おすすめ読書・書評・感想・ブックレビューブログ

年間100冊前後の読書を楽しんでいます。推理小説・恋愛小説・歴史小説・ビジネス書・ラノベなんでもあり。

恋愛小説

『愛がなんだ』角田光代

マモちゃんと会って、それまで単一色だった私の世界はきれいに二分した。「好きである」と、「どうでもいい」とに。そうしてみると、仕事も、女の子たちも、私自身の評価というものも、どうでもいいほうに分類された。そうしたくてしたわけではない。「好き…

『ナラタージュ』島本理生

なにもいらないと思っていた。そんなふうに一緒にいるだけで手に余るほどだったのにいつの間にか欲望が現実の距離を追い越して、期待したり要求したりするようになっていた。どんどん贅沢になっていたんだな、と思った。 島本理生の『ナラタージュ』を読みま…

『一瞬の光』白石一文

白石一文『一瞬の光』を読みました。 通常当ブログの最上部にはその本の特徴的・印象的な一文を引用するという形を取っているのですが、本書に関しては何度も何度も見返して探したのですが、結局どうしても該当しそうなところが見当たらないので省く事にしま…

『ひらいて』綿矢りさ

無駄に生きてるんだ、もう無駄にしか生きられないんだ。 長い長い『新・平家物語』の読書を終えた後、本棚にたくさんある積読本から選んだのは綿矢りさの『ひらいて』でした。 綿矢りさで読んだ事があるのは2001年に当時17歳という最年少タイ記録で第38回文…

『恋愛中毒』山本文緒

だが、奇跡だと思っていたのは私の方だけで、夫にしてみればただ平凡な恋愛がひとつはじまって、やがて倦怠期を迎え、そして心が離れただけのことだったのかもしれない。どこにでもある、誰にでもある恋愛と同じように。特別だと思っていたのは自分だけで、…

『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』七月隆文

「ぼくたちはすれ違ってない。端と端を結んだ輪になって、ひとつにつながっているんだ」 年明け早々にアップした『みかづき』は2018年内から読み始めた本だったので、厳密に言うと本作が今年初めて読んだ本、という事になります。 『ぼくは明日、昨日のきみ…

『吉祥寺の朝日奈くん』中田永一

僕たちは不安でたまらない。今あるこの感情も、やがて稀薄になっていくのだろうか。はなればなれになって、おぼえている輪郭も、声も、あいまいになっていくのだろうか。でも、もしそうならなかったとしたら? 東京で暮らす自分の心にいつまでも彼女がいたと…

『君の膵臓をたべたい』住野よる

私も君も、もしかしたら明日死ぬかもしれないのにさ。そういう意味では私も君も変わんないよ、きっと。一日の価値は全部一緒なんだから、何をしたかの差なんかで私の今日の価値は変わらない。 住野よるさん、人気ですねTwitterやInstagramのTLを見ていても、…

『国道沿いのファミレス』畑野智美【追記あり】

未練はない。もともとそんなに好きじゃなかった。 『国道沿いのファミレス』は第23回小説すばる新人賞受賞作。 主人公は6年ぶりに生まれ故郷に帰ってきた佐藤善幸。 彼は東京の大学を卒業後、外食チェーンの会社に就職したのですが、他の店舗で事件を起こし…

『アダルト・エデュケーション』村山由佳

「肉体を伴わない恋愛なんて、花火の上がらない夏祭りみたいだ!」 ……上記はあとがきからの引用。 だいぶ突き抜けた表現ですね← 気づいてみたらまた村山由佳です。 ここ最近は大塚英志か村山由佳かみたいな感じでかなり偏ってんなぁと自分でも思います。 今…

『BAD KIDS』村山由佳

好きになったら、運よくたまたま男だったっていうだけよ。二分の一の確率。あたしの言ってる意味、わかる? 第6回小説すばる新人賞を受賞した村山由佳が、『天使の卵―エンジェルス・エッグ』に続いて集英社から発表した2作目がこの『BAD KIDS』。 20年近く…

『陽だまりの彼女』越谷オサム

「返す返すも、彼女の十年間に寄り添えなかったことが悔やまれる」 『陽だまりの彼女』は「女子が男子に読んでほしい恋愛小説No.1」を謳い文句に販売されたそうです。 なかなか読みやすくて、キュンキュンしちゃいますよ。 男子は。 ……違うか。 ただし、男子…

『ふがいない僕は空を見た』窪美澄

「高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。」 冒頭の一文は引用は引用でもアマゾンのあらすじからの引用。 しかも実際には (コスプレ)セックス という四文字が隠れていたりします。 マジやばい もうなんかこれを小説にした時点で…

『サヨナライツカ』辻仁成

「人間は死ぬとき、愛されたことを思い出すヒトと、 愛したことを思い出すヒトにわかれる。 私はきっと愛したことを思い出す」 深いですねぇ。。。 『サヨナライツカ』も読書ノートには引用が多数残されています。 しかもどれも結構長文。 「もちろん愛され…

『東京タワー』江國香織

「一緒に生きることと一緒に生きることは、必ずしも同じじゃない」 ……困りました。 ブログを読んで下さっている方はお気づきと思いますが、当ブログの一番上にはその本の中で一番ぐっと来た引用を入れるようにしています。 ところが本作『東京タワー』に関し…

『クローズド・ノート』雫井脩介

※この本は恐ろしい本です!!! 「別に・・」 これをトップに持って来るのは流石に作品に対して失礼かもしれませんが。 映像化の際の舞台挨拶で主演を勤めた沢尻エリカの態度が悪かったとして有名になってしまった作品です。 ただこの『クローズド・ノート』…

『世界の中心で愛を叫ぶ』片山恭一

「朝、目が覚めると泣いていた」 おっ! 『君の名は。』じゃん! 『君の名は。』は口の悪い人に言わせると「様々な作品から寄せ集めた良いところ取りの作品」と言われたりしていますが、ここにもその一部を見つけた気がします。 冒頭の引用から始まる『世界…

『100回泣くこと』中村航

「風立ちぬ いざ生きめやも。」 古典名作『風立ちぬ』堀辰雄の冒頭に登場する有名な名台詞。 「風が吹いた。さぁ生きようじゃないか」 というような意味らしいですね。 風立ちぬ (集英社文庫) posted with ヨメレバ 堀 辰雄 集英社 1991-09-20 Amazon 楽天ブ…

『もう一度、デジャ・ヴ』村山由佳

「僕の家は、今どきめずらしくテレビが一台しかない」 序盤の一文が時代を感じさせます。 少し前までは一部屋につき一台が一般的だったんですよね。 今ではスマホやタブレット、PCは一人一台必要だけど、テレビは別になくたっていい。 最近では年度末になる…

『ダブル・ファンタジー』村山由佳

「そんなにこねまわしてどうしようというのだ。早起きのパン屋さんじゃあるまいし」 ↑↑↑これ、なんだと思います? ウソみたいだろ、 おっぱい揉まれてる描写なんだぜ、これ by 上杉何某 村山由佳に出会ったのは確か高校生の頃だ。 第6回「小説すばる」新人賞…