おすすめ読書・書評・感想・ブックレビューブログ

年間100冊前後の読書を楽しんでいます。推理小説・恋愛小説・歴史小説・ビジネス書・ラノベなんでもあり。

『少女病』田山花袋

こみ合った電車の中の美しい娘、これほどかれに趣味深くうれしく感ぜられるものはない 花袋です。 今回読んだ『少女病』は代表作『蒲団』と並び、田山花袋の“変態”を大いに確立した作品の一つ。 こんなものが青空文庫なら無料で読めちゃうんだからすごいです…

『田舎教師』田山花袋

かれは将来の希望にのみ生きている快活な友だちと、これらの人たちとの間に横たわっている大きな溝を考えてみた。 「まごまごしていれば、自分もこうなってしまうんだ!」 大好きな田山花袋です。 いまいち読書が進まない中でも、スマホのKindleアプリで細々…

『御城プロジェクト:RE ~CASTLE DEFENSE~』仁科朝丸

城娘。 人間を襲う異形の怪物『兜』に対抗しうる力を持つ、数少ない存在。 底知れぬ大軍と激甚の破壊力を有して押し寄せる兜の軍団を、城娘たちは塞き止め、打ち返し、時に斬り伏せ、時に射落とす。 えーと……コホンコホン。 わざわざブログ記事に書くほどで…

『同族経営は、なぜ3代で潰れるのか?』武井一喜

「売り家と唐様で書く三代目」 ……ご無沙汰しています。 最近、めっきり読書から離れがちな日々が続いています。 仕事だったり、仕事に関わる勉強だったり、前回のブログでも挙げたスマホゲームだったり、理由は色々と挙げられるんですが、なんだか本を読んで…

『くちびるに歌を』中田永一

奇跡的に声が合わさり、ほんの短い時間だけその感覚につつまれる。そのとき自分の声が、自分の声ではなくなるような気がした。たしかに自分が口を開けて発声しているのだけど、何かもっと大きな意思によって背中をおされるように歌っているようにおもえる。…

『ぼくらの最終戦争』宗田理

つらいこともありました 楽しいこともありました あっという間に三年過ぎて すてきな仲間になりました 僕の住んでいる地方では、つい先日公立小・中学校の卒業式が行われました。 今年は梅の花が咲くのも早いし、どことなく春めいていて、いつになく卒業ムー…

『恩讐の彼方に』菊池寛

槌を振っていさえすれば、彼の心には何の雑念も起らなかった。人を殺した悔恨も、そこには無かった。極楽に生れようという、欣求ごんぐもなかった。ただそこに、晴々した精進の心があるばかりであった。 再び青空文庫から菊池寛『恩讐の彼方に』を読みました…

『光の帝国』恩田陸

矢田部さん、『常野』という言葉の由来を知ってますか? 権力を持たず、群れず、常に在野の存在であれ。そういう意味だそうです。 恩田陸の常野物語シリーズ一作目『光の帝国』です。 前回のブログにも書きましたが、ようやく『私本太平記』を読み終えたにも…

『私本太平記』吉川英治

ええと。。。 ブログを書くこと自体約一月ぶりなので、なんだか戸惑ってしまいます。 かねてより予告していました『私本太平記』をようやく読み終えました。青空文庫だと帖別となっていて全13帖。文庫版では全8巻だったそうです。加えて、同じく青空文庫に公…

『無銭優雅』山田詠美

「でも、いつか死んじゃうかもって思うと、うっとりする。おまえのこと、すごく大事にしたくなる」 「人を勝手に殺さないでよね」 「うん。ひとりでなんか死なせないよ。どうせ死ぬなら、一緒に死のう」 「ええっ!?」 「……というような気持で、一緒に楽しも…

『恋愛中毒』山本文緒

だが、奇跡だと思っていたのは私の方だけで、夫にしてみればただ平凡な恋愛がひとつはじまって、やがて倦怠期を迎え、そして心が離れただけのことだったのかもしれない。どこにでもある、誰にでもある恋愛と同じように。特別だと思っていたのは自分だけで、…

『脱・家族経営の心得―名古屋名物「みそかつ矢場とん」素人女将に学ぶ』藤沢久美

経営者を決めるとき 大切なのは、その人の能力よりも、経営者になる覚悟の有無です。 歴史小説を……と言いつつ、今度もまた180度違った本を読みました。 その名も『脱・家族経営の心得―名古屋名物「みそかつ矢場とん」素人女将に学ぶ』。 書名そのものですね…

『タルト・タタンの夢』近藤史恵

「入れたはずのフェーブが、なぜか忽然とお菓子の中から消失してしまったのだよ」 今回読んだのは『タルト・タタンの夢』。 第10回大藪春彦賞を受賞した『サクリファイス』で知られる近藤史恵さんの作品です。 『サクリファイス』といえば自転車ロードレース…

『伊達政宗』山岡荘八

人それぞれの持って生れる先天的な、運命的な、根性の中に、棟梁運というのがある。 これだけは後天的なものではないらしい。どこでどう培われてくるのか? 産れ落ちる時にはすでにこれを持つ者と、持たざる者との差がついてしまっている。 これを持つ者は、…

