『白ゆき姫殺人事件』湊かなえ
「心の準備は整った。さあ、王子様に電話をかけよう。この白ゆき姫を救ってくれと」
綾野剛・井上真央の主演で映画化もされた『白ゆき姫殺人事件』。
インタビューに答えている風の文体が結構苦痛。
イヤミスの女王として著名な湊かなえだけど、本作に関しては評価も低く、元々の期待値が低かったのも手伝ってなかなか苦痛な読書になってしまいました。
黒こげで発見された美人OLの殺人事件を追うジャーナリストを中心に、同僚1・同僚2・同級生・地元住人者がそれぞれ質問に答える形で進み、最終章だけ当事者である城野美姫から真相が語られる。
現実の社会を彷彿とさせるごとく、彼らは自分を着飾り、取り繕うような嘘ばかり。
何が嘘で何が真実か。
そもそも現実とされているものも虚構の積み重ねでしかないのでないか。
SNSで加速度的に作られていく魔女の偶像。
……非常に実験的な作品であった点は否めないと思います。
後半から犯人が判明するまでの展開にはだいぶ惹き込まれました。
嬉しい誤算。
SNSの使い方だったり、描き方も上手です。
個人的には『告白』よりもだいぶ楽しめました。
SNSとリアルを描いた作品としては朝井リョウの『何者。』の方が圧倒的に優れていますね。作品の方向性が違うから単純に比較するのはどうかと思いますけど。