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年間100冊前後の読書を楽しんでいます。推理小説・恋愛小説・歴史小説・ビジネス書・ラノベなんでもあり。

『小さな建設業の脱!どんぶり勘定』服部正雄

会社は、赤字では倒産しません。お金が不足したときに倒産するのです。 

服部正雄著『小さな建設業の脱!どんぶり勘定』。

アマゾンの中小企業経営部門においてランクインしていた事から、最近続いている事業承継・企業再生に関連するものとしてチョイスした本です。

色々と事業再生を謳った本は多いのですが、「小さな建設業」に絞り、しかもその中の「どんぶり勘定」に焦点を定めているあたり、非常に興味深いじゃないですか。

アマゾンのレビューも現時点で5件しかないものの、いずれもなかなかの好評価。

期待して読み始める事とします。

 

対象はそこまで小さくない会社

単刀直入に感想を述べてしまうと、上記がすべてです。

建設業には①支出が先に発生するパターンと②先にお金が入り支出が後になるパターンの二つのお金の流れがあるとし、さらに業界の特徴的な勘定科目として「未成工事受入金」と「未成工事支出金」があるとします。

「未成工事受入金」はいわゆる“前受金”に相当するもので、工事完成前に請負金額の一部を受領するようなケース。

「未成工事支出金」は売上になる前の工事代金の立替金の事。

これらが建築業がどんぶり勘定に陥りやすい原因の一つであり、支払・請求を漏れなく把握し、スピーディーに行う事でお金の流れをつかむ事が大事である。

工事代金は素早く回収、支払うお金は慎重に。

 

さらに第二章では具体的に経理上への話へと進みます。

よくある現金主義会計ではなく、収入や支出の事実が確定した時点で記帳する「発生主義会計」を推奨し、そうする事で先に挙げた「未成工事受入金」や「未成工事支出金」もしっかりと把握しようというもの。

さらに、営業外収益に上げていたものを売上に反映させる事で、最終的な税金支払い額は同じであるにも関わらず営業利益が改善し、見栄えの良い決算書ができるという。

他にも5%→8%移行時における消費税額の計上方法等々。

 

第三章では遂に年度利益計画の策定へと踏み込みます。

 

……ていうかその……

 

こういう事がすんなりできる会社は、どんぶり勘定はとっくの昔に脱してるんじゃないかな?

 

とにかく自転車操業的に右から左へとお金を流しているからこそどんぶり勘定な訳で。

 

「小さな建設業」を掲げるからにはもっと初歩的な「支払管理票」やら「資金繰り表」について詳しく書いて欲しかったな、なんて思ってしまいました。

本書は前提として「経理ソフト」「原価管理ソフト」が導入されているとして進めているようですが、そもそもそれって何のソフト? 弥生会計とか勘定奉行? だとしたら導入にどのぐらいかかる? いきなり使いこなせるかどうかもわからないソフトを導入するのもハードルが高いから、まずはフリーソフトで似たような経理ソフトがないのかな?とか。

 

もっともっと簡単に、明日から実践できるような内容を期待していたのですが、残念ながらある程度のスキルがないと本書の内容の実践には至らないようですね。

 

自社で安全協力会を設立すべき。会費として下請けへの支払いから0.5%を自動的に振り替えるとファックスででも通達すればすぐに予算が確保できる。自社で安全パトロール等に取り組めば元請会社のイメージアップにもつながる……なんて下りが出てきたあたりで、「あぁ、本書は小さなと言いつつある程度以上の従業員を抱えた中小企業を対象としているのだな」なんて思って興ざめしてしまいました。

 

東証一部上場系に対する地方ゼネコン的な会社を想定してるんだろうなぁ、と。

 

もっとね、お父さんが一人で営業から現場仕事まで請け負い、せいぜい家族が経理的な部分でお手伝いする程度の零細企業を想像していたんですが……そこまでの小さい会社は本書の対象外だったようです。

 

そういう本当の意味での「零細企業」「どんぶり勘定」が役に立つような、そんな本を改めて探してみたいと思います。

https://www.instagram.com/p/BqEdoDnlUJ-/

#小さな建設業の脱どんぶり勘定 #服部正雄 読了最近よく読んでいる #事業承継 #企業再生 に関連してアマゾンの中小企業経営部門ランキングからチョイスした本。前提条件として自社である程度経理業務を理解して遂行している必要があるので、どんぶり勘定しているような零細企業にはちょっとハハードルが高めかも。というか本書に書かれているような事がすんなりやれる会社はこんな本読まないんじゃないかと。うーん、帯に短し襷に長し、という感じ。#本が好き #活字中毒 #本がある暮らし #本のある生活 #読了 #どくしょ #読書好きな人と繋がりたい #本好きな人と繋がりたい..※ブログ更新しました。プロフィールのリンクよりご確認ください。