「ぼくが怖いのは、変わることだ。みんなが変わってしまって、今日ここにこうして四人でいるときの気もちを、いつか忘れてしまうことなんだ。」
石田衣良といえばテレビドラマ化もされた『池袋ウエストゲートパーク』が有名かもしれません。
こちらは第129回直木賞受賞作ともなった出世作『4TEEN』です。
月島で暮らすナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組を中心とした8つの短編集。
一見能天気に日々を暮らしている4人に見えるが、彼らの周りには沢山の悩みや問題が山積している。作中に登場すのは難病、売春、拒食症、いじめ、不倫、DV、同性愛、アルコール依存症、父親の死、虐待、妊娠……と重苦しいテーマがばかり。
4人の立場が不良でもなく、かといって勉強やスポーツで目立つタイプでもない。外向きには至って普通の少年たちなんだけれど、実は妙に考えや知識や大人びていたり、彼らも周囲の目をよく理解した上で普通さを演じていたり、という“普通だけど普通じゃない”感がとてもよく出ている。
本気だすと意外とすげーんだよ。
でも自分たちの実力もちゃんとわかってるから、敵わない相手に牙を向いたりはしない。
クレバーでスマートで、それでいて友達思いの四人組。
この青春像って野島伸司のドラマだったり、『池袋ウエストゲートパーク』だったりですごく流行していた印象があります。最近はひと段落して、ライトノベルに代表されるもっと記号的な人物像が受けているイメージがありますが。
今の少年たちが見ても、感動してくれるのかな?
親近感や憧れを抱いてくれるのかな?
個人的にはすごく気になるところです。
だからこそ、今のうちに読んでおきたいところですね。