『獣の奏者 Ⅰ 闘蛇編 ~ Ⅳ 完結編』上橋菜穂子

「涙は悲しみの汁だ。涙がどんどん流れでれば、哀しみも、それでだけ減っていくってもんさ。おまえを、そんなに哀しませていることも、やがては、忘れられるようになる」 『獣の奏者 Ⅰ 闘蛇編』から『獣の奏者 Ⅳ 完結編』までのシリーズ四作を読みました。 …

『のぼうの城』和田竜

――のぼう様 とは、「でくのぼう」の略である。それに申し訳程度に「様」を付けたに過ぎない。 安能務『封神演義』を読み、ついでに藤崎竜の漫画版『封神演義』、さらに『Wāqwāq(ワークワーク)』、『かくりよものがたり』とフジリュー作品にのめり込む内に…

『ナイフ』重松清

洗面所の鏡に、ナイフを持った私が映る。笑っている。私は人を殺せる。ナイフを持っている私は、その気にさえなれば、いつでもだれかを殺せる。 今回読んだのは重松清『ナイフ』です。 本作は第14回(1998年) 坪田譲治文学賞受賞作品でもあります。 重松清…

『封神演義』安能務

――歴史とは現実に何が起こったかではない。何が起きたか、と人々が信ずることだ―― 『封神演義』を読みました。 読むのはかれこれ十年以上ぶり。 その昔、一度だけ読んだことがありますので一応再読という形になります。 一度だけ読んだというのも、男性の方…

『スロウハイツの神様』辻村深月

漫画の神様と呼ばれる手塚治虫氏の住んでいたところに、彼を慕って若い漫画家が集まり、住み始める。藤子不二雄や、石ノ森章太郎や、赤塚不二夫や、今では信じられないくらい豪華な顔ぶれの漫画家たちが、一つ屋根の下に住んで、そろって漫画を描いていた。…

『人魚の眠る家』東野圭吾

「他の多くの国では、脳死を人の死だと認めています。したがって脳死していると確認された段階で、たとえ心臓が動いていたとしても、すべての治療は打ち切られます。延命治療が施されるのは、臓器の提供を表明した場合のみです。ところが我が国の場合まだそ…

『i(アイ)』西加奈子

「この世界にアイは存在しません。」 西加奈子さんの『i(アイ)』を読みました。 本当は年末年始かけてじっくり『サラバ!』を読んでみたいと思っていたんですが、計画と読みが狂ってしまい、年が明けた今になって『i(アイ)』の方から手をつける事に。 ち…

『絶望ノート』歌野晶午

オイネプギプト様、是永雄一郎を殺してください。 最近妙に『密室殺人ゲーム』の記事へのアクセスが増えていたりするのですが、何かあったのでしょうか? 特に心当たりはないのですが。 linus.hatenablog.jp linus.hatenablog.jp linus.hatenablog.jp ……だか…

『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』七月隆文

「ぼくたちはすれ違ってない。端と端を結んだ輪になって、ひとつにつながっているんだ」 年明け早々にアップした『みかづき』は2018年内から読み始めた本だったので、厳密に言うと本作が今年初めて読んだ本、という事になります。 『ぼくは明日、昨日のきみ…

『みかづき』森絵都

「私、学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在になると思うんです」 2018年最後の締め括りとして選んだのは、森絵都さんの『みかづき』でした。 2017年本屋大賞では『蜜蜂と遠雷』に次ぐ二位にランクイン。 www.kinokuniya.co.jp 更に来春からはNHKで…

『崩れる脳を抱きしめて』知念実希人

ダイヤの鳥籠に入った小鳥と、大空を自由に飛べる小鳥、どっちの方が幸せだと思う? 『崩れる脳を抱きしめて』を読みました。 こちらも先日読んだ『星の子』と同じ第15回2018年本屋大賞ノミネート作品で、その時大賞を受賞したのは辻村深月さんの『かがみの…

『星の子』今村夏子

その日、帰宅してから、父は早速落合さんのまねをしはじめた。寝る直前まで頭の上に水に浸したタオルをのせて、夕飯を食べたりテレビを観たりした。翌朝は「落合さんのおっしゃったとおりだ。羽根が生えたみたいに体が軽いぞお」といい、母にも実践するよう…

『チーム・バチスタの栄光』海堂尊

バチスタ手術は、学術的な正式名称を「左心室縮小形成術」という。一般的には正式名称よりも、創始者R・バチスタ博士の名を冠した俗称の方が通りがよい。拡張型心筋症に対する手術術式の一つである。 『チーム・バチスタの栄光』を読みました。 第4回『この…

『屍人荘の殺人』今村昌弘

「国名シリーズはクイーン。館シリーズは綾辻行人。では火葬シリーズは?」 最初にこういう薀蓄を小説内に入れ始めたのは誰だったんでしょうね? もちろん昔の文豪たちの小説にはそれこそ西洋の王道と呼ばれるような文学作品の名前が度々登場したりしていま…

『ファーストラヴ』島本理生

「正直に言えば、私、嘘つきなんです。自分に都合が悪いことがあると、頭がぼうっとなって、意識が飛んだり、嘘ついたりしてしまうことがあって。だから、そのときもとっさに自分が殺したことを隠そうとしたんだと……」 第159回直木賞受賞作『ファーストラブ…

『マスカレード・ホテル』東野圭吾

「ルールはお客様が決めるものです。昔のプロ野球に、自分がルールブックだと宣言した審判がいたそうですが、まさにそれです。お客様がルールブックなのです。だからお客様がルール違反を犯すことなどありえないし、私たちはそのルールに従わなければなりま…