おすすめ読書・書評・感想・ブックレビューブログ

年間100冊前後の読書を楽しんでいます。推理小説・恋愛小説・歴史小説・ビジネス書・ラノベなんでもあり。

『イン・ザ・プール』奥田英朗

「言っとくけど、聞かないから」伊良部が言った。 「はい?」 「ストレスの原因を探るとか、それを排除する工夫を練るとか、そういうの、ぼくはやんないから」 「はあ」 実は、初の奥田英朗作品です。 常々名前を目にする機会は少なくなかったはずなのですが…

『はじめての福島学』開沼博

「福島を応援したい」「福島の農業の今後が心配だ」「福島をどうしたらいいんですか」 こういう問いを福島の外に暮らす人から何度も投げかけられてきました。 本書はそういう問いに対して、「とりあえず、このぐらいは知っておいてもらいたい」ということを…

『小さな建設業の脱!どんぶり勘定』服部正雄

会社は、赤字では倒産しません。お金が不足したときに倒産するのです。 服部正雄著『小さな建設業の脱!どんぶり勘定』。 アマゾンの中小企業経営部門においてランクインしていた事から、最近続いている事業承継・企業再生に関連するものとしてチョイスした本…

『東京タワー オカンとボクと、 時々、オトン』リリー・フランキー

鏡に映った東京タワーを見ながら微笑んでいるオカン。窓から直接それを見ているオトン。そして、そのふたりと、ふたつの東京タワーを一緒に見ているボク。 なぜか、ボクたちは今、ここにいる。バラバラに暮らした三人が、まるで東京タワーに引き寄せられたか…

『会社再生ガール』田中伸治

私の代で、こんな、こんな……もしあの宿がこのまま潰れてしまうようなことがあれば…… 先日読んだ『2代目はどこで失敗するか』の時にも書きましたが、最近はちょっと“事業承継”や中小零細企業に向けた“事業再生”的なものに興味を持って色々と勉強したりしてい…

『硫黄島に死す』城山三郎

玉砕するばかりが軍人の本分じゃない。お父さんは無駄死にしない。生きられるものなら、どこまでも生きていく。 僕が好んで読む城山三郎作品の中において、『官僚たちの夏』と並ぶ代表作がこの『硫黄城に死す』。 城山三郎好きを公言しながらも、お恥ずかし…

『2代目はどこで失敗するか』高橋幹

別に2代目を嫌う必要はないのです。2代目でござる、2代目は楽でござる、2代目は裕福でござる、それでいいじゃないかと思っています。 久しぶりのビジネス書です。 昨今、巷で話題となっているのが事業承継。 特に中小企業においては跡継ぎがおらず、後継者不…

『よるのばけもの』住野よる

夜の時間、黒い粒をまとって六本の足を囃し八つの目をぎょろつかせる姿。 昼の時間、人間の姿をしてみんなからずれまいといじめに加わる行動。 それとも、いつも心の中に巣くって生きている、矢野さんが信じたような僕を覆い隠してしまうほど大きく育ったこ…

『下町ロケット2 ガウディ計画』池井戸潤

「自分たちがやるべき事も満足にやらないで発注者を疑う。可能性を全て検討した上で、科学的根拠をもって指摘するのが本来のやり方だろう。中途半端な仕事をしておきながら、その尻を相手に持っていく。そんなことをされちゃあ、相手だっていい迷惑だ」 先日…

『スコーレNo.4』宮下奈都

広くなったり細くなったりしながら緩やかに流れてきた川が、東に大きく西に小さく寄り道したあげく、風に煽てられて機嫌よくハミングする辺りに私の町がある。父の父の父の代あたりまでは、川上で氾濫してよく堤防を決壊させたと聞くけれど、そんな話が冗談…

『天地明察』冲方丁

もしかすると暦とは、一つに、人々が世の権威の所在を知るすべなのかもしれない。 初めての冲方丁作品です。 『天地明察』。 この作品って、個人的にはとんでもないヒット作という印象があります。 受賞した賞だけでもこの通り。 第31回吉川英治文学新人賞 …

『チョコレートコスモス』恩田陸

本当に、役者という商売は面白い。舞台は面白い。同じホンでも、やる人間でこんなに違ってきてしまう。 興奮冷めやらぬまま、キーボードを叩いています。 さて、この感動をどう記したら良いものか。 今回読んだのは『チョコレートコスモス』。 第156回直木三…

『山女日記』湊かなえ

そろそろ私も、新しい景色を切り取りに行こうか。 先日の北村薫『八月の六日間』に続き、“ガチじゃない”ゆるめの登山ものとして定評のある湊かなえ『山女日記』を読みました。 “イヤミスの女王”として不動の人気を誇る湊かなえですが、僕が読んだのはデビュ…

『密室殺人ゲーム2.0』歌野晶午

あのさ、オレ様は殺しただけなの。検屍はしていないから、死因なんてわからねーよ。いちおう殺害方法を説明しておくと、最初に後頭部をガツンガツンと何回か殴って、やつはそれで床に倒れて動かなくなったんだけど、念のため胸を数回刺した。頭と心臓、どっ…

『八月の六日間』北村薫

疲れるのでは――という予感がある。本も読めない気がする。しかし、書籍は常備薬と同じだ。手の届くところに活字がないと不安になる。 とか言って、荷物てんこ盛りのザックにわざわざ本を(しかも2,3冊!)詰めてしまうのが本書の主人公。 でもまぁ、同じよ…

