「考えろ 考えて考え抜け
どうすれば一番いいのかを どうすれば家族を守れるのかを」
家族を、その中でも妹を守るために主人公秀一は完全犯罪に手を染めます。
法的手段に訴えても大人たちは手を貸してはくれず、たどり着いた唯一の方法が、殺人。
嵐の二宮和也と当時のナンバーワンアイドル松浦亜弥の競演が話題でした。
ネット上でも“泣ける”“切ない”“やるせない”物語として話題だったようです。
作者は『黒い家』や『クリムゾンの迷宮』でも著名な貴志祐介。
これは面白くないはずがないですよね。
ところが。
個人的には駄目でした。
現実感のなさや物語の破綻が目についてどうにも感情移入ができない。
こだわりのバーボンを愛飲する主人公(←高校生)や明らかに不要なエロシーン。
成績優秀でスポーツも万能のスーパー高校生という設定ではあるが、あまりにも現実離れし過ぎている。
彼ならきっと『バトルロワイヤル』に出演しても大活躍できるんじゃないか、という超人ぶり。
完全犯罪もどう考えても穴だらけ。彼女が主人公の犯罪を確信する下りや石岡が犯罪をネタに強請りに至るまでの原因はかなり強引。というか豪腕。始めにストーリーありきで登場人物たちが無理やり動かされている感じ。
ラストの幕引きも首を捻ってしまいます。
相手の人、かわいそうじゃない?
追い詰められた高校生がやむにやまれず犯罪を犯す悲しいお話のはずなんですが、
個人的にはエゴで自滅した鼻につく天才高校生としか思えませんでした。
お好きな方、ごめんなさい。