「ぼくたちはすれ違ってない。端と端を結んだ輪になって、ひとつにつながっているんだ」
年明け早々にアップした『みかづき』は2018年内から読み始めた本だったので、厳密に言うと本作が今年初めて読んだ本、という事になります。
2016年12月に福士蒼汰・小松菜奈主演で映画化もされた人気作品です。
SFチックな恋愛もの
簡単に言うと上記のようなお話。
大学生の高寿はある朝通学途中の電車の中で、一目惚れをしてしまう。
驚く程順調に二人は再会を果たし、デートを重ね、恋人になるも……彼女には重大な秘密があって。。。
……とまぁすごく典型的なボーイ・ミーツ・ガール(Boy Meets Girl)の物語なんですが、『君の名は。』を彷彿とさせるSFチックな要素も含まれていて、なかなか面白い。
やっぱり恋の障害は本人たち以外の部分に設けないとダメですよね。
以前の記事に書いたそんな指摘が再確認できた作品でもありました。
また、本書については「文章が稚拙」をはじめとする批判も多く見受けられますが、秀逸なのは「徹底した凡庸さ」なのでしょうね。
村山由佳の初期作品にも見られた定番に定番を重ねたような凡庸さ。
けど凡庸さも徹底すれば大きな武器になる、という事でしょう。
極めてシンプルに、ベタな恋愛ものとしての王道を踏襲してくれています。
作品や文章に深みや味わいを求める人にも物足りないかもしれませんが、消費すべきエンタメの一つとして楽しむ分には非常に優れていると感じました。
HY
年末年始、一週間ほどの休暇があったのですが、その間にデスクに向かっている時間が多くありました。
訳あって自宅でも学習する日が増えてきています。
勉強しながらPCにぶち込んでいた音楽を適当にシャッフルして聴いていたのですが、その時にふと流れてきたのがHYの曲だったんですね。
こんな曲を聴いていたところ、先に紹介したような村山由佳の『天使の卵』や昔読んだ甘酸っぱい恋愛小説なんかを思い出してしまい、なんとなく手に取ったのが本書でした。
音楽にも合っていて、いい感じに楽しめました。
音楽×小説
僕は時々、小説を読みながら「この本にはどんな音楽が合うだろうか」なんて考えたりします。
以前米澤穂信の『インシテミル』を読んていた時にはCTSの『○△□』をひたすらヘビーリピートして聴いていました。
最近アクセスが増えている『密室殺人ゲーム王手飛車取り』のシリーズに合わせているのはbanvoxですね。特に『Let's go』のドロップがこういう謎解きゲームの混沌さにはよく合います。
逆に静かにじっくり読みたい作品なんかだと、カーペンターズのアルバムあたりをBGM代わりに低めの音量で流したりするんですが。
あんまり歌詞の多い曲やポップな曲は小説に合わせるのは難しいですね。
今回のように先に音楽ありきで、それに合わせる作品を考えるなんていう事もあったりするわけです。
なんのこっちゃ、という感じかもしれませんが。