「旧家にはザシキワラシという神の住みたもう家少なからず」
僕もこうして読んでみるまではよくわかりませんでしたが、文学作品というよりは岩手県遠野地方に伝わる逸話、伝承などを記した説話集に当たるそうです。
座敷わらしをはじめ、山男や山女、河童や天狗、さとり等、様々な不思議な妖怪や神様が登場します。
つい少し前にご紹介した香月日輪の『桜大の不思議な森』にも似た雰囲気です。
僕は幼い頃から昔話の類が好きでした。
近所の幼馴染の家には『漫画日本むかし話全集』のような絵本が揃っていて、遊びに行っては友達そっちのけでひたすら次から次へと読みふけっていた覚えがあります。
父か祖母が旅行のお土産に買ってきた「○○(地名)の民話」的な民話集もどれだけ読み込んだものか。
また、水木しげるや京極夏彦、大塚英志にも繋がる妖怪や民俗学の元祖がここにあると思うと、わくわくしてしまいます。
昔の本の割に、意外と読みやすい文章なのも助かりました。
読み終えた段階ですっかり嵌ってしまい、似たような『山の人生』についても読もうと決意した次第です。
柳田國男についても版権切れで無料で読めるのも助かります。
ただし、その後著作権を現行の没後50年から世界各国に倣い70年に改めようという動きがあるようです。
2018年に山本周五郎が著作権フリーとなり、2021年にはいよいよ三島由紀夫の版権切れも迫っています。
さて、どのような動きを見せることか。