「本を読んでる者は、とにかく話がおもしろいよ。それでいて心がやさしい」
ぐっとくる一文です。
『本を読む女』というタイトルにも、惹かれてしまう女性の方は多いのではないでしょうか?
本書は林真理子が実の母をモデルに、その半生を描いた本です。
裕福な菓子商の末っ子として生まれた万亀は児童文芸誌を愛読する少女。
勉強もよく出来、東京を夢見ながらも相馬(福島県)で教師となる。
ただ、その辺りから段々と読書から離れていってしまいます。
というのも大正から昭和にかけての激動の時代。
決して平穏な日々ではなかったんですね。
戦争で夫と生き別れたり、再会したり……
ちょうど『この世界の片隅に』を観た後だったので、時代背景的には重なる部分もあり、なんとも神妙に読んでしまいました。
でもどうして昭和初期の女性を描いた話って、どこかしら不幸でなんとなく影のある話になってしまうんでしょうね?
万亀はこの時代にしては恵まれた家庭環境にあったと思うのですが、それでも尚……と思わずにはいられません。
そういう時代だった、という答えに結びついてしまうのかもしれませんが。
読んだ側にも色々と考えさせてくれる物語ですが、読了後は元気をもらえた気もします。
昭和初期に、本を読む女。
気になれば、お試しを。