おすすめ読書・書評・感想・ブックレビューブログ

年間100冊前後の読書を楽しんでいます。推理小説・恋愛小説・歴史小説・ビジネス書・ラノベなんでもあり。

『家守』歌野晶午

歌野晶午『家守』を読みました。 改めて書く必要もないかもしれませんが、歌野晶午といえば第57回日本推理作家協会賞と第4回本格ミステリ大賞をW受賞した『葉桜の季節に君を想うということ』や、二度目の本格ミステリ大賞に輝いた『密室殺人ゲーム』シリーズ…

『日曜は憧れの国』円居挽

「運が良ければ、一生忘れられないような体験になると思いますよ」 円居挽『日曜は憧れの国』を読みました。 久しぶりの創元推理文庫というだけで、なんだかわくわくしちゃいますね。 創元推理文庫というと、有栖川有栖や北川薫といった推理小説の名手を輩出…

『夢違』恩田陸

「――夢は外からやってきて」 石清水がぽつんと呟いた。 「どこへ行くんでしょうね」 恩田陸『夢違』を読みました。 当ブログにも登場機会の多い恩田陸作品です。 直木賞や映画化で話題の『蜜蜂と遠雷』をはじめ、本屋大賞を受賞した『夜のピクニック』。綾辻…

『家族の言い訳』森浩美

言い訳を いちばん必要とするのは 家族です 森浩美『家族の言い訳』を読みました。 ライトノベル系の作品が続いていたので、一般文芸作品は久しぶりですね。 森浩美作品もまた、『夏を拾いに』以来二作目。 上に紹介した『夏を拾いに』は今から約三年前に読…

『いつか、眠りにつく日』いぬじゅん

「俺の仕事は、死んだ人間を、あっちの世界に連れてゆくことだ。しかし、人間っていうのは厄介で、『死んでもしにきれない』っていう、変な感情や想いをかかえていつヤツが多い」 いぬじゅん『いつか、眠りにつく日』を読みました。 こちらもスターツ出版か…

『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』山口悟

あれ? おかしいなこれ? ハッピーで追放、バッドで死ぬって……カタリナ・クラエスにハッピーなエンドがなくない? バッドオンリーなんですけど!? 今回読んだ本は山口悟著、その名も『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』という長っ…

『ちっぽけな世界の片隅で。』高倉かな

願いが込められた玉は落ち、込められていない玉が残る。そんなふうに、わたしたちの生きる世の中は、うまくいかないことばかりだ。 大切にすべきものが、ないがしろにされる。無法がまかり通り、きれいなものが汚される。 高倉かな『ちっぽけな世界の片隅で…

『春となりを待つきみへ』沖田円

「あの星の裏側でおれの名前を呼んでみてよ。どこに居たって見つけてあげる」 さて、再びライト文芸へと戻り沖田円『春となりを待つきみへ』を読みました。 ここ最近当ブログで取り上げる事の多いスターツ出版文庫の作品。 つい先日『一瞬の永遠を、きみと』…

『天使の柩』村山由佳

彼はただ、ずっと長い間どうしても閉じることができずにいた柩の蓋に、今やっと手をかけて、お弔いを終えようとしているだけだ。 村山由佳『天使の柩』を読みました。 ふと思い立って、『天使の卵』からシリーズ作品を読み返し始めたわけですが、本作で完結…

『ヘヴンリー・ブルー』村山由佳

この夏――。 私は、お姉ちゃんの年をまたひとつ追い越す。 村山由佳『ヘヴンリー・ブルー』です。 前に書いた『天使の卵』、前回の『天使の梯子』に続く形のシリーズ作品ですね。 ただし本書は前二作は少し性質が違います。 『天使の梯子』が続編だとすれば、…

『天使の梯子』村山由佳

「ほんとに、長かったよな、十年。――もう、いいよ夏姫。もう、いいかげんに解放してやろう。俺らが春妃に縛られてるだけじゃない。春妃のほうも、俺らに縛られてるんだ」 村山由佳『天使の梯子』を読みました。 青春恋愛小説の金字塔とも言われる『天使の卵…

『15歳、終わらない3分間』八谷紬

『つらくても、笑っていたら、いつかきっとたのしくなるよ』 八谷紬『15歳、終わらない3分間』を読みました。 引き続きスターツ出版文庫からの作品です。 こちらも安定のジャケ&あらすじ買い。 なにせあらすじが秀逸です。 詳しくは下部に設置したAmazonの…

『僕は明日、きみの心を叫ぶ』灰芭まれ

《……クラゲの身体の、九十五%の水が涸れました。――来世は幸せになれますように》 灰芭まれ『僕は明日、きみの心を叫ぶ』を読みました。 一応先に付け足しておくと、灰芭まれの読み方に戸惑う方が少なくないようですが≪芭≫は松尾芭蕉の≪芭≫ですから“はいばま…

『一瞬の永遠を、きみと』沖田円

「今ここで死んだつもりで、少しの間だけおまえの命、おれにくれない? 沖田円『一瞬の永遠を、きみと』を読みました。 一時期の放置具合はなんだったのかと訝しまれるような連日の更新ですが、ライトノベル系は読みやすいのでサクサク進んでしまいますね。 …

『放課後図書室』麻沢奏

「記憶違いだったら悪いんだけど」 「うん」 「俺達、付き合ってた?」 「…………」 麻沢奏『放課後図書室』を読みました。 前回読んだのは新潮文庫nexというレーベルですが、こちらもスターツ出版文庫というライト文芸レーベルからの出版作品です。 スターツ出…

『消えない夏に僕らはいる』水生大海

小学五年生の夏は特別だった。五人はみな、そう思っている。 けれど高校一年生の夏もまた、特別だ。 水生大海『消えない夏に僕らはいる』を読みました。 新潮文庫nexというレーベルから出ている作品。ライトノベル……というよりライト文芸的なレーベルなんで…

『天使の卵』村山由佳

「嘘つき! 一生恨んでやるから!」 村山由佳『天使の卵 エンジェルス・エッグ 』を読みました。 第6回小説すばる新人賞を受賞し、作家村山由佳を世の中に知らしめるきっかけとなった作品でもあります。 ちなみに本書は初読ではありません。 中学生か高校生…

『ハサミ男』殊能将之

「チョキ、チョキ、チョキとハサミ男が行く。三人目の犠牲者が出る。血が流れ、苦痛がみちあふれる。人々は恐怖し、激怒し、おびえ、あるいはおもしろがる……」 殊能将之『ハサミ男』を読みました。 説明するまでもないですが、ミステリ界隈では超がいくつも…

『六花の勇者』山形石雄

「よく確かめるのだ! ありえん、六花の勇者が七人いるなど」 皆様明けましておめでとうございます。 あまり季節感のない当ブログですが、2021年最初の更新となります。 今回読んだのは山形石雄『六花の勇者』。 例によってライトノベルですね。 こちらもテ…

『千年戦争アイギス 白の帝国編Ⅳ』むらさきゆきや

ルチアが、この魔界で、魔物たちに囲まれ、いたぶられながら殺されるのは――女神の指示なのか。 帝国に見捨てられ。 女神に死を望まれ。 ――だとすれば、私は何のために戦う? 何のために生きる? 戦意が消える。 ルチアは顔面をデーモンに殴られた。 むらさき…

『千年戦争アイギス 白の帝国編Ⅲ』むらさきゆきや

「……と、と、友達に……なって……ください」 むらさきゆきや 『千年戦争アイギス 白の帝国編Ⅲ』。 『千年戦争アイギス』のノベライズもついに三作目に入りました。 実はこの『白の帝国編』以外にも本来の主人公である王子を主人公として書かれた『月下の花嫁』…

『千年戦争アイギス 白の帝国編Ⅱ』むらさきゆきや

予測ではありますが……と前置きし、バルツァーが重い声で言う。 「魔神降臨」 俺は思わず玉座から立ち上がっていた。 さて、前回に引き続き、むらさきゆきや『千年戦争アイギス 白の帝国編Ⅱ』のご紹介です。 前回は『白の帝国編』一作目とあってそもそもの「…

『千年戦争アイギス 白の帝国編』むらさきゆきや

「我は、幸福だ」 今回もライトノベルです。 しかも今回からはDMMから提供されているブラウザ・アプリ用タワーディフェンスゲーム『千年戦争アイギス』のノベライズ版。 非常に読む人が限られそうな記事になりそうですが、読書ブログって一発のバズりよりも…

『ミミズクと夜の王』紅玉いづき

「あたしを食べてよ。夜の、王様……」 紅玉いづき『ミミズクと夜の王』を読みました。 第13回電撃小説大賞受賞作。 またまたライトノベルですが、こちらは泣けるラノベとして必ず名前の挙がる異色作となっています。 2007年初版という事で、異世界転生でもな…

『ココロコネクト ヒトランダム』 庵田定夏

「人格としての『わたし』を失って……、【身体】としての『わたし』を失って……、【身体】としての『わたし』を失って……ずっとこんな状態が進めば……誰もわたしをわたしと気づいてくれなくなって……わたしじしにもわからなくなって……そんな……そんな風にして、わ…

『さくら荘のペットな彼女』鴨志田一

「それって、他人に理由を求めてるってことだよな。何か決めるのに、他人が絡んでれば、失敗したときに言い訳できるもんな。仕方ない。しょうがないって。じゃないと辛いよな。負けたときに全部自分のせいってのは。逃げ道がないってのはさ」 鴨志田一『さく…

『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』 渡航

誰かの顔色を窺って、ご機嫌をとって、連絡を欠かさず、話を合わせて、それでようやく繋ぎとめられる友情など、そんなものは友情じゃない。 渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』を読みました。 通称俺ガイル。 改めて本作がどんな作品かなんて…

『風花』川上弘美

なんだか。のゆりは思う。 なんだかここは、とってもうすみどり。 川上弘美『風花』読みました。 初めて手に取る作者です。 「なんとなく聞き覚えはあるけどどんな作品書いてる人だっけ?」なんて思われる方も少なくないかと思います。かく言う僕がその一人…

『トンコ』雀野日名子

トンコは店員が投げ捨てた生姜焼き弁当を嗅いだ。プラスチック・カバーの内側で、薄肉となった姉妹豚が寄り添っていた。ポリ容器から転がり出た生姜焼き弁当からは、「M02」の匂いがした。 今回も角川ホラー文庫から雀野日名子『トンコ』のご紹介です。 本書…

『死国』坂東眞砂子

土佐は鬼の住む国、死者の住む国である。このような呼び方が残っているのは、かつて人が死後においても、魂と心に分かれずに何らかの形で、この世に存在していた証拠ではないだろうか。死者も生者も同じように、この世に存在していた時があったのではないだ…