『ペンギン・ハイウェイ』森見登美彦

風が吹き渡ると、朝露にぬれた草がきらきら光った。キウキウキシキシと学校の床を鳴らすような音が聞こえてきた。広々とした空き地のまんなかにペンギンがたくさんいて、よちよちと歩きまわっているのだった。 『有頂天家族』、『四畳半神話大系』以来の森見…

『下町ロケット』池井戸潤

そうだ。――佃は思った。オレは自分の夢のことは考えたが、社員のことはそのとき考えなかった。 結局、社員が反抗するのは、その結果ではなくプロセスに問題があったからではないのか。 だとすれば、オレはどこかで、手順を間違えたらしい。 第145回(2011年…

『吉祥寺の朝日奈くん』中田永一

僕たちは不安でたまらない。今あるこの感情も、やがて稀薄になっていくのだろうか。はなればなれになって、おぼえている輪郭も、声も、あいまいになっていくのだろうか。でも、もしそうならなかったとしたら? 東京で暮らす自分の心にいつまでも彼女がいたと…

『陽気なギャングが地球を回す』伊坂幸太郎

「『ぼくは誰よりも速くなりたい。寒さよりも、一人よりも、地球、アンドロメダよりも』」響野が芝居がかった声を出した。 「誰かの詩?」久遠は訊ねる。 「亡くなったアルト奏者だよ。ジャズ演奏家の言葉だ。私たちだって、誰よりも速く走らならなくてはい…

『生き屏風』田辺青蛙

皐月はいつも馬の首の中で眠っている。 そして朝になると、首から這い出て目をこすりながら、あたかも人が布団を直すかのように、血まみれで地面に落ちている馬の首を再び繋ぐ。 いきなりグロ描写から始めてしまいましたが、こちらは実際に本作『生き屏風』…

『密室殺人ゲーム王手飛車取り』歌野晶午

〈しかし、このゲームは僕ら五人が謎解きを楽しむためのものであり、世間に対して何かをしようとしているのではない〉 今回読んだのは歌野晶午の『密室殺人ゲーム王手飛車取り』。 歌野晶午と言えばなんといっても『葉桜の季節に君を想うということ』が代表…

『魔界都市〈新宿〉』菊地秀行

「魔界都市」とは何か? かつて、その名を「新宿」といった。 菊地秀行の『魔界都市〈新宿〉』なんてものを読んでみました。 この後膨大な作品を刊行する事になる菊地秀行の処女作であり、発行は1982年。 発行元である朝日ソノラマ社は今から十年以上前に廃…

『夏を拾いに』森浩美

あの夏を息子と拾いに行くのも悪くない。いや幸せだ。 早速タイトルのネタバレしちゃいましたが。 森浩美『夏を拾いに』です。 和製『スタンド・バイ・ミー』と噂の本作。 だいぶ前に買ってから長い間積読化していたのですが、ようやく読むことができました…

『町工場の娘』諏訪貴子

「会社は大丈夫だから!」 思わず、そう叫んだ。 父は私の目を見つめたままの姿勢で息を引き取った。64歳だった。 お盆を挟みすっかりご無沙汰していましたが、しばらくぶりの更新です。 読んだ本は『町工場の娘』。 昨年NHKでドラマ化された話題の女性社長…

『風神の門』司馬遼太郎

京から八瀬までは、三里ある。高野川をさかのぼって、洛北氷室ノ里をすぎると、にわかに右手の叡山の斜面がせまり、前に金毘羅山がそびえて、すでに山里の感がふかい。 冒頭の一文です。いかにも司馬遼太郎といった雰囲気で懐かしさすら覚えてしまいます。一…

『太陽のパスタ、豆のスープ』宮下奈都

自然にしていればいい。ちゃんと黄色を選べたんだから。そのうち頭がゆるんで、身体も心もゆるんでくるよ。それまでは、ひとつずつゆっくり作業するといいかもしれないね。慌てることないよ、あすわはあすわだから。 第13回本屋大賞を受賞した『羊と鋼の森』…

『世界地図の下書き』朝井リョウ

いじめられたら逃げればいい。笑われたら、笑わない人を探しに行けばいい。うまくいかないって思ったら、その相手がほんとうの家族だったとしても、離れればいい。そのとき誰かに、逃げたって笑われてもいいの。 僕の中での鉄板、朝井リョウです。 本書『世…

『ヒトリシズカ』誉田哲也

なんとも静かな、深夜の住宅街。その闇間に消えた、一人の少女――。俺はそのとき、まだ本当の闇の深さというものを、知らずにいたのかもしれない。 誉田哲也です。警察ものです。僕のブログやInstagramを見てくれている方の中にはひょっとしたらお気づきの方…

『ドミノ』恩田陸

その姿を見送っていると、また小さく空に先行が走った。ゴロゴロという地鳴りのような遠雷のいる場所を見つけようとするかのように、和美は腕組みにして外に鋭い視線を投げた。 恩田陸の作中に「遠雷」なんて言葉を見つけるとそれだけでドキッとしてしまいま…

『楽天流』三木谷浩史

インターネット・ショッピングモール(ネット上の仮想商店街)「楽天市場」を立ち上げてまもなく、僕らは出店者にそれぞれの店舗サイトを自由にカスタマイズできる機能を提供した。そうすることで、出店者は各々の目的に合わせて、自分なりの方法でサイトを…