝉』は原作も、映画版もちょっと内容が違っていて、…

『少女は卒業しない』朝井リョウ

あたしは知ってる。ずっとこういう日々が続けばいいって願ってしまった時点で、続かないってわかってること。わかってるんだ、あたしも寺田も。言わなきゃいけないことがあること。 朝井リョウ『少女は卒業しない』を読みました。 ご存知の通りこのところ短…

『おしまいのデート』瀬尾まいこ

洋食であろうが和食であろうが、出来合いのものはなんとなく味が似ている。味付けはものによってさまざまだけど、どれもわずかにピントがずれていて、そのずれ具合が同じなのだ。 すっかり間が空いてしまいましたが、瀬尾まいこさんの短編集『おしまいのデー…

『5分後に慄き極まるラスト』エブリスタ

そうして、そうして姉はあっという間に、真っ青な花を満開に咲かせた、一樹の贄桜と成り果てた。 さて、予告通り今回ご紹介するのはエブリスタの『5分後に慄き極まるラスト』。 前回書いた『5分後に涙が溢れるラスト』と合わせて発売された作品です。 改めて…

『5分後に涙が溢れるラスト』エブリスタ

今回読んだのは『5分後に涙が溢れるラスト』。 小説投稿サイトエブリスタと河出書房がタッグを組み、エブリスタに投稿された作品の中からテーマに相応しい作品を抜粋して書籍化したという一冊。 最近では短編小説に嵌まっていると言っていますが、そんな中、…

『天に遊ぶ』吉村昭

「あんたたちは、文学をやっているそうだな。日比野の父親は、息子がなにやらわけのわからんことをやっている、と嘆いていた。そんなことをしているから疑いをかけられるんだ」 さて、今回読んだのは吉村昭『天に遊ぶ』。 当ブログで紹介するのは初めてです…

『主婦病』森美樹

『ユリエさんのあそこ、ぐちゃぐちゃだね。音をきかせて』「いいわよ、ほら、こんなになってる」私は、ヘタを取った熟れたトマトに携帯電話を近づけた。トマトに割り箸を突き刺し、ぐちゃぐちゃにかきまぜる。 『すごいいやらしい音』 男が歓喜のため息をも…

『夫以外』新津きよみ

――「夢中」とは「夢の中」と書く。何かに熱中しているあいだは夢の中にいるだけで、夢から覚めたら、そこは現実。やっぱり、一番大切なのは、目の前の現実だ。 新津きよみ『夫以外』を読みました またもや短編集ですね。 しかもこちらは大人の女性たちの日常…

『家守』歌野晶午

歌野晶午『家守』を読みました。 改めて書く必要もないかもしれませんが、歌野晶午といえば第57回日本推理作家協会賞と第4回本格ミステリ大賞をW受賞した『葉桜の季節に君を想うということ』や、二度目の本格ミステリ大賞に輝いた『密室殺人ゲーム』シリーズ…

『日曜は憧れの国』円居挽

「運が良ければ、一生忘れられないような体験になると思いますよ」 円居挽『日曜は憧れの国』を読みました。 久しぶりの創元推理文庫というだけで、なんだかわくわくしちゃいますね。 創元推理文庫というと、有栖川有栖や北川薫といった推理小説の名手を輩出…

『夢違』恩田陸

「――夢は外からやってきて」 石清水がぽつんと呟いた。 「どこへ行くんでしょうね」 恩田陸『夢違』を読みました。 当ブログにも登場機会の多い恩田陸作品です。 直木賞や映画化で話題の『蜜蜂と遠雷』をはじめ、本屋大賞を受賞した『夜のピクニック』。綾辻…

『家族の言い訳』森浩美

言い訳を いちばん必要とするのは 家族です 森浩美『家族の言い訳』を読みました。 ライトノベル系の作品が続いていたので、一般文芸作品は久しぶりですね。 森浩美作品もまた、『夏を拾いに』以来二作目。 上に紹介した『夏を拾いに』は今から約三年前に読…

『いつか、眠りにつく日』いぬじゅん

「俺の仕事は、死んだ人間を、あっちの世界に連れてゆくことだ。しかし、人間っていうのは厄介で、『死んでもしにきれない』っていう、変な感情や想いをかかえていつヤツが多い」 いぬじゅん『いつか、眠りにつく日』を読みました。 こちらもスターツ出版か…

『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』山口悟

あれ? おかしいなこれ? ハッピーで追放、バッドで死ぬって……カタリナ・クラエスにハッピーなエンドがなくない? バッドオンリーなんですけど!? 今回読んだ本は山口悟著、その名も『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』という長っ…

『ちっぽけな世界の片隅で。』高倉かな

願いが込められた玉は落ち、込められていない玉が残る。そんなふうに、わたしたちの生きる世の中は、うまくいかないことばかりだ。 大切にすべきものが、ないがしろにされる。無法がまかり通り、きれいなものが汚される。 高倉かな『ちっぽけな世界の片隅で…

『春となりを待つきみへ』沖田円

「あの星の裏側でおれの名前を呼んでみてよ。どこに居たって見つけてあげる」 さて、再びライト文芸へと戻り沖田円『春となりを待つきみへ』を読みました。 ここ最近当ブログで取り上げる事の多いスターツ出版文庫の作品。 つい先日『一瞬の永遠を、きみと